日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030
ジェレミー・ブレーデン(著)
,ロジャー・グッドマン(著)
,石澤麻子(訳)
/中公選書
作品情報
2010年代半ば、日本では、大学の「2018年問題」がさまざまに議論されていた。18歳人口の減少によって、日本の弱小私立大学は次々と経営破綻すると予想されたのだ。しかし、日本の私立大学の数は逆に増えている。なぜなのか。
著者たちは人類学者ならではのフィールドワークとデータの分析によってその謎に迫っていく。導き出されたのは、日本独自の「同族経営」の実態であり、それは私立大学のみならず、日本社会の本質をも炙り出している。他に例をみない私立大学論であり、卓抜な日本社会論ともなっている。
オクスフォード大学教授・苅谷剛彦氏による解説を付す。
もっとみる
商品情報
- 著者
- ジェレミー・ブレーデン, ロジャー・グッドマン, 石澤麻子
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公選書
- 書籍発売日
- 2021.09.10
- Reader Store発売日
- 2021.09.24
- ファイルサイズ
- 6.8MB
- ページ数
- 352ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.1 (9件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
「2018年問題」と言われた18歳人口の減少の中、廃校となった私立大学は予想に反して少ない。この謎を解明するのが、本書である。
レビューの続きを読む
私立大学が生き残りを掛けて採った方策には以下のものが挙げられる。
・規模縮小
・提供するコースの調整(改組・名称変更)
・高校卒業生市場の掘り下げ
・中等教育機関を運営する学校法人と大学を有する学校法人との間の「垂直」の戦略的統合
注目すべき点は、70-80年代の入学生減少期に米英の大学が採った以下の方策とは異なることだ。
・社会人学生や遠隔学習者(パートタイム学生)の確保
・海外からの留学生の確保
・研究費補増やすための産業界とのパートナーシップ
日本では、90年代に中身が伴わない「ショーウインドウ化」した大学院の量的・質的充実が課題となり、アメリカの大学を参考にしつつ以下の制度も採られたが、「失敗」と評されことが一般的だ。
・2000年代初頭の大学院の拡充
・株式会社立の大学(2003-)
・専門職大学院制度(2003-)
・法科大学院制度(2004-)(74校➔39校に減少)。
結局、私立大学の歳入の内訳(財政構造)は、18歳人口ピーク時の90年代の頃から変っていない。生涯教育・リカレント教育のかけ声にも拘わらず何の変化も生じなかった。
それでも(歴史の浅い小規模大学が多い)「私立大学協会」に属する新興の「同族経営大学」の多くが存続している。それはなぜか。これら大学は、革新的な教育や経営的なアイディアを取入れ、試し、発展させ、カリスマ的な教育リーダーが熱心に改革を進めることができるからだ。同時に、コングロマリットの中で主要な”フラッグシップ”となる大学を閉鎖すると、学校法人全体の評判に傷をつける。系列の学校全てだけでなく、経営一族までが被害を受ける。だから大学を存続させることは必須で、これがレジリエンスに繋がったということだ。
しかし、コーポレートガバナンスを強調することは「アカデミック」ガバナンスの仕組みの希薄化に繋がる。これまでどおり私立大学は「公益性を備えた存在」となり得るのか。理念と現実との相克の中で、「同族経営大学」は、営利企業のように継続していくのでであろうか。
この問い対して各大学は、「政府によるコントロール」と「マーケットの力学に任せる」という矛盾した政策の中の「匙加減」で、私立大学は翻弄されていくのだろう。投稿日:2023.06.16
外国からみた私立大学の経営に関する本。元々は英語書籍で、family-tuned private universitiesというタイトル。
同族経営、というくくりは、日本人にとっては聖域じみていて触…れられてこなかった領域に切り込んでいる。
本著で同族経営によるレジリエンス(サバイバビリティ)に切り込むのは、後半から。前半はMGUという仮名の大学を例示して、日本の私立大学の典型例をリアルに書く。その中であの手この手で大学を存続させる施策やトレンドに触れる。
自分自身はこういう場面に直接入っていく機会はなかったが、営利企業らしいしたたかさと、同族経営っぽい存続への想いなど、こう顕在化するのかと興味を持って読めた。
MGUは茗溪、大阪学院大学のことかな。続きを読む投稿日:2023.06.02
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。