人類と地球の大問題
丹羽宇一郎(著)
/PHP新書
作品情報
14万部超えのベストセラー『中国の大問題』に続く、丹羽宇一郎氏のPHP新書第2弾。1972年に刊行されたベストセラー『成長の限界』は、「あと20年で石油は枯渇し、人類の成長は限界に達する」と警鐘を鳴らし、世界を震撼させた。結果的に、その予測は現実のものとはならなかったものの、あれから40年以上経ち、地球の人口は倍増し、温暖化も進み、食料や水の枯渇リスクも高まってきた。たしかに最近、日本でも頻発する集中豪雨や巨大化する台風などの“地球の反乱”には、私たちの想像をはるかに超えるものがある。にもかかわらず、「なんとかなるさ」と知らん顔を決め込んでいる人間は、傲慢すぎるのでは――。昨冬のCOP21では、世界196の国・地域が温暖化に対する取り組みで合意に達したが、いまこそ、人類の英知が試されるときである。著者が自らの商社マン時代、中国大使時代の体験も踏まえ、人類の未来を展望し、真の安全保障を考える一冊。
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商品情報
- シリーズ
- 人類と地球の大問題
- 著者
- 丹羽宇一郎
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 環境・エネルギー
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP新書
- 書籍発売日
- 2016.01.15
- Reader Store発売日
- 2016.02.19
- ファイルサイズ
- 6.3MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (3件のレビュー)
-
かつてABCD包囲網により石油等資源を海外から輸入できなくなり、資源確保を目的として東南アジアへの侵略及び太平洋戦争へと突入した歴史が日本にはある。当時はヨーロッパ各国がアジアに多くの植民地を持ち自国…に多大な利益をもたらしていた事、尚且つ白人による白人以外への差別意識や搾取対象と見ていた考え方もあり、それへの反発という意味合いもなかったとは言えない。然し乍ら資源の無い日本が一切の資源輸入を止められて仕舞えば、海外へと進出して自ら取りに行く以外に選択肢は無い。当時の日本は明治維新以降急速に近代化を推し進め、日清日露戦争に勝利するほどの力を蓄えていたが、エネルギー資源の蓄えは出来なかった。現代の様に平和な日常の中でゆっくり自然由来のエネルギーを検討している余裕など無かった。
日本は今でもエネルギーは海外に依存している。それだけではなく食料自給率は40%前後で先進国中最低ライン、大量にありそうな水でさえ、水道インフラ、浄化設備による飲み水への加工、その全ては海外からの輸入エネルギーに支えられている。極度に世界と密接につながるグローバル社会の中で万が一日本が孤立でもしようものなら、あっという間に国民は干上がってしまう。
東日本震災原発事故により、それまで一定量を供給してきた原発は停止に追い込まれた。直近では原発事故で発生した除染の処理水を太平洋に放出したがために、お隣中国からは激しいバッシングを受けている。その原発がこのまま停止を続ければ、日当たり100億円(年間3兆円)以上を海外からのエネルギー調達に当て続ける必要がある。ガソリンが200円/リッターを超え、オール電化のマンションで電気代が10万を超えたが、これは致し方ない事である。エネルギーがない事は日本に生まれた国民が背負う宿命となっている。
かつて地下に眠る化石燃料はいずれ枯渇するから、エネルギーの代替は絶対に必要と幼い頃は習ってきた。結果的にシェールガスの開発や新たな油田の発見などで引き続き輸入さえできれば当面は問題なくなってしまった。
失敗のリスクがあり、難易度も高いような事業は誰も手をつけたくない。だから安易に輸入できるうちは誰もが(新エネルギー開発や地熱発電で土地を差し出す様な行為)身を切ろうとは思わない。結果的に電気代が上がってからどうするんだと文句を言ってももう遅い。
食料自給率も基本的な構造は変わらない。カネにならないくせに重労働の農業を誰が好き好んで続けるだろうか。挙げ句の果てに過去には生産調整を繰り返し作った作物を廃棄する様なこともしばしば行われている。近年は牛乳がその代表例だろう。減らした結果、価格は維持できるが、儲からない酪農農家が生産をやめて仕舞えば元の状態に戻れない不可逆的な道筋を辿る。その様な状況を改善すべき国の力も期待できない。国民の人気取り最優先で、本来痛みを享受しなければならない国民へそれを転嫁できず、一部の生産者のみが痛みを負う構造を打開できていない。原発についてもそうだが、これは完全に説明力の問題だと感じる。
本書はそうした「エネルギー」「食料」「水」そして「気候変動」といった人類が生活するのに絶対必要な要素について、地球規模で人類が直面する危機に警鐘を鳴らしている。筆者は元商社の社長、農業が受ける気候変動に機敏に反応し、世界を回って得た生の経験を元に記載している。
人類が直面する問題の中で最近は異常気象、温暖化、線状降水帯にゲリラ豪雨と天気にが関わる異常性についてニュース映像をよく見かける様になった。確かに今年(2023年)の夏は毎日36、7度で夜も熱帯夜が続きエアコンフル稼働であった。小さい頃はその様な記憶はないし、夜は蚊取り線香が窓から入ってくる心地よい風に揺られて過ごした記憶しかない。いつからだろうか、明確には解らないが確実に暑くなった。
筆者は異常気象だけでなく前述した様な人類の危機に対して今我々が何を考えどう動くべきか、多くのヒントをくれる。今後については、筆者とは異なる意見を持たれる読者もいるだろう。それで良いのである。まずは筆者の思考ロジックを見ながら「自分ならどうするか」を考えるきっかけにする事が重要だ。かつて50年前に予測された未来は来なかった。だが地球の人口増加がもたらす影響は確実に限られた惑星の中で資源や水、食料の奪い合いに発展する。それを防ぐ画期的な技術など存在しない。前述の3つの課題に対して一人一人が何をすべきか考え、地球を維持できなければやがては地球自体からしっぺ返しを喰らう。電気代値上がりどころの痛みではない。続きを読む投稿日:2023.09.08
このレビューはネタバレを含みます
不都合な真実
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BS日テレにて久米書店という番組で紹介されていた本。
本人をゲストに本について解説していてとても面白そうだった。
「不都合な真実」という
アル・ゴア https://www.amazo…n.co.jp/dp/427000181X/ref=cm_sw_r_tw_dp_tUHzxbRXGGM7M
の本と一緒に読むのがよさそうです。続きを読む投稿日:2016.06.21
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