それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影
六草いちか(著)
/講談社
作品情報
多くのファンと研究家に衝撃を与えた『鴎外の恋─舞姫エリスの真実』(講談社)の続篇。、小説『舞姫』のヒロイン「エリス」のモデルとなった鴎外の恋人を発見した著者はその後も調査を続行、ついにその実像に到達する。新たに突き止められた驚きの諸事実、鴎外と別れてからの「エリス」の後半生とは。
真実を索める者に神は微笑む。別離後、ドイツに帰った「エリス」はどのような人生を送ったのか? その後、鴎外との間にはなんの交渉もなかったのか? ふたたび記録の森をさまよう著者に射した光は、ついに文豪の愛した女性の生身の姿を照らし出す。
2011年に講談社から刊行された『鴎外の恋─舞姫エリスの真実』は多くの鴎外研究家、ファンに衝撃を与えました。徹底したリサーチの結果、小説『舞姫』のヒロインであるエリスが1866年9月15日にシュチェチン(現在はポーランド領)で生まれ、1898年から1904年まで帽子製作者としてベルリン東地区に在住したことが確認された「エリーゼ・マリー・カロリーネ・ヴィーゲルト」であること、鴎外と知りあった頃は20歳か21歳だったことは、まず間違いありません。従来唱えられてきた「エリス人妻説」「エリスはユダヤ人説」は完全に意味を失ったといえましょう。
六草さんはその後も入魂の調査を継続。日本からベルリンへ帰る船中での諸事実から「エリス」が二度の大戦の戦禍をくぐり抜け1953年8月4日に没したことまで突き止めました。そしてついにエリーゼ・ヴィーゲルトの風貌に接するときがやってきます。本書は鴎外と別れてからの「エリス」の後半生と人物像についての驚きの新事実に満ちています。
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商品情報
- 著者
- 六草いちか
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 講談社
- 書籍発売日
- 2013.09.04
- Reader Store発売日
- 2022.03.18
- ファイルサイズ
- 27.1MB
- ページ数
- 384ページ
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この作品のレビュー
平均 4.8 (7件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
20140302読了
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ついに見つけたエリーゼ、その生涯を追う。●現地の機関の独特なシステム(待ち時間の長さ・開館日の制限等も含め)や、担当者によって対応が違い、人的な当たり外れが大きいという、お国柄なエピソードがつぶさに記録してある。さぞ苦労したのだろうが、その社会に免疫がある’現地在住’はこの調査においてすごく強みだったろうと思う。そして、親身になってくれる人はとっても親身になってくれるというのもお国柄だよね、と前作に引き続き’墓地の彼女’の援助に嬉しくなった。●第3章、本筋からちょっと外れた話がおもしろい。留学生の遺児の話、「独逸日記」に出てきて気になっていたのだ!梅謙次郎が兄の遺児を引き取っていた後日談に、誠実な人もちゃんといたのだとちょっと安心。現存しないと言われていた鴎外3つ目の下宿が特定された。鷗外記念館は鷗外の1つ目の下宿跡ではない。同じ建物内にある下宿跡は、記念館開設当時に入居者があったため借りられなかった。下宿だったところは今も住宅で、個人宅となっている。●エリーゼが38歳で結婚し、1953年に86歳で老人ホームにて亡くなったこと、その夫の墓、鷗外が定期購読していた新聞に夫の死亡広告を「書状に代えて」掲載していたこと、偽名ルーツィを使った理由、エリーゼの血縁者との出会い、エリーゼと夫の写真…。よくぞここまで、と思うほど、愛情をもってエリーゼの人柄にまで迫った本だから、感動さえ覚える。あの激動の時代に、国境を超えた悲恋であり純愛だったんだなぁ…。投稿日:2014.03.04
エリス(エリーゼ)の写真なるものを某所で見て、出元はどこかと思ったら六草さんだったのかー!!またしてもすごい!!!どんだけ大発見を繰り返すのですか?!
エリーゼは帽子職人として身を立てていた、というの…が前著で明らかにされていた。本著ではエリーゼが結婚していたこと、第二次大戦後まで生きて最後は老人ホームで息を引き取ったことが明かされる。ちゃんと幸せになって、大変な時代を生き抜いて、長生きしていたことがわかってよかった。
そして、エリーゼと鷗外の間にあったのが純愛だってことがよくわかった。鷗外は再婚までに12年も間が空いた。その間、エリーゼも独身を通していた。エリーゼが結婚したのは鷗外の再婚から3年後、すでに38歳で当時からすれば相当な晩婚。しかもどうやら鷗外の再婚まで、2人は文通していたのだとか。
17年。なかなか待てるもんじゃない。エリーゼ、あっぱれ。
けれど、まだまだ謎は残る。エリーゼの夫のお墓は見つかったけど、エリーゼ本人のが見当たらないのだそう。そしてどうもエリーゼは踊り子じゃなかったようだけれど、じゃあわざわざタイトルを『舞姫』にしたのはなぜ?妊娠&発狂設定は何故??というどでかい謎が未解明。いつかわかる日が来るのかなぁ?それとも謎は謎のまま、これからも読み手を惹きつけ続けるのかなあ??続きを読む投稿日:2021.06.15
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