シャンシャン、夏だより
浅野竜(作)
,中村隆(絵)
/文学の扉
作品情報
「この町で、いままでにクマゼミの声をきいたことってある?」
両親から農家のあとをついでくれることを期待されている野歩人(のぶと)は、転校してきてからだれにも心を開かず、まわりから距離を置かれている川村ちとせが、クマゼミをつかまえようとしているところに出くわした。ちとせは、この町にはクマゼミがほとんどおらず、とてもめずらしかったのに逃がしてしまったと、野歩人に怒りをぶつける。
この町にクマゼミがいることを証明できれば自由研究で市長賞を取れるのではないかと考えた野歩人と親友のカモッチは、協力してクマゼミさがしに奔走するが――。
田園風景の残る千葉の町を舞台に、丹念に生き物を観察する小学生たちと、彼らの揺れ動く心情を描いた、12歳のひと夏のものがたり。
第23回ちゅうでん児童文学賞 大賞受賞作品。
[選考委員:斉藤洋氏、富安陽子氏]
物語がはじまった瞬間、読者はこの少女の魅力にとりつかれてしまうか、あるいは、この少女に対する嫌悪感で本を閉じるかもしれない。――斉藤洋
輝かしい子どもらの夏を瑞々しく描く作品の基盤には、土を耕し自然と向き合って生きる農家の人々の営みに対する愛情と信頼が感じられました。――富安陽子
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商品情報
- シリーズ
- シャンシャン、夏だより
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 文学の扉
- 書籍発売日
- 2022.05.19
- Reader Store発売日
- 2022.05.18
- ファイルサイズ
- 26.3MB
- ページ数
- 160ページ
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この作品のレビュー
平均 4.3 (4件のレビュー)
-
農家に生まれたノブトが、最初は自分に自信がないから言い返すのが苦手だったけど、最後には自分の意見を言えるようになった。
理由は、クマゼミの自由研究を通して、川村さんやカモッチとも特別仲良くなったから。…二人の気持ちをよく考えた。
川村さんは、父子家庭だけど、お父さんが人付き合いが苦手で、よく引っ越ししなければならない。ノブトは川村さんが最初好きじゃなかったけど、ご近所だったから親しくなって、セミについて教えてもらったり、家庭の話を聞いて大変だなって思った。気が強いけど優しい、いい子だった。自分の町からも半年で引っ越すことになったけど、引っ越ししてほしくなかった。
カモッチは、成績優秀で、お金持ちで、うらやましかった。でも、ケンカをしたりいろんな話をしたりした。カモッチのことを考えたら、いいだけじゃないってわかってきた。
農家は嫌いだったけど、お姉ちゃんから大切なものだと教えてもらったり、台風の日にみんなで土のうを置いてお米がとれなくなるのを防いだりした。がんばった。それから、農作業が好きになった。大事だってわかった。
だから、ノブトは成長した。
この本は、すごくおもしろかった。星100くらい。ちょっと人と関わるのが苦手な人におすすめ。農作業もおもしろそうだった。
川村さんがどうなったか気になる。お父さんが元気になるといいな。勉強とかはがんばっていそう。
ぼくは、ノブトのお母さんが一番好きだった。農作業に誇りを持っていて、人付き合いが大事だと思っている。ぼくも人付き合いは大事だと思う。何かあったときに助け合えるし、楽しそう。(小6)続きを読む投稿日:2023.06.18
このレビューはネタバレを含みます
シャンシャンと聞いてすっかりパンダの話だと思っていた私
レビューの続きを読む
実はクマゼミの鳴き声?のことでした!
南の方に生息しているはずのクマゼミが温暖化によって段々北上してきているという話を知ってそれを自由研究に…しようと思った野歩人(のぶと)
転校生で感じの悪い女の子、川村さんとクマゼミのことで話をするようになり
ラジオ体操や夕涼み会、お祭りと、夏休みを一緒に過ごすうちに段々と打ち解けてきたが…
川村さんには転校を繰り返すある理由があった
2023年中学入試でいくつかの学校で出題されたという本作
最近は教育格差だとか、貧困家庭についての物語が国語の素材文として取り上げられることが多いです。
作中で
「あたしも、できれば、こんな家に生まれたかった」
という川村さん
親ガチャという言葉もあるように生まれてくる家は選べないし
子どものうちは親の意に従うしかない
私たち大人は何をどうしたらいいんだろうなぁ…
大人の都合で振り回されてしまう子どもたちが少しでも減ればいいなと思います続きを読む投稿日:2023.03.12
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