問題解決のジレンマ―イグノランスマネジメント:無知の力
細谷功(著)
/東洋経済新報社
作品情報
思考の限界を超えよう!
巨人ピーター・ドラッカーが最後に挑もうとした「無知の活用法」
ピーター・ドラッカーは亡くなる約2年前のインタビューで、「書き残したテーマがあるとしたら?」という質問に対して
「無知(イグノランス)のマネジメントだ。もし書いていたら、私の最高傑作になっただろう」と語っている。
ソクラテスは「自分がいかに知らないかを知る」=「無知の知」を唱えた。
本書は、ソクラテスとドラッカーが唱えた「無知」に着目して、
「無知」に気づき、「無知」を活用する「問題発見」のための思考法を体系化している。
「知識量で勝負すること」や「与えられた問題を解くこと」は、もはや人間が取り組む問題ではなくなってきている。
人間が集中すべき課題は、新しい問題を発見し、定義する(広義)の問題解決の「上流部分」にシフトしている。
「下流」の問題解決と「上流」の問題発見では、必要な着眼点も価値観もスキルも異なる。
本書では、「アリとキリギリス」のアナロジーによって、問題解決型と問題発見型の2つの思考回路を対比し、
その対立構造を明らかにしている。
アリとキリギリスが共存共栄できる道はないのか。
キリギリスのように「跳んで考える」ためにはどうしたらいいのか。
「問題発見のための思考回路」を理解し、「無知・未知」を意識することで、「常識や壁」を打ち破る発想が生まれる。
すなわち、キリギリスのように新しいフロンティアに向かって、高く跳び立つこともできるようになる。
【主要目次】
PART1 「知」と「無知・未知」~その構造を明らかにする
「知らないことすら知らない」=「未知の未知」という死角
「知」は事実と解釈の組み合わせ
「無知・未知」を考えるためのフレームワーク
既知と未知との不可逆的サイクル
ソクラテスとドラッカーが唱えた「無知」の二つの視点
PART2 「問題解決」のジレンマ~「問題解決」できる人は「問題発見」ができない
「知(識)の」ジレンマ
「閉じた系」のジレンマ
「問題解決」のジレンマ
PART3 「アリの思考」vs.「キリギリスの思考」~問題解決から問題発見へ
「アリの思考」と「キリギリスの思考」の違い
「ストック」から「フロー」へ
「閉じた系」から「開いた系」へ
「固定次元」から「可変次元」へ
「特異点」からの問題発見法
アリとキリギリスは共存共栄できないのか
PART4 問題発見のための「メタ思考法」~次元を上げて問題を発見する
上位概念と下位概念
「抽象化・アナロジー」で次元を上げる
思考の「軸」で次元を上げる
「Why(上位目的)」で次元を上げる
「メタ思考法」を活用するために
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この作品のレビュー
平均 4.0 (11件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
問題解決のジレンマということで、
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問題解決ができる人は問題発見ができないというジレンマや無知の定義やいま求められている知のあり方などについて、抽象的な話を非常にわかりやすく解説した良著。参考になり。
<メモ>
・思考の軸とは大きさや重さといったある変数で表現される一つの次元であり、二つの極で表現されるものである。思考の箱のセットがフレームワークと呼ばれるものである。
・線を引くという要素によって知識の蓄積を重ねてきているが、新しい発想をするときには障害となることがある。
・知識は事実と解釈のスナップショット。
・無知には様々な種類がある。ポジティブな事実の無知は「知らぬが仏」、ネガティブな事実の無知は「恥ずかしい無知」、ポジティブな解釈の無知はアンラーニング持っている解釈をリセットして考えること、ネガティブな解釈の無知は「無知の無知」である。
・個人でも組織でも時間による知的成長とともに「既知の既知」の領域は広がっていく。本来は「既知の未知」の領域も大きくなり、「未知の未知」の領域は指数関数的に広がっていくはず。未知の未知の領域を意識していない、すなわち無知の知の認識がない人、無知の無知の人は既知の未知の領域は固定されているので、既知の未知は減少する一方、自分が賢くなる感覚を持ってしまう。無知の知を実践する人は未知の未知の領域を知っているため、自らが知的成長とともに愚かになっていくすなわち無知の知を実践する考え方になっている。
・問題を解決しやすくするように線を引くことによって、解釈が固定化され、事実とのかい離が生じるという現象が生じる。
これが閉じた系のジレンマ。
・抽象度の高い上流では抽象化思考の能力が求められるのに対し、現実的な行動が最重要な下流のフェーズでは具体的な行動力が何よりも求められる。
ノウハウがストックされている下流では知識量が重要だが、ゼロからの創造性が求められる上流では限られた情報から新しいものを生み出す創造・想像の力が求められる。また、作業分担もきまっておらず、常にフレキシブルな姿勢が求められる。上流は常に能動的に動くことが求められる。
・変数を固定して考えるアリは、いまある変数で他と比較して、数値でそれを上回る方法を考える。
キリギリスは数値の比較に持ち込まないように比較表で相手の欄が埋められないような変数そのものを考えようとする。単に従来機能を増減させるのではなく、抜本的な機能を増減させる。変数を減らすというオプションもありうる。いかにうまく戦うかを考えるのがアリ、いかに戦わないかを考えるのがキリギリス。
・次元をあげることで他の糸口やより大きい視点での最適解につなげられる。ただし、変数が増え、複雑さは増してしまう。
・失うものがある人、知識経験が豊富な人、地位が高い人、エスタブリッシュメント、年長者はアリ型思考になりやすく、失うものがない人、知識経験が浅い人、地位が低い人、チャレンジャー、若者はキリギリス型の思考になりやすい。
・視点や思考の次元をあげることで未知の領域の問題発見を促す3つのメタ思考法がある。
①抽象化・アナロジーによって次元をあげる。抽象化されたレベルでの共通点を見出すことで、遠い世界とのつながりを見つけて、別の世界から新しい発想を生み出すことができる
②思考の軸で次元をあげる。個別の事象を見るのではなく、一段階上の思考の軸をもって事象を捉えることで、自らの思考の盲点が見つかるとともに、新たな視点と気づきが得られる。
③Why(上位目的)すなわち「なぜ?」という問いかけで、思考の次元をあげる。たとえば手段→目的という形で上位目的に上がることで、具体的な手段にとらわれることなく正しい問題定義を行い、本質的な解決の手段を発想できる。
・一見全く異なる領域同士の共通点を見つけてそこから新しいアイデアを生み出すのがアナロジーの発想。一見異なる共通点を探すことが重要。上位概念での共通点を探してくる。簡単には見えない共通点を探すことが創造性につながる。
・アナロジーは不連続であり、純粋な論理的な連続的な
思考と異なり発想を良い意味で飛躍させること。
・軸には大きさや形といった座標軸で考えるのと、対立軸で考えるという二つのパターンがある。軸は両局が必要。思考の軸は上記二つに加え、経験則から抽出されたフレームワークもその一つである。
・原因と結果、目的と手段といったように、Whyのみが同じ事象に対して繰り返し続けることができる。繰り返すことによってより本質的な上位概念に至ることができる。そして、本質に迫り、より優れた問題に定義しなおしたり、本来解くべき新たな問題を発見することにつながる。投稿日:2016.03.26
めちゃくちゃ話がむずいけど、ここまで論理的で言語化能力が高い人の本はおもしろい。
具体と抽象を意識すること大事
抽象化によってエッセンスだけを取り出しほかに活かす。
問題解決は枠の中の最適化
問題発…見は白紙に枠をつくる続きを読む投稿日:2021.02.13
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