科学を語るとはどういうことか 増補版
須藤靖(著)
,伊勢田哲治(著)
/河出書房新社
作品情報
哲学者の議論を「的外れ」とする科学者と、科学者の視野の狭さを指摘する哲学者が、科学とは、学問とは何か、妥協せず論じ合った名著の新版。各所からの問いにこたえる新規対談を収録。
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商品情報
- シリーズ
- 科学を語るとはどういうことか 増補版
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 数学・物理学・化学
- 出版社
- 河出書房新社
- 書籍発売日
- 2021.05.27
- Reader Store発売日
- 2021.08.06
- ファイルサイズ
- 3.2MB
- ページ数
- 344ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (4件のレビュー)
-
科学も哲学もよく知らずに読んだ上、ふだんからさして役に立たないことをぼんやり考えがちなので、読んでいるうちにだんだん辛くなってきたような…。 ここ数年大きな顔をますます大きくしてきた感のある「役に…立たない学問」軽視は、これから先も本当に「役に立つこと」を得続けるのに不可欠な基礎部分をリスペクトしないので、薄っぺらで先細りの住みにくい世を招きそうです(で、もともと気持ちが沈みがちです)。とはいえ一方で「今すぐに役に立つ」以外の分野に社会性が少なくなりがちなことも確かにありそうで、それはそれで「だから余計大きな顔がどんどん大きくなっちゃうんじゃん!」と苛立ちたくなります(この本のことではないです)。
新聞に掲載される須藤先生の書評を楽しみにしているので、あの須藤先生から見ても「何だかなあ」的なものなのか…?、と、哲学者の先生にももっと頑張ってほしかった、というのが読んでいるときの正直な気持ちでしたが、それはもちろん本当は頑張りの問題じゃなくて、何か深いところまで行ってしまうとそこにいない人には伝える方法がなかなか見つからない、というようなことなのかもしれないです。基礎的な物理学というのもすぐに役に立つ分野じゃない、という点で世間の成り行きと闘っていらっしゃるのかな、と思いますが、まだしも哲学よりは世間に受け入れられやすいかもしれず、「科学哲学」という分野さえ初めて知った素人は混乱しながらも、でもそこのところ、せめて理系基礎分野の方々に対してもう少し伝わる幅が広がれば心強いのかな、と(誰がよ、ですが)思いました。
それはそれとして…。私にとっては言葉で他のひとと理解し合うための努力の、ある意味究極のあり方を一緒に体験させてもらえる本でした。この「解りあえなさ」を単純な解釈や結論に落とし込んで多少でも安易にすっきりする(その一番の見本が陰謀論かも…)ことをせず、どこまでもちゃんと解ろうとする、というこのストレスフルな諦めない強靭さこそ尊い、と感じます。とりわけコロナ禍とウクライナ侵攻の世の中で。続きを読む投稿日:2022.03.04
物理学者と科学哲学者が平行線の対談を繰り広げ「あー、そうなっちゃうよね」と思わせる本。
「実学」志向者が、もうちょっと他人にも伝わるように嚙み砕いた話し方をしたら? と言い、哲学の人が「それだと正確じ…ゃない」と返す感じ…。
大学生とかのうちにこういう議論をしておく価値はあると思う。大半の人はその後は実学方面に向かうのだけど。
そういうすれ違い、簡単には決着のつかない議論を楽しむ本である。
そういう楽しみ方(?)を想定してか、両者の意見がすれ違うような話題をあえて選んだという。また、物理学者も意図的に挑発的な言い方をしているような印象を受ける。
なお、そもそも科学哲学は一枚岩ではなく
「科学哲学には、大きく分けて、少なくとも三つは違う興味の持ち方があって、形而上学的な議論(そもそも世界がどうあるのかということについて議論したい人)と、認識論的な議論(我々は世界についてどうやって知るのか、我々の知り方について議論したい人)と、そして、概念的な議論(言葉の意味について議論したい人)がいる。」
ということなので、1人の科学哲学者がそれらを代表して発言していると思って読むとわかりにくい(本人は代表という意識はないという)。
そんなわけで
「もっとバランスのとれた初学者向けの解説書としては、戸田山和久『科学哲学の冒険』(NHKブックス、2005年)、森田邦久『理系人に役立つ科学哲学』(科学同人、2010年)、伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』(名古屋大学出版会、2002年)などを読んでいただければと思う。」とのこと。続きを読む投稿日:2023.08.16
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