この作品のレビュー
平均 4.3 (16件のレビュー)
-
クールジャパンなどどうでもいいが
近年の子供は、夏目漱石などの小説ばかりを読んで漢文を読まない。これは子供の危機である。
歴史は繰り返される。文豪の作品もまた、悪書だったのである。
1955年時の内閣総理大臣鳩山一郎が施政方針演説で…こういった。「・・・覚醒剤、不良出版物の氾濫はまことに嘆かわしい事態でありますが・・・」マンガは覚醒剤並みの扱いだったのだ。まあ孫はハトポッポなんだが。
「小学1年生」を出版する小学館には悩みがあった。小学六年生を卒業すると旺文社の中学時代に移ってしまう。 1958年、すでに出生数は減り始め子供の人口ピークは当時の5年生だった。何もしなければ衰退は避けられない。小学館の学習マンガはつまらなかった。それを改革しようと当時悪書と言われたマンガを使って自社のブランディングをしようとしたのだ。
少年サンデーは月刊誌で7、8本を抱える手塚治虫を押さえた。ボツになっった企画は「もしも君」体が悪かったらどうするかと言う読み切りの医療マンガで後に主人公は悪役「ブラックジャック」となって生まれ変わることになる。
ライバル講談社にサンデーの噂が伝わったのが翌年1月。そこから少年マガジンはサンデーと同日の相関を目指し当初5/5の予定が最終的には先陣争いの末3/17で決着した。サンデーはトキワ荘の藤子不二雄をわずか2日違いでマガジンより先に押さえた。親を安心させるため長谷川町子とフクちゃんの横山隆一にも連載を持たせる盤石の態勢だ。そして表紙は長嶋茂雄、一見するとスポーツ雑誌に見えるようにマンガアレルギーに対処する。
マガジンの表紙は朝汐太郎、当時一番人気の力士ではない。作家で劣るマガジンの戦略は特別付録のマンガ、これを合わせると紙面の60%がマンガになる物量作戦だ。元になったのは付録に国語辞典をつけた少女クラブ。このアイデアで同士の売り上げ記録を更新したのだ。マーケティングではマガジンが先行したとも言える。
しかし、肝心のマンガが面白くなくては話にならない。そこでマガジンが取り入れたのが分業制だった。少女マンガにいたダイヤの原石、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、松本零士、ちばてつやを引き込み野球を全く知らないちばてつやに原作付きで「ちかいの魔球」を書かせた。これが巨人の星のプロトタイプだ。テレビ、ラジオとのタイアップ、専属アシスタント制、読者アンケートの重視と作家で勝負できないことがイノベーションを起こしたようだ。
読者プレゼントは切手ブームを起こし、すでにメディアミックスと玩具やお菓子とのタイアップなど、現在の産業モデルが生まれ始めていた。
当時のマンガの図解は馬鹿にできない。もともとマンガ、テレビ、スポーツ、科学の総合誌だったのだ。ウルトラQを紹介して怪獣ブームを起こしただけでなく1969年のグラビアではDNAを解説し、来たるべき情報社会の自動運転、カーナビ、教育マシンと言う名のネットワークにつながったコンピューターを紹介している。ちなみにウルトラマンの3分間の設定もマンガのグラビアが勝手に作ったものなのだ。
テレビとのタイアップも成功したが一方で本来は良質なSFで有ったはずのドラえもんやオバQが子供よりに偏りすぎたり、新しい玩具を売ることが優先されたり作品の都合が優先されなくなった。アニメの制作費が異常に安く、スタッフの給料が安いという弊害をもたらしたのは手塚治虫の鉄腕アトムのせいで、ディズニーに憧れる手塚が日本初にこだわり印税収入で制作費を補填し常識の1/3の1本50万でやってしまったためだ。
それはさておき、個人的に好きなマンガは何だろうと思いつくままに。鉄板スラムダンク、西原理恵子のぼくんち、ほぼ外れなしの細野不二彦ギャラリーフェイク、浦沢直樹マスターキートン、曽田正人の昴、完結するのかHunterXHunter、岩明均の寄生獣、古いところでデビルマンと百億の昼と千億の夜に生徒諸君、最近面白いのは、ちはやぶる、3月のライオン、とめはねっ、ボールルームへようこそ、四月は君の朝、ましろのおと、グラゼニ。他にもまだまだ知らないものもいっぱいあるよなぁ。続きを読む投稿日:2015.07.30
-
少年サンデーと少年マガジンの創刊からの15年間を、漫画文化の隆盛と共に振り返る。高度成長期の熱気を週刊漫画誌を舞台に追いかけており、当時の不安定ながらも希望と熱気に満ちていた社会の様子が伺える。
「…結果的に成功した」話を題材にしているとは言え、関係者達がいずれも「必ず読者の心を掴む」と信念を持って仕事に取り組み、それが時に激しい賛否を生みながらも漫画雑誌を世に広めていっている。
人気漫画家の囲い込み、その逆に新人(現在では大御所)達を発掘したり粘り強く談判して作品を仕上げてもらったり。そして、今より遥かに規制が緩やかだったはずの当時でも、旧世代や保守派との軋轢を乗り越えて作品を世に出し続けていくエネルギーに圧倒される。
「頑張った先に希望がある」と思えた時代の熱気を時に羨ましく思いながら読み進めた。続きを読む投稿日:2022.12.28
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。