M/Tと森のフシギの物語
大江健三郎(著)
/講談社文庫
作品情報
祖母から聞いた、四国の森の奥深くに伝わる「壊す人」と「オシコメ」の創造の物語を、MとTという記号を用いて書き記す。時の権力から独立した、1つのユートピアがつくり出される奇想天外の物語は、いつしか20世紀末の作家が生きる世界、われわれの時代に照応していく。海外で最も読まれている大江作品。
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商品情報
- シリーズ
- M/Tと森のフシギの物語
- 著者
- 大江健三郎
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 2007.01.16
- Reader Store発売日
- 2014.11.28
- ファイルサイズ
- 0.6MB
- ページ数
- 448ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (6件のレビュー)
-
大江の本の中で、エロも酷薄な殺人(描写)も出てこない、珍しい作品。だからこの文庫の裏に紹介されているように「海外で最も読まれている大江作品」なんだな。乱歩が少年探偵ものに自作を書き換えたようなところが…あって、もとの『同時代ゲーム』とくらべると、熱がなく、こじんまりとまとまってしまっている感がある。ただ、語り直しだけあって、こちらの方がメッセージはよりダイレクトに伝わってくる気がする。それが文学作品としていいのか悪いのかは何とも言えないが。いずれにせよ、一番読みやすいし、何か一冊読んでみたい人にはこの作品がまずは入り口としてはいいと思う。
岩波文庫版も持っていて、漢字の読みなどの確認のため(岩波文庫版の方がルビが多い)時々参照しているのだが、ちょっとした言い回しやあてる漢字に違いがあったりするのが興味深い。例えば、酷たらしい→酷い(岩 p.144)とか、訊ねる→質ねる(岩 p.249)、影→翳(岩 p.277)、昏れて→暮れて(岩 p.286)、背負い子→背負子(しょいこ)(岩 p.294)、赭ら顔→赤ら顔(岩 p.324)、ついてきて→ついて来て(岩 p.373)、大ズック靴→大きいズック靴(岩 p.373)、頂き→頂(岩 p.373)、魂となって戻り、銘助さんに→魂となって昇り、銘助さんの魂に(岩 p.374)、浮びあがる→浮かびあがる(岩 p.374)、おなごりおしい→お名残惜しい(岩 p.375)、三角に皮膚を畳んだような眼→三角に皮膚を畳んだ目(岩 p.385)、亀ね→亀です(岩 p.385)、別れの告げ方→別れ方(岩 p.386)、ヒソヒソ話したことは→ヒソヒソ話したのは(岩 p.386)、同意もえた→同意も得た(岩 p.388)、ためらっていたのです→ためらったのです(岩 p.388)、いってあげられた→言ってあげられた(岩 p.388)、神隠し→神誘い(岩 p.390)、夜中に紅で→夜中に私の鏡台から取った紅で(岩 p.390)、利発そうな眼→利発そうな目(岩 p.391)、経て→へて(岩 p.391)、働きはじめる→働き始める(岩 p.392)、実際の話です→事実です(岩 p.392)、神隠しに会った時→神隠しにあった時(岩 p.393)、なかでもとくに、→なかでも、とくに(岩 p.394)、脱ぎすてました、→脱ぎ棄てました(岩 p.394)、手さぐりであるものをとりあげ、脇にかかえると→手さぐりで、あるものをとりあげ、脇に抱えると(岩 p.394)、鏡台の抽斗でした。→鏡台の抽斗。(岩 p.394)、塗りたくっていった→塗りたくって行った(岩 p.395)、惧れて→恐れて(岩 p.395)、みたした→満たした(岩 p.395)、という気持ちでした→という感じでした(岩 p.397)、いたるところレーザー光線が→いたるところ、今でいえばレーザー光線が(岩 p.397)、サワガニに心を→サワガニに空腹の身体と心を(岩 p.397)、移しかえたもの→移しかえてのもの(岩 p.398)、つもりです→つもりでいます(岩 p.399)、になって来た→担って来た(岩 p.399)、登って→昇って(岩 p.400)、おちついて→落ち着いて(岩 p.400)、みちたりて→充ち足りて(岩 p.402)、ふるうた→奮うた(岩 p.403)、はじまった→始まった(岩 p.403)、いたり→至り(岩 p.404)、ありながら、今日現在→ありながら今日現在(岩 p.405)、開く→拓く(岩 p.405)、塊り→塊(岩 p.405)、あやまって→過って(岩 p.405)、そなえる→加える(岩 p.405)、したくないの→しないの(岩 p.407)、紐→凧糸/糸(岩 p.407)、かえって厄介→厄介(岩 p.407)、みちたりた→充ちたりた(岩 p.409)、別れて→分かれて(岩 p.410)、生簀→生け簀(岩 p.410)、空けて→開けて(岩 p.410)、しておるのがな→しておる。それがな(岩 p.410)、集って→集まって(岩 p.410)、訴える→うったえる(岩 p.412)、向う→向こう(岩 p.412)、じゃからそうであって→じゃから、そうであって(岩 p.413)、はるかな→遥かな(岩 p.413)、毎日な→毎日(岩 p.413)、聴こえて→聞こえて(岩 p.414)、してな→しましてな(岩 p.414)、思いきめて→思い決めて(岩 p.414)、なごりおしい→名残惜しい(岩 p.415)、思いなして、生きて→思うて生きて(岩 p.415)、滑稽なような、腹立たしいような→滑稽なような・腹立たしいような(岩 p.415)、眼→目(岩 p.415)、聴こえて(た)→聞こえて(た)(岩 p.415)、思いでおりました→思いがしました(岩 p.416)、しあわせなことでした→しあわせでした(岩 p.416)、しあわせなことでした→しあわせでした(岩 p.416)、何の心配も→なんの心配も(岩 p.416)、おおもとにあるところの意味を、はじめて示されたように感じるのです→おおもと(傍点)にあるところの意味を示されたように感じます(岩 p.417)、いくつも→幾つも(岩 p.417)、など。続きを読む投稿日:2024.02.28
M/Tと森のフシギの物語
土地に伝わる伝説がやがて身内のできごととしてせまりくる。
もしくは、身内の出来事から歴史を手繰り寄せる。
輪廻はその森深い土地を媒介に自分に降り、次の世代に受け継いでゆく…。
特定の土地という場所から浮遊し、“風土”と呼ぶにふさわしいかもしれない。
人はそんな土地や風土といったものに支配されている。
それは“人”からみた視点で、本当は僕らの知らない土地では考えられないような物語を紡いでいるんだろう。
僕にまとわりつく風と土地は、僕をどんな物語のどんな役どころを演じさせているのかと夢想する。
続きを読む投稿日:2021.12.13
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