抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心
青木理(著)
/講談社
作品情報
朝日バッシング=歴史修正主義と全面対決する。緊急出版! 慰安婦報道の「戦犯」と呼ばれた植村隆、市川速水、若宮啓文、本多勝一ら朝日関係者に徹底取材。報道の現場から問題の全真相をルポルタージュし、バッシングの背後にうごめく歴史修正主義をえぐり出す。闘うジャーナリストが、右派の台頭に抗する画期的な一冊!
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商品情報
- 著者
- 青木理
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 講談社
- 書籍発売日
- 2014.12.16
- Reader Store発売日
- 2014.12.19
- ファイルサイズ
- 0.2MB
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この作品のレビュー
平均 3.8 (7件のレビュー)
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記者目線で見た、朝日"バッシング"
元/現・朝日記者たちの内部からの声を紹介するインタビューが大部分を占める本で、混乱した内幕がかいま見える部分はおもしろい。おそらく想定される読者は、慰安婦問題への関心はあまり高くないものの一連の朝日バ…ッシングに違和感を覚えたという人々ではと思う。
前半部分では当時の経緯や同時代の他社の記事を参照し、批判された記事は時代の制約の中でごく一般的なものでしかなく、バッシングが過剰かつ異様なものであったことが端的に示されている。
後半部分は、朝日の元/現記者たちのインタビューである。彼らの記者人生において、慰安婦問題はあくまで数ある戦後補償や人権侵害の問題の一つであり、この問題に限らず"弱者の目線に沿うこと"を報道の責務と取り組んできたことや、かつては当然とされた日本の戦争犯罪を扱う報道が現代では批判とバッシングに晒されることへの記者たちの危機感などが語られている。
一方で、残念ながら本書は「慰安婦問題」そのものへの関心を持つ層からは高い評価を得られる本ではないと思う。
まず第1に、朝日新聞第三者委員会による検証について、委員の人選や検証報告書の内容の妥当性についての言及がない。国連人権委員会における取り組みや慰安婦問題を専門とする研究者が一人も含まれなかった第三者委員会が、どうやって国際的な人権問題に発展した「慰安婦問題」の記事についてふさわしい評価を下せるだろうか?朝日新聞第三者委員会による専門家不在での検証は不十分なものだと思うが、その点について触れていない。
第2に、本書は<朝日新聞「慰安婦報道」の核心>と題しながら、実際には記者から見た「慰安婦報道バッシング」という視点だけでこの問題を扱い、慰安婦問題や人権問題の研究者への取材はなく、近年の研究成果の紹介が一切ないことが気になった。河野談話以降も、政府の関与や被害実態を裏付ける多くの新資料の発掘があったことが、一般に十分に周知されていない現状で、紹介されるべき資料・研究は数多あるのに、と。
第3に、その是非を巡って評価が割れ、批判に晒されている「アジア女性基金」や朴裕河の著書「帝国の慰安婦」について、それ自体の内容や批判に立ち入らずに、一方を穏健の立場・冷静な議論と断じている点は問題があると思う。例えばアジア女性基金は、「償い金」の受け取りを拒否した被害者には「謝罪の手紙」を渡さなかったことで「金を受け取らない被害者には謝罪の手紙を渡さないというのは、被害者への侮辱ではないか」という批判があるし、「帝国の慰安婦」については実証の部分での問題点が研究者からいくつも指摘されている。
本書の中で青木氏自身、誤報訂正に際して良識的なコラムでは不十分であり、朝日新聞は慰安婦問題の変わらぬ本質を新資料を含めたスクープを報じ続けることで議論を展開させていくべきだったという主張している。それは、この著作にもそのままあてはまることだと思う。慰安婦問題の本質に触れるような議論や、それらに携わってきた研究者の声はこの本には一切含まれていない。本書のように、弱者の目線に添うことは報道の使命だと強調(無論それはその通りなのだが)する立場から朝日新聞を擁護する議論は、現在の「異常な」状況への抵抗の拠点にはならないだろう。続きを読む投稿日:2015.02.26
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ジャーナリズム精神の根幹として事実に愚直に向き合う姿勢が問われている。そこで怯んだり誤魔化したり忖度するようでは、問題の核心から遠ざかっていく。言葉は時に刃の如く他者を傷つけてしまう。しかし事実は決し…て反故にしてはいけない。強者はそこに正義や倫理を持ち出して都合の良い歴史を作ろうとする。そこで弱者は理不尽さを噛み締めながら虐げられる。私たちは報道における過ちを許すという寛容を失わず、知る権利を保持しよう。そして都合の悪い過去から学び得よう。続きを読む
投稿日:2023.02.09
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