『論語』 孔子の言葉はいかにつくられたか
渡邉義浩(著)
/講談社選書メチエ
作品情報
〈「古典」は創造される〉
儒家たちが己の思想の正否を賭けてテキストと格闘し続けた、エキサイティングな二千年の思想史!
□「子曰く」……孔子は本当にそう言ったのか?□
春秋時代の弟子たちが残した師の言行は、口承で、あるいは竹簡や木簡によって紀元後に伝えられた。
それはさらに時を経て、前漢から宋、江戸時代の日本に至るまで、儒教の思想家たちの強い意志と意図とともに編纂、継承され、ついに『論語』は東アジア最大の古典としてつくりあげられた。
鄭玄、何晏から朱子までの儒家、江戸の伊藤仁斎、荻生徂徠らはあるべき聖賢の思想をいかに追い求めたか。
『論語』テキストの系譜を、ひとつの思想史として描き出す!
「本書が扱うものは、『論語』の形成過程と、朱熹の『論語集注』が成立するまでの解釈史である。しかも、そこで明らかになることは、『論語』とは、孔子の「ありがたい」言葉が収められているものではなく、長い歴史の中で、思想家たちの意図のもと孔子の言動は作られてきた、という事実である。それでは、『論語』を読むことに意味はないのか。そうではあるまい。『論語』などの古典は、時代や個人に応じて受け取られ方が異なるからこそ、時代を超えた普遍性を持って読み継がれてきた。『論語』も、それを手にした一人ひとりの思いに基づいて読まれてきた」(本書より)
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商品情報
- シリーズ
- 『論語』 孔子の言葉はいかにつくられたか
- 著者
- 渡邉義浩
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社選書メチエ
- 書籍発売日
- 2021.02.12
- Reader Store発売日
- 2021.02.10
- ファイルサイズ
- 7.4MB
- ページ数
- 320ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
早稲田のオンライン授業用のテキストがベースらしいが、、まあ教養レベルかなという感じがする。もっとも近ごろは高校でまともに漢文を勉強しないらしいから、これで学部レベルなのかもしれない。物足りなくて、途中…で放棄。続きを読む
投稿日:2021.04.11
このレビューはネタバレを含みます
「本書が扱うものは、『論語』の形成過程と、朱熹の『論語集注』が成立までの解釈史である」と「はじめに」で書かれているように、本書の前半3章は「論語」が現在の内容に固まるまでの推移について、後半3章は内容…が固定された「論語」の解釈論の変化について著述されている。
レビューの続きを読む
他の(宗教的)古典でも同様だが、古典的書物に書かれた内容全てが名目上の著者が書いた/発言した内容であるとは限らない。「論語」の場合は、司馬遷の居た紀元前1世紀ごろには、魯論と斉論そして古論(註:前2つより古いわけではない)に大別されていたらしい。「論語」が現在の内容に固まるのは、前漢末の成帝に対して講義した張禹の論(張候論)に基づくらしく、その内容は魯論に斉論を照らし合わせたもののようである。「論語」のテキストが固まった時点であっても、「論語」の内容には孔子の純粋な思想が伝わっているとは言えず、道教的な見解が含まれたり、儒家の人々が諸子百家に対抗する根拠となる内容が含まれたりしていた。
為政者側の「儒学」受容状況としては、前漢と後漢の間の新王朝で皇帝となった王莽により前漢末期から「儒学」が「儒教」となり国教として扱われるようになっていった。その流れを汲んで後漢は儒教国家となり、その後の「古典中国」が確立した。
朱熹の朱子学が現れる宋代12世紀になるまでにも「論語」の解釈論は時代の推移と共に変化していった。
後漢の偉大な儒学者である鄭玄(じょうげん)は周王朝を理想化して「三礼(さんらい)」の書を重んじ、経書および緯書(経書に合うように偽作?された書)の解釈も三礼を中心として構築された。鄭玄による論語の注釈書「論語注」も鄭玄自身の思想に基づいて構築された。
次の三国時代の魏に現れた儒学者何晏(かあん)は「論語集解」を著し、「老子」「荘子」など道教的な思想を含めた解釈を行った。
南朝・梁の儒学者皇侃(こうがん/おうがん)は、仏教国家である梁に居り仏教による「平等」思想の影響を受けている。著書「論語義疏」という書名は、仏典注釈書を指す「義疏」という単語が使われており、またその内容でも儒学を「外教」と位置づけ仏教を「内教」としており、仏教中心的な意識が働いていることが分かる。
前漢において「論語」というテキストの内容が固定されても、その後の時代の流れに即してその解釈が変化していったことが分かる。その解釈がさらに大きく変化したのが朱熹「論語集注」であった。本書において朱子学や江戸儒学については余談ではあるが終章にまとめられており、日本の近代に繋がる儒学・朱子学・陽明学についても概要を知ることが出来る。
終章の終わり辺りで「東アジアでは、西欧哲学のように、独自の著作を著して、自己の思想を述べるのではなく、古典への注釈として自らの思想を表白した」とあります。現代における論語の一般的解釈は孔子の思想そのものとは限らず、注釈書の著者たちの思想をも含んだものと言えます。論語の解釈は、宋代以降に朱熹自身が構築した体系に基づく「新注」に入れ替えられ、それ以前の「古注」は顧みられることがほぼ無くなりました。しかし著者は「古注」で論語を読むことを本書で示してくれました。「古注」は体系的ではなく、また矛盾も含まれています。しかしそれは孔子自身の本来の教えにより近いものを我々に示してくれるのかもしれません。
正直なところ、この本を読み始める時にはこれほど難しく奥深い内容の書籍だとは思っていませんでした。内容は手強く、しかしそれゆえに面白かったです。「論語」は昔から好きな本の一つだったのですが、本書を読み進めていく上で自分自身の中国文化史や「論語」に関する知識の少なさにも呆れました。なんとか最後まで読み切れたので、「論語」そのものを改めて読み返してみたいと思っています。続きを読む投稿日:2021.06.07
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