二十一世紀をいかに生き抜くか
岡崎久彦(著)
/PHP研究所
作品情報
21世紀の日本は、集団的自衛権の行使を認めて日米関係を磐石なものとして、同時に情報体制を完備して、世界情勢、なかでもアメリカの動向をつねに的確に把握していれば、国民の自由と安全と繁栄とを永く維持できると確信している。これが、私の外務省勤務40年、退職後20年、半世紀以上にわたる試行錯誤の経験から出た結論である。(本文より)外務省初代情報調査局長、駐サウジアラビア大使、駐タイ大使をつとめた戦後日本屈指の外交官である著者が、17世紀以来の外交思想の変転、日米戦争を引き起こした日本外交の痛恨の失敗、そして自らの実務体験を総合して、21世紀の日本外交に指針を示す珠玉の外交分析。キッシンジャー『外交』の監訳者でもある著者が、批判的にアメリカ外交の本質を洞察、それでも日米同盟の強化だけが日本の生き残りを保証すると結論する本書の内容は、読む者を感動させずにはおかないだろう。
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商品情報
- シリーズ
- 二十一世紀をいかに生き抜くか
- 著者
- 岡崎久彦
- 出版社
- PHP研究所
- 書籍発売日
- 2012.07.01
- Reader Store発売日
- 2015.10.23
- ファイルサイズ
- 0.8MB
- ページ数
- 282ページ
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中国の台頭を見据え、21世紀をどう生き抜くか《赤松正雄の読書録ブログ》
このところ日本を取り巻く周辺各国からの領土をめぐる攻勢が目立つ。このままいくと、戦争しかないとの発言も散見される。あながち、…極論として放置出来ない雰囲気も漂う。そんな時に岡崎久彦『二十一世紀をいかに生き抜くか』を読み終えた。キッシンジャーの名著『外交』上下巻からの引用を駆使しながらの記述は、さながら国際政治原論といった感じで読み応え十分である。民主党、自民党の若手政治家の要請に応えて行った講義が下地になっているという。
この人は、かつての日本と英国の間の同盟のように日米同盟を根幹に据えていけば、日本の未来は安泰だとしたうえで、集団的自衛権の行使を直ちに認めるようにすべきとの持論を説いてやまない。この本でもその基軸はいささかも揺るがず、むしろこれまでの主張の集大成ともいえよう。遅れてきたる後輩たちへの遺言のような趣きもあるかのごとくに思われる。
「全編を通じて近代政治史のすべての事象を今後の対中国政策を意識しながら書いてきた」と言われるだけあって、随所に中国の勃興についての見解がみられるが、中国の将来についての5つの仮説の提示は興味深い。
1)1990年代の日本のケース 2)1980年代後半のロシアのケース 3)1930年代日本のケース 4)20世紀初めのドイツのケースと18世紀初めのフランスのケース 5)19世紀末の英米関係のケース
岡崎氏は、この5つのうちのどれか、あるいはその混合が、今後20年間に日本が直面する東アジアの情勢だと予測しつつ、それ以上に踏み込んでいない。ここは、具体的に見通しを述べて欲しいところだ。
そのうえで、日本が生き延びるために、1)情報システムの改善 2)集団的自衛権の行使―を挙げている。あくまで情報を的確に入手したうえで、日米同盟の基軸を盤石なものにすることが根本だとしていて分かり易い。
唯一難点を指摘させていただくと、キッシンジャー氏の引用が多いのはいいが、その訳がいささか分かりにくいように思われる。訳者は岡崎氏自身。残念ながらストンと落ちず、かなりギクシャクする印象は避け難い。もっと意訳して欲しいとの思いがする。こちらの知識不足を棚上げして、“天をも恐れぬ物言い”と指弾されそうだが、率直な願望だ。
前回取り上げた『戦後史の正体』で孫崎享氏は、キッシンジャー氏自身がいかに日本嫌いであるかを指摘していたが、そのあたりの背景も岡崎氏に語ってもらいたいとの思いがしきりに募ってくる。続きを読む投稿日:2012.08.24
5カ国の力が均衡している場合は、1カ国がもう1カ国を征服して勢力を拡大するのをほかの3カ国が抑えることができた。これが勢力均衡の基本。
キッシンジャーにとってはアメリカは最後まで欧州の常識が通用しない…神秘の国だった。アメリカ的価値の障害の受益者であり、かつ育つと教養によってヨーロッパ的なものの真髄を理解している政治学者だった。
同盟の場合は共同の軍事作成計画がそれに従うが、集団安全保障の場合は脅威を特定していないのえ、じずんのしなえということができなくなる。シナリオスタディがまったくない条約となった。続きを読む投稿日:2014.05.16
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