この作品のレビュー
平均 3.8 (5件のレビュー)
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近年の政治の課題を挙げ、選挙の票にならない困難な問題は先送りする自民党に苦言を呈し、本気になって政権奪取せよと野党に激を飛ばす本でした。
田原総一朗さんは著書よりも、『朝生』での印象が強い。
経歴は…知らなかったが、元は東京12チャンネル(現テレ東)の開局時にディレクターとして入社し、ドキュメンタリーを手掛けていた。
原子力利権に気づき政治家や官僚や電通を非難したため、「スポンサーを送らない」と脅され(現)テレ東を辞めさせられていた。
今ジャニーズが問題になっているが、これもメディアが圧力に屈してこれまで報道を避けていたという一面がある。
メディアをコントロールする電通やジャニーズのような企業や権力を監視する仕組みを作らなくてはいけないと思う。
本書は、菅政権から岸田政権に変わったタイミングで出版されているので最近の様子が書かれている。
田原総一朗さんは、自論の押し付け感が強く、他者の意見をよく否定する。
『朝生』では、司会者なのに自分の考えを喋りすぎという欠点もある。
田原さんは自論の展開のため誤った決めつけもありそうなので、7割くらいは本当なのだろうと受け止めることにしている。
だが、権力に忖度することは一切ないし、タブーにも踏み込んでいく胆の据わり方には感服している。
田原さんが取り上げた日本の課題は次の6つ。
・エネルギー 脱炭素と原発、困難なエネルギー問題に触れたがらない自民党
・経済 アベノミクスでない新しい経済戦略
・日米同盟 米中戦争・台湾有事を起こさないために日本はどうするか
・選挙制度 党の推薦が選挙での得票数に直結する現選挙制度は変えられない?
・ジェンダーギャップ 日本は男女格差があまりにも大きい。出産はともかく育児・家事は女性の仕事という認識が抜けない。
・野党 不祥事だらけの自民党政権がずっと続くのは野党が政権奪取する気がないから。
アベノミクスがうまくいっていないことは、国民の多くも分かっているし、自民党自身もわかっている。
では、どうすればよいのかが誰も分からなくて困っているのだ。
だからアベノミクスを批判しても野党の支持は上がらない。
日本には「危機管理」という概念がない。
一般には国が亡びる危険性、即ち戦争を想定しているのが「危機管理」だそうだ。
日本は憲法で戦争を放棄しているので、危機管理条項もない。
コロナ禍で、国がお願いしかできなかったのも、「危機管理」が法的にも整備されていないためだ。
日本は「同調圧力」が強すぎる。正論を言うと左遷される。つまり空気を読んだ「協調性」が最優先される。
池上彰さんも言っていた「アーミテージ・レポート」がここでも出てきた。
集団的自衛権の行使をしないのであれば日米同盟の意味はない、としつこく書かれている。
安倍政権では多くの国民の反対を無視して閣議決定を強行した。
日本の政治はアメリカの圧力に屈しているものが多い。
エネルギー(原子力)、経済政策、日米同盟は特にアメリカの意向が強く反映されている。
ジェンダーギャップに関しては日本独自の問題だ。
いまだに男性が育児休暇を取ることがニュースになるのは、日本がそんな社会であるということだ。
「女性が輝く社会」というスローガンも、女性をバカにしている思考回路が見て取れる。
田原総一朗さんって、右派からも左派からも叩かれるし、中道でもないし、立ち位置がわからない。
私も全面的に支持してはいないが、権力者に面と向かって意見できる貴重な存在だ。
最近こういう「空気を読まない」人が減っていると感じる。
受けた経験に味を占めて、「空気を読まないフリ」をするのはやめて欲しいけどね。続きを読む投稿日:2023.09.09
著者ほどのジャーナリストになると、政権レベルで意見が言えることに驚きを感じました。子供の頃から朝生等拝見し、今でも熱い議論をされている著者の熱意に感服いたします。
投稿日:2023.08.20
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