上野千鶴子の選憲論
上野千鶴子(著)
/集英社新書
作品情報
「護憲」VS「改憲」。いまや70歳に届こうとしている私たちの憲法は、これまで手つかずのままにきた。それを変えようという改憲派のほうが勢いがあり、護憲派は分が悪そうに見える。というのも改憲派のほうが改革派の旗を掲げるのに対し、「護憲」派こそが「守旧」派に見えるからだ。そんななかに、著者は、第三の選択肢を提示する。すなわち「選憲」――現行の憲法を功罪共に検討したうえで、もう一度選び直しましょう、という提案である。横浜市弁護士会主催の「憲法講演会」において、斬新な切り口で憲法を論じた講演をもとに、社会学者・上野千鶴子が書き下ろした!【目次】はじめに/第一章 憲法の精神/第二章 自民党の憲法草案を検討する/第三章 護憲・改憲・選憲/おわりに/註/日本国憲法と自民党改憲草案の対照(抄)/琉球共和社会憲法C私(試)案 川満信一
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商品情報
- シリーズ
- 上野千鶴子の選憲論
- 著者
- 上野千鶴子
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2014.04.22
- Reader Store発売日
- 2015.10.02
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (6件のレビュー)
-
父ちゃんから「読むか」とまわってきた本。上野千鶴子が、2013年9月26日に横浜で講演したときの講演録をもとに大幅に書き換えた、というつくり。講演は、横浜弁護士会・日本弁護士連合会主催の「憲法問題シン…ポジウム第3弾」として開かれたもの。
タイトルの「選憲」とは、現行憲法のええとこも悪いとこも検討したうえで、「選び直しましょう」ということらしい。改憲でもなく、護憲でもなく、「意識して、今の憲法を選ぶ」のだと。
改憲だ!という自民党の憲法草案と、日本国憲法の条文を照らして、かなりツッコミを入れている。一方で、護憲を主張する人たちにひそむエリート主義にもツッコミを入れている。
▼もしたったいま、九条改正を焦点にして国民投票をやったとしたら?(中略)東アジアの国際情勢が緊張するなかで、領海警備を海上保安庁に任せておけない、国防軍をつくれという声に流される愚民大衆がいるかもしれないと思う人たちも、いるかもしれません。九条を守りたい一心で、これを国民的審判にかけることそのものに反対する人々…こういう愚民民主主義観を持つのが、エリート主義者です。
わたしは主権者の一人です。主権者の一人として、主権者の権利を拡大してほしいと思います。ですから、代議制民主主義だけでなく、住民投票や国民投票のような市民の政治参加の機会は、ないよりあるほうがよいと思います。そのなかでもし愚かな選択をしたとしても、それでも主権者の権利は、大きいほどよいと思います。
民主主義とは、わたしたちの身の丈に合わせてよいほうにも悪いほうにも働く場合があります。(pp.148-149)
この「愚民民主主義」のところには、脱原発都民投票に不安を覚えて、これに反対する慎重派の人たちがいた、という話が引き合いに出されている。なんとなく、べてるの家の本なんかで書かれている「失敗する権利」のことを思った。
上野は冒頭で、「専門家ではありませんが、わたしも主権者のひとりですから、憲法はわたしの運命に深くかかわっています」「主権者であれば、誰でも憲法について何かを言う資格があると思います」(p.7)と語っている。この「主権者だから」「主権者であれば」のところに、私はちょっと引っかかってしまった。
日本国憲法での「主権者」は、「国民」ということになっている。上野もあとのところで触れているが、憲法にある「国民」「日本国民」は、英語の表現ではpeopleだった。これがあたかもnationであるかのように「国民」と訳されたのは意図的なことであったと、『日本国憲法の誕生』でも、そのあたりの話が書いてあった。peopleが「国民」と訳されたことで、この憲法において「国民」とは「日本国籍を持った人々」に限定されてしまった。
上野は「選憲」のひとつの提案として、「日本国憲法の「国民」を、もとにもどしてすべて「日本の人々」「日本に住む人々」に変えること」(p.142)を述べている。そこのところを考えているのは分かっても、やたら「主権者としてわたしは…」というのが出てくると、それって、上野さん、どっちの意味で使ってる?と思ってしまうのだった。
ひとつ、かなり気になったのは、「いまどきの若者が書いた、憲法前文」(p.162~)のところ。2002年に高校生だった福岡亜也子さんが書いた作品を紹介して、その福岡さんは2014年に29歳になっているはずですときて、そのあとに「今年29歳になるはずの福岡さんは、新進気鋭の社会学者として売り出した古市憲寿くんと同い年です」(p.166)とくる。
同い年の人を指して、女性は「さん」で、男性は「くん」なのかーと、そのかなりジェンダーからフリーでない呼称に、なんだか残念な気がした。
(8/21了)続きを読む投稿日:2014.08.25
万人に読んでほしいといえる良書。
以下はメモ。
・選択議定書…これを批准していると、人権侵害行為について、国家を飛び越えて個人が国連人権規約委員会に通報することができる。日本はアメリカはしていない。
…・占領軍の押し付けの憲法ではなく、当時の国民が選び取っている。日本の中からもたくさん憲法草案が作られたし、提出されたものが現行憲法に大きな影響を与えている。
・代議制民主主義は、愚民説にたつエリート政治。(市民参加の機会を抑制するシステム)
・ケアは非暴力を学ぶ実践
・琉球共和社会憲法続きを読む投稿日:2016.02.23
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