この作品のレビュー
平均 3.5 (4件のレビュー)
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このレビューはネタバレを含みます
昨今の、若者を中心とした食事事情はいったいどういった具合なのか。いかに忙しくても、そのまま食べたり炒めたりゆでたりぐらいはできるはず、とそう著者は当初考えていたそうです。しかし実際は、鍋もない、包丁もない、電子ジャーもないという状態が珍しくない。もっと「食」から離れている人は、外食にせよ、コンビニで売っている惣菜にせよ、そもそもあまり食べない、などなど、思っている以上に「食」がおろそかになっていることがわかってきた。そこで、東洋医学を学び、鍼灸師であり、自らの生活で試しながら食品添加物についてや有機野菜などについても研究してきた著者が、この「食」事情ではよくない、と根本からの食指南を記したのが本書です。食事にお金をかけない、食事をとろうとしない、食事する余裕がない、自炊する余裕がない、などなどの傾向のある人が多いそうですが、そういう人たち向けです。精神的に余裕が無いときは、「黒か白か」みたいな考え方しかできなくなったりしますし、また、食事をとるようになると、転職する気力がでてきたり、生きていくためにもうちょっといいところで働こうと思えてきたりする、というような論述で序盤から始まっていきます。つまりそのようなふうに、著者が食事周辺の現象として見てとれているということです。これは、とても好ましい視点だと感じました。現代日本の硬直性は、食の貧困にその大きな原因があるのかもしれない、と見えてくる。衣食足りて礼節を知る、じゃないですが、食がほんとうにおろそかになっていると、普段の生活上で、なにかしらの行動も起こせないし、物事を考えようとしても、考え方に柔軟性や寛容さが失われてしまいそうです。そのような筋で「食」を見てみれば、「食」を改善するだけで、人々の意識がおおきく変わりそうにも思えてきます。オールオアナッシングみたいな考えを食事にも持ってしまいがちなんでしょうね。これって日本人的なのかもしれません。完璧主義の裏返しとして、ちゃんとした食事をとれないなら、食べなくてもいいや、と極端なまでに逆側に針を振ってしまう。本書はそこを柔らかくときほぐす姿勢でさまざまなトピックが語られていきます。具体的には、調理の初歩としては、電子レンジだけでOK、だとか、まず一日500円以内で食べていこう、だとか、とっつきやすい「つかみ」を、「食」から離れている人たちにつかんでもらうところから、段差のあまりないような少しずつのステップアップの仕方を示しつつ、自分を養生できる段階まであがっていってほしい意図があります。調理方法や、最低限そろえてほしい調理器具の紹介と解説もありますが、たとえば野菜を買っても腐らせてしまったことがあったならば、そのときの「失敗したな、お金を無駄にしたな」という心理がそこにあることが著者はわかっていますから、そこはわかるよ、というふうに寄り添いつつ、じゃあ、慣れるまで野菜は買わなくたっていい、といった解決策を提示してくれる。コンビニで売っている炒め調理用野菜をその場で袋を少し開けてもらって電子レンジでチンしてもらい、温野菜にして野菜をとる方法などがそれです。これは、トラック運転手の方たちがやっていたのを見たことがあるそうです。知恵ですよね。
レビューの続きを読む投稿日:2020.02.11
知っていることだらけだったのであっという間に読めた。特に新しい発見なし。あったとしても関心がなくて刺さらない。
今まで自覚は無かったけど、私は食べること、作ることに対しての興味が人よりは強かったんだな…と知った。
この本に出てくる現代人があまりにも極端なのもあるのかも。
自炊するのが当たり前、時間が無くて出来なくなってくると精神的にギスギスしてくるのは自覚していた。でもそれは特別なことではなくて、自分にとってはそれしか知らないから
こんなに食べることをないがしろにする(せざるを得ない)人が多くいるなんて思ってもなかった。続きを読む投稿日:2023.06.08
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