六白金星・可能性の文学 他十一篇
織田作之助(作)
/岩波文庫
作品情報
楢雄は頭も悪く,鈍臭く,ただ一つ蠅を獲るのが巧かった──.ずる賢く冷淡な兄,心根は優しいが強情な弟,身勝手でエゴイスティックな父,年とともに気弱になる母の関係を描いた「六白金星」のほか,大阪の庶民のねばり強い人生を描きつづけた織田作之助(1913-47)の戦後発表の代表作.(解説=佐藤秀明)
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 六白金星・可能性の文学 他十一篇
- 著者
- 織田作之助
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波文庫
- 書籍発売日
- 2009.08.18
- Reader Store発売日
- 2013.11.29
- ファイルサイズ
- 2.1MB
- ページ数
- 392ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.1 (12件のレビュー)
-
六百金星とアド・バルーンが面白かった!
オダサク読んだことなかったけど文豪でこんなおもしろいのは最高!!
人間の絶望より可能性を描く文学、活き活きとした昔の大阪の描写、大好きな作家になった!投稿日:2023.01.24
1945(昭和20)年から翌1946(昭和21)年にかけての作品が収められている。1947(昭和22)年にまだ33歳にして早逝した作家なので、若いが「晩年」に当たる。
『夫婦善哉』を中古の新潮文庫で…遥か昔に読んだことがあるきりで、さして印象のない作家だったが、今回読んでみてとても良かった。読みやすい文章でしばしばユーモアをも交え、微妙で深みのある人間像を呈示する。特に「表彰」「六白金星」が非常に良かった。
この世代の作家の文章は、先行する世代の文章とは何か根本的に異なって、実に読みやすい。太平洋戦争中から作品を発表した作家なのだが、私の目には「戦時以前」と「戦後」とのあいだに、日本文学の「文体」に大きな断絶があるように見える。そして後者の文章の「平易さ」(あるいは工夫の無さ)は後々に更に度合いを増して、こんにちのスカスカな文体へと一直線に変容してゆくように見える。
「無頼派」と呼ばれる
織田作之助(1913《大正2》-1947《昭和22》)、
太宰治(1909《明治42》-1948《昭和23》)、
坂口安吾(1906《明治39》-1955《昭和30》)
の3人はどうやら実際に仲が良かったらしく、本書所収のエッセイ「可能性の文学」の中で3人が共に酒を飲みながら語り合う場面が描かれている。この3人は何故かみんな若死にしている(織田33歳、太宰38歳、安吾48歳)。
本書の短編小説の深みのある味わいに心動かされたのだが、作家が文学観を明示したこのエッセイ「可能性の文学」も非常に興味深い。当時文壇で絶賛された志賀直哉を中心に、ほとんど宗教のように瀰漫した価値観に、織田作之助は全霊を込めて抵抗する。そうした「美術工芸品」のような小説価値は、世界近代文学から見るとほんの一部に限定されたものでしかない。「美術工芸品」としての完成は、もはやそこには「可能性」は残されていない。文学としての「可能性」、そして人間の「可能性」である。
<「可能性の文学」は果して可能であろうか。しかし、われわれは「可能性の文学」を日本の文学の可能としなければ、もはや近代の仲間入りは出来ないのである。
小説を作るということは結局第二の自然という可能の世界を作るということであり、人間はそこでは経験の堆積としては描かれず、経験から飛躍して行く可能性として追究されなければならぬ。>(P362)
そういえば日本社会・文化、日本人というものが、西欧と比べると確かに「ほんとうの近代化」を経ないまま未熟さに留まり続けたという現在の現実が、ここにも表現されているように思える。
そして「第二の自然という可能の世界を作る」ということ、思うに音楽を作るということもやはりこれなのではないか、と感じ入った。
「無頼派」の3人は3人ともに独自の魅力を持った作家たちだが、織田作之助に関しては、死ぬのが早すぎたという惜しまずにはいられない。続きを読む投稿日:2022.12.16
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。