地域から未来を創造するマネジメント 特集にあたって 林 大樹(一橋大学大学院社会学研究科教授) 特集論文―1 地域創造マネジメントと大学教育 林 大樹(一橋大学大学院社会学研究科教授) 特集論文―2 人的多様性(ダイバーシティ)を活用して地域の未来を創造する 結城 恵(群馬大学教育基盤センター教授) 特集論文―3 人材をめぐる混迷 産業界と大学のギャップはなぜ生じるのか 田中弥生(大学評価・学位授与機構教授/日本NPO学会会長)、浅野 茂(神戸大学企画評価室准教授) 特集論文―4 経済社・・・
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日本の労働生産性は、他のG7諸国に追い抜かれ、OECD35カ国中で21位である。労働時間の短縮を主眼とする「働き方改革」が叫ばれているが、その本質はここまで低下してしまった生産性の回復に他ならない。もちろん、背景には周回遅れとなったDXや労働慣行見直しの遅れがあるが、現状認識の甘さにも大きな要因があるといえる。また、経済協力開発機構(OECD)の調査でも、日本が低生産性・低賃金国家に成り下がっていることがわかる。本特集では、いかに日本の生産性を上げ、賃上げを実現していくかについて議論したい。主な執筆者:市川類、大山睦、原泰史(一橋大学)、児玉直美(日本大学)、佐藤文男(佐藤人材・サーチ)、中村天江(リクルートワークス研究所)、服部泰宏(神戸大学)。経営者インタビューは、熊谷正寿(GMOインターネットグループ会長)、福澤知浩(SkyDrive代表取締役CEO)、ビジネス・ケースは、メガネスーパーと木村鋳造所。
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経済格差の拡大、ポピュリズムの台頭など資本主義の矛盾があらわになる一方、ESG投資の拡大、アメリカのビジネス・ラウンドテーブルによる「株主第一主義」の見直し、「使命を果たす会社」に関するフランスの法改正など、株式会社のあり方を問い直す動きが出てきている。また、20世紀初頭に確立した株式会社は、ヒエラルキーと大きな資産が特徴だが、近年、フラットな組織、フリーランスなど外部資源の積極的活用、ユニークな評価・報酬制度など、会社の新しい形態を模索する動きも見られる。21世紀の新しい会社の形とそのガバナンスはどうあるべきか、本特集においてさまざまな角度から考察する。主な執筆者:岩井克人(国際基督教大学)、コリン・メイヤー(オックスフォード大学)、江川雅子/軽部大(一橋大学)、上田亮子(SBI大学院大学)、銭谷美幸(第一生命保険)、チャールズ・レイク(アフラック生命保険)。経営者インタビューは、吉田憲一郎(ソニー会長兼社長CEO)、小里一宏(テックポイント代表取締役社長兼CEO)、ビジネス・ケースは、KDDIとクラレ。
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日本の社会経済がその生産性・効率性において大きく後れを取っている。2019年の労働生産性の国際比較ランキングで、日本は先進36カ国中21位である。G7諸国(米・独・英・仏・伊・加)で最下位、さらにはスペインやオーストラリア、北欧の国々よりも低い結果となっている。日本人が真面目に働いていないのだろうか。いや、おそらく最も勤勉に働いている国の1つだろうが、デジタル化において決定的な後れを取っているのである。今回のコロナ禍は、ビジネスはもちろん教育・行政にもさらなる生産性向上とデジタル化を強制するだろう。今、この時期に、デジタルによる社会変革(トランスフォーメーション)を真摯に考えてみたい。 主な執筆者:藤井保文(ビービット)、村田聡一郎(SAPジャパン)、生稲史彦(中央大学)、立本博文(筑波大学)、ユーヨンジン(ケース・ウェスタン・リザーブ大学)、ヴィリ・レードンヴァータ(オックスフォード大学)、カン・ビョンウ(一橋大学)。インタビューは、香山誠(アリババ株式会社代表取締役社長CEO)、小椋一宏(HENNGE代表取締役社長)ほか。ビジネス・ケースは、サイバーエージェントとアトラエ。
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日本企業の内部留保が500兆円を超える規模になり、企業には多くの優秀な人材も存在している。これらの経営資源を活用して、いかに新たなビジネスを創出できるかが、今後の日本経済の成長のカギとなる。本特集では、企業に蓄積された資源をいかにイノベーションや新規事業につなげることができるのかをテーマに、ICV(社内ベンチャー)、CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)、カーブアウトなど、さまざまな手段を通じた事業創造を成功させるための要諦を、海外の著名研究者からの寄稿も交えて、多角的に議論する。主な執筆者:青島矢一/藤原雅俊/野間幹晴(一橋大学) 、マイケル・A・クスマノ(マサチューセッツ工科大学)、一ノ瀬裕城/田浦英明(EYトランザクション・アドバイザリー・サービス)、ジェフリー・ベーレンス(ラボシェアーズ)、クリストファー・L・トゥッチ(インペリアル・カレッジ・ロンドン)。インタビューは、土川元(ソニーCIO/イノベーション・グロース・ベンチャーズ代表取締役)、吉田博一(エリーパワー代表取締役会長)の2本。ビジネスケースは、中村ブレイスと永和システムマネジメント。
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20世紀後半の世界経済を牽引してきた日本の首都、東京。一斉を風靡した時の輝きを取り戻すべく、2020年に2回目の「オリンピック・パラリンピック」を開催する。しかし、ポスト・オリパラの東京のイメージは不透明だ。経済大国でも政治大国でも、ましてや軍事大国でもない日本の顔「TOKYO」はどんな世界に向かおうとしているのだろうか。TOKYOを斬新な切り口から展望しようというのが本特集号のねらいである。主な執筆者:竹中平蔵(東洋大学教授)、岡田智博(クリエイティブクラスター代表)、杉山知之(デジタルハリウッド大学学長)、吉岡(小林)徹(一橋大学講師)、丸山裕貴、平井祐理、渡部俊也(東京大学)、米倉誠一郎(法政大学教授)、和多利浩一、和多利恵津子(ワタリウム美術館)、木下斉(エリア・イノベーション・アライアンス代表理事)。インタビューは、建築家の隈研吾氏と、FLOSFIA社長の人羅俊実氏。ビジネスケースは、Francfrancと新中野工業。特別寄稿は、野中郁次郎(一橋大学名誉教授)の「ヒューマナイジング・ストラテジー」。
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あらゆるビジネスにおいて安全性を確保することが不可欠になっている。現在、IoTやAIの進展や消費者意識の高まりを受けて、安全・安心をキーワードにした新しいビジネスが次々に誕生している。本特集では、幅広い分野におけるビジネス環境の変化を俯瞰しつつ、自動車、情報、セキュリティー、防災、農業、食品、家庭用品など多くの事例から紹介する。主な執筆者:和泉章(一橋大学)、向殿政男(明治大学/セーフティグローバル推進機構)、永井正夫(日本自動車研究所)、前野剣吾/疋田侑也(製品評価技術基盤機構)、畢滔滔(立正大学)、小松崎常夫(セコム)、蛭間芳樹(日本政策投資銀行)、築山万里沙/湯川喬介/渡瀬博文(富士通)、山崎毅(食の安全と安心を科学する会)。ビジネスケースは、「アスクル」と「タカギベーカリー」、インタビューは、サラ・L・カサノバ(日本マクドナルドホールディングス 代表取締役社長兼CEO)、菅原潤一(Spiber 取締役兼執行役)。
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かつて7大石油メジャーの中で最弱といわれたロイヤルダッチシェルは、シナリオプランニングの技法を用いて、オイルショックを機にトップ企業への転身に成功した。それ以降、未来のシナリオを複数描き、未来への備えを講じるシナリオプランニングの考え方が導入されてきた。現代は、VUCA(激動、不確実性、複雑性、不透明性)の時代と称される。予測困難な時代において、企業は、未来とどのように向き合い、備え、味方につければよいのか。未来を洞察する各種のフォーサイト手法を概説し、それらを企業経営の現場に落としこむ取り組みを、幅広い角度から論じる。主な執筆者:鷲田祐一(一橋大学)、七丈直弘(東京工科大学)、粟田恵吾/橘田尚明/時吉康範/八幡晃久(日本総合研究所)、齊籐滋規/田岡祐樹(東京工業大学)、大場光太郎/小島一浩(産業技術総合研究所)、梶川文博(経済産業省)、根本かおり(博報堂)。ビジネスケースは、「ネスレ日本 キットカット」と「ママスクエア」、インタビューは、北川央樹/柴田吉隆(日立製作所 研究開発グループ 東京社会イノベーション研究センタ)。
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これからの初等中等教育には何が求められ、これまで文部科学省中心の教育改革に対してどんな新しいムーブメントが起きているのか、その理由は何かについて議論を深める。特に、AIやアクティブラーニング、プログラミングなど、21世紀型教育を進める新興ビジネスの視点も入れながら、さまざまな改革を概観する。主な執筆者:鈴木寛(東京大学・慶應義塾大学)、工藤勇一(千代田区立麹町中学校)、宮地勘司(教育と探求社)、水野雄介(ライフイズテック)、神野元基・佐藤潤(COMASS)、福島創太(東京大学)。立命館アジア太平洋大学の出口治明学長へのインタビューも収録。ビジネスケースは、シマノ、GLM、メルカリ。
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日本にも「NEXTユニコーン」と呼ばれる新しいスタートアップ企業が出現してきている。上場前にすでに時価総額が1000億円を突破する企業群をユニコーンと呼ぶが、ユニコーンの予備軍が、100億円以上の企業価値を持つNEXTユニコーンである。彼らはこれまでのベンチャー企業とは一線を画する事業戦略や経営資源(人材・技術・資金・ネットワーク)動員を可能としているように見える。本特集では、日本におけるユニコーンやNEXTユニコーンを、創業者自身と一橋大学の研究者が協力し、創業の経緯と経営資源の動員の手法から分析し、21世紀の日本経済を牽引する企業のあり方について一定の展望を提供することを試みたい。登場する経営者と企業:佐々木大輔(freee)、松本恭攝(ラクスル)、山崎敦義(TBM)、阪根信一(セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ)、エリーパワー(吉田博一)ほか。ビジネスケースは、アートの島として知られる香川県直島の歩みをたどった「ベネッセアートサイト直島」と、「日本光電工業」のAED(自動大概式除細動器)の開発・事業化、経営者インタビューは、シリコンバレーでベンチャーキャピタルを運営するアニス・ウッザマン(フェノックス・ベンチャーキャピタル 共同代表パートナー兼CEO)が登場する。
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営業というと、ノルマや営業パーソンのスキルなど、個人と結びつけて語られることが多い。しかし、企業の活動であるからには、組織立った面にも目を向けるべきではないか。たとえば、生産管理のように、標準化などを進め、組織として安定した成果を達成する仕組みの考察である。それは、本社・ホワイトカラーの生産性向上が求められる今、個人と組織の関係を見直すことにつながるかもしれない。こうした現状認識に立って、本特集では、営業を学問として分析するだけでなく、データや現場情報をもとにした研究成果を交えながら、営業の現状と将来を展望し、この領域の研究と実務を活性化することをめざす。主な執筆者:生稲史彦・佐藤秀典(筑波大学)、稲水伸行・山城慶晃(東京大学)、野部剛・小松弘明・鏑木幸臣(ソフトブレーン・サービス)、小菅竜介(立命館大学)、伊達洋駆(ビジネスリサーチラボ)、山本勲(慶應義塾大学)、ビジネス・ケースは、台湾の電動スクーターのベンチャー「Gogoro」と、東京銀座の老舗テーラー「英國屋」の企業変革。経営者インタビューは、ユーグレナのの出雲充代表取締役CEO。
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自動車のEV(電気自動車)化が急速に進みつつあり、自動運転やシェアリング、ネットワーク化などとあわせて、自動車産業が100年に一度の大変革を迎えているとの報道が増えている。ただし、EVに関して、普及スピード、環境への影響度合い、構成部品や設計哲学(アーキテクチャー)などの技術的変化、顧客価値やビジネスモデルへの影響などに関しての認識や主張は、個人や企業によって差異がある。また残念ながら、政治的・感情的な発言や、事実を誤認または歪曲した意見も少なくない。真に環境にとってベストといえるEV、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)、ガソリン、ディーゼルなどからなるポートフォリオのあり方、アーキテクチャーの変化、顧客価値や所有とシェアリングの選択への影響など、冷静かつ客観的な事実に基づいた議論が必要とされている。本特集では、これらを正しく理解するために手引きとなる論考を展開する。将来予測ではなく、考えるためのフレームワークやロジックを議論することが目的である。主な執筆者:延岡健太郎(一橋大学)、藤本隆宏(東京大学)、大聖泰弘(早稲田大学)、柯隆(東京財団)、河野英子(横浜国立大学)、長島聡(ローランド・ベルガー)、藤原清志・松岡完(マツダ)、佐藤登(名古屋大学)。インタビューは、磯部博樹(日産自動車)、寺師茂樹(トヨタ自動車)、ウルリッヒ・ハッケンベルク(元フォルクスワーゲン)。ビジネスケースは、パナソニックと協和発酵バイオ。
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今回の特集では、いまや社会的な課題となっている「働き方」の問題をエビデンスと理論的視点から冷静に捉え直すことを試みる。社会学、経済学、心理学、そして経営学の4領域の研究者が、それぞれの立場から議論することで、①「働き方」を変えることがなぜ難しいのか、その問題の構造を明らかにし、その上で、②既存の議論が見落としているいくつかの課題や論点を明確にして、③この問題を解くためには、しっかりとした方法論に基づいて収集されるエビデンスに基づいた議論が必要である、ということを明らかにしたい。主な執筆者:服部泰宏(神戸大学)、常見陽平(千葉商科大学)、坂爪洋美(法政大学)、山本勲(慶應義塾大学)、森永雄太(武蔵大学)など。経営者インタビューは、サイバーエージェントの藤田晋氏と曽山哲人氏。ビジネスケースは、8番らーめんのタイ進出と南極地域観測隊の組織論。
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