青葉の笛
あまんきみこ(文)
,村上豊(絵)
,西本鶏介(監修)
/日本の物語絵本
作品情報
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
源氏の武将、熊谷直実は、須磨の戦い前夜、平家の陣屋から流れる笛の音に心を動かされた。それこそ、平敦盛の吹く名笛の音だった。『平家物語』の有名な悲劇。
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商品情報
- シリーズ
- 青葉の笛
- 出版社
- ポプラ社
- 掲載誌・レーベル
- 日本の物語絵本
- 書籍発売日
- 2007.01.17
- Reader Store発売日
- 2021.12.10
- ファイルサイズ
- 39.4MB
- ページ数
- 38ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (9件のレビュー)
-
熊谷次郎直実が一の谷の戦いで平敦盛を討ったときの物語。無冠の太夫敦盛はその時17歳だったとか。名を”小枝”(さえだ)と言う笛を通して、二人の人生を印象深く表しています。読んでおきたい一冊。
小学校の国…語教科書(光村)に紹介されています。続きを読む投稿日:2011.08.10
歴史が好きだ、古典の文章を読んでみたい、という嬉しいことを言ってくれた中学生の男の子からおすすめされた絵本。小さいときから、家に置いてあったそうで、何度も読んで大好きな絵本だそうだ。
内容は、源平合…戦。源氏方の熊谷次郎直実が、海へ逃れようとした平敦盛の首を取る場面だ。『平家物語』の巻九「敦盛最期」のエピソードに寄ったものだそうだが、敦盛の首を取った後の直実のセリフなどを見ると、作者の解釈によって、原作以上に子を持つ親である直実像が浮き立っている。
ー戦いとは、なにか。
ー人をころすことが、てがらなのか。
ー一番のりは、てがらなのか。
ー武士とは、いったい なんなのか
当時の武士に、こうした言葉で表されるような葛藤があったのかは分からない。けれども、息子の小次郎直家と同じ年の頃である敦盛を討ち、むなしく「波うちぎわに立ちつくしていた」直実の様子は絵と相俟って、見入ってしまうものがあった。
「青葉の笛」というタイトルの割には、笛の存在がささやかな絵本だったな、とも思う。翌朝、源氏一万余の軍が攻めかかろうという夜、平氏方の陣から聞こえてくる笛の音。それを聞いた直実は、「死をかくごして ふいている笛か」「よほど りっぱな武将であろう……」と思う。
笛の音は、「露のようにしみる、静かな うつくしい音色」だった。そんなやさしい音色と、「立派な武将」であることが、どうして結びつくのか。それは、直実にとっての「りっぱな武将」が、ただ猛々しく、いくさに強いことではなかったからだと思う。
敦盛は、見逃そうという直実の申し出を断り、名笛「小枝」を残して潔く討たれることを選んだ。その姿に、直実は、昨夜聞いた笛の主=「りっぱな武将」が、敦盛であることを確信する。笛は、直実の考える本当に優れた武士が、どのようなものかをつなぐ役割を果たしていた。
小さい頃、この絵本を読み、中学生となった子が、『平家物語』を読んでみたいと言ってくれたことが嬉しい。古文に触れたとき、あまんきみこが見た「直実」とは違った「直実」に出会ってくれたらいいな、と思う一冊だった。続きを読む投稿日:2024.01.27
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