文字と組織の世界史 -新しい比較文明史のスケッチ
鈴木董(著者)
/山川出版社
作品情報
中国・インドが近未来の2大経済大国となりつつある今、世界は「西欧の世紀」から再び「アジアの世紀」を迎えるのか?この事態を読み解くための、新しい「文明史観」がここに登場!諸文明を「文字世界」として可視化し、歴史上の巨大帝国を「支配組織」の比較優位で捉え直す、トインビー、マクニールを越える「比較文明史」の試み。
「紀伊國屋じんぶん大賞2019 読者と選ぶ人文書ベスト30」に選出!(10位)歴史書ではトップにランクイン!反響続々!!
『日本史の内幕』の磯田道史さん
「たった一冊で全世界の人類史を語る本など、そうそう書けるものではない。古くはトインビーがそれをやった。文明史である。近年では、ハンチントンが『宗教』、トッドが『家族』、梅棹忠夫が『生態』を切り口に、人類を幾つかの『文明』にわけて人類史を語った。しばらく、そんな壮大な文明史を書く学者は日本に現れまいと思っていたが、本書が出た」(毎日新聞書評)
『仕事に効く教養としての「世界史」』の出口治明さん(立命館アジア太平洋大学学長)
「本書は諸文明を『文字世界』で大くくりに分け、世界帝国を『支配組織』の比較優位で論じた一つの試みである(中略)著者は中国の昇龍を予見するが、日本は「経済力と技術力で常にイノヴェーションを生み出し、活力を保っていくことが肝要」という結論を導く」(朝日新聞書評)
WEBRONZA書評
「本書は言語・文字・宗教を切り口にして古代メソポタミアから現代までの数千年にわたる世界の歴史を俯瞰したうえで現代そして未来を展望しようとした、意欲的な『世界史』であることに気が付いた(中略)冷戦の終わりは予想に反して『歴史の終わり』などではなかった。世界はいま何とも予測しがたい過渡期にあるのかもしれない。そのことを再認識させてくれる本」(松本裕喜さん)
『週刊金曜日』書評
「世界四大文明にはじまり、現代から近未来にいたる壮大な時間スケールで人類史をまとめる意欲的な試み(中略)明朝の鄭和による大遠征以来となる現代中国の『一帯一路』構想や、その中国が一強になる未来を回避して東・東南・南アジアの大きな共同体を考える場合に無視できないインドの存在など、ラテン文字世界中心の秩序に拮抗しうる漢字世界と梵字世界の潜在力が、単なる西洋vs.東洋という二項対立の構図を超えて浮かび上がってくる」(永田希さん)
『日刊ゲンダイ』書評
「1957年、梅棹忠夫は『文明の生態史観』で新たな文明史モデルを提示し、大きな反響を呼んだ(中略)それから60年、『新しい文明史観』をうたう本書は文字に着目し、同じ文字を使用する地域同士がどのような文化的共通性を醸成していったのか、そして他の文字文化圏といかなるあつれきを生じてきたのかを概観する。注目すべきは、言語・宗教・民族といった区分けと文字文化圏は必ずしも一致せず、文字文化圏という観点を導入することで新たな歴史の動きが見えてくることだ」
「文字だけでなく、組織に注目したところも、斬新なアイデアで、大いに関心させられた。(略)世界史で大学受験する者や、大学で歴史や人文学を学ぶ者にとって必読文献であることはいうまでもない」(シュうぇッチマン氏)
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この作品のレビュー
平均 3.5 (5件のレビュー)
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これまでの世界史は、並存する個々の「文化世界」からみた自己中心的な視点からの記述に止まり、諸文明の相対性に着目したトインビーですら西欧中心主義からの脱却はなし得なかった。本書は、世界全体を覆う「グロー…バル・システム」の成立により単一文化中心的な視点はもはや妥当せず、様々な文化のライフ・サイクルを軸に文明史を捉え直すべきと唱える。
同様の試みとしてはハンチントン「文明の衝突」がすぐに思い浮かぶが、国際政治学に属する同書が「文明」と「文化」との違いをあまり意識せず、イデオロギー対立終結後の対立軸としてやや曖昧に「文明」を扱っていたのに対し、世界史に軸を置く本書は両者を相補関係に立つが異なる概念として峻別し、主に「文明」よりも各「文化」世界がグローバル・システムに統合されていった過程を記述する。そして、同一文化圏を規定するのは「文字」であるとし、使用文字を基準に世界を切り分けるのである。
ただ、本書での各「文字」は、文化圏を「事後的/結果的に」規定する媒体として現れるのみで、文字の使用がどのように各文化圏の思想や政治を形成していったかという視点の記述はほとんどなく、文字に関する視覚的な情報も皆無である。題名や装丁からそのような内容を期待するとやや肩透かしを食らうのではないか。
しかし、切り口として文字を用いることでうまく説明がつくことも多い。例えば世界史上特異な例として挙げているインドと中国について、著者はこれらの二国家が「ネイション・ステートの衣装を纏った一つの『世界』」であるとするが、確かにこれらの二国家は通常のネイションステートとは異なり、文化の同一性、即ち使用文字の同一性が重要な役割を果たしているように思える。多民族・多言語国家たるインド、永きにわたり民族的アイデンティティを保持する必要があった中国において、文字が同一であることの文化的統合への貢献は少なからぬものがあるのだろう。また東欧諸国のソ連的共産主義の受容・反発が、所属する文字世界で異なっていたことの指摘も興味深い。
本書は、グローバリゼーションを文明のみならず諸「文化」の西欧化、即ち平準化と捉え、(文明が優劣比較可能であるがゆえにその巻き添えを食う形で)諸文化までもが斉一化され忘却されることへの警告で終わっている。西洋の脅威への対応を誤り解体の憂き目を見た、オスマン帝国を専門とする著者ならではの重い提言だと思う。続きを読む投稿日:2018.12.02
もっと斬新な文明間、歴史観を期待して読んだが、結構普通の通史だった。ただ、20世紀後半以降から将来を見通す記述は示唆に富む。
投稿日:2022.10.12
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