戦後と私・神話の克服
江藤淳(著)
/中公文庫
作品情報
戦後の「正義」に抗い、自身の「私情」に忠実であることを表明した「戦後と私」、三島由紀夫、石原慎太郎、大江健三郎を論じた卓越した批評「神話の克服」。「私」三部作ほか、癒えることのない敗戦による喪失感と悲しみを文学へと昇華した批評・随想集。自作回想「批評家のノート」初収録。
〈解説〉「江藤淳と『私』」平山周吉
【目次】
Ⅰ
文学と私/戦後と私/場所と私/文反古と分別ざかり/批評家のノート
Ⅱ
伊東静雄『反響』/三島由紀夫の家/大江健三郎の問題/神話の克服
Ⅲ
現代と漱石と私/小林秀雄と私
解説 江藤淳と「私」(平山周吉)
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商品情報
- シリーズ
- 戦後と私・神話の克服
- 著者
- 江藤淳
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公文庫
- 書籍発売日
- 2019.05.25
- Reader Store発売日
- 2020.01.31
- ファイルサイズ
- 0.8MB
- ページ数
- 320ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (3件のレビュー)
-
癒えることのない敗戦による喪失感を綴った表題作ほか「小林秀雄と私」など一連の「私」随想と代表的な文学論を収めるオリジナル作品集。〈解説〉平山周吉
投稿日:2019.05.27
本を読みながら「あ、ここは感銘を受けた」と思う箇所はページの上を小さく折り曲げる癖があるのだけれど、冒頭からの「文学と私」「戦後と私」があまりに素晴らしすぎて、ほぼ全てのページが折り曲がった挙句、おも…うらで折り曲げたかったのでページが足りなかった。語りが明快で美しすぎないか?という衝撃と、読み手の心をここで揺さぶろう、という抑制の効いた文体の力があり、とても文学だとおもったしこういうのがやはり批評家なのだとも思ったな。
ところでーー幼少期に母を失い、それから世界と調和できなくなり、その軋轢を緩和するためにひたすら納屋(母の胎内)にこもって文学を読む、というのはほとんどオタク的な振る舞いすぎて、読んでいてちょっと驚いてしまった。わたしは「生身の自分のままでは日常と対峙できず、その軋轢から身を守るためフィクションなどで武装する人間」をオタクだと認識しているのだけれど、ほとんど同じ行動原理ではないか? しかし、なぜこの時代までは、その柔らかな自我を守るための武装が、文学と結託して、社会や、より大きなものを描きたりえたのかがまったく実感として伴わない。江藤淳にとってライナスの毛布であった文学が社会を語り得たというのはある種の文学の力なのだとおもうが、もはや今、文学からはそんな力は失われているように思えるし、オタクたちはまったく現実に作用しない言葉で遊んでいる。オタク的な振る舞いに端を発して世界と触れられるという世界は、一体どんなだったのかと想像してしまった。
それにしても、父の落ち込んでいく様子に日本の敗戦の姿をみていたというのは、あまりに大変なことだが、階級的な問題もありおそらく本当なのだろう。こうした私的な領域から戦後にこだわり、やや右傾化しながらもテーマを追求していくというのは、とても誠実だとおもう。そしてこうした誠実さは、わたしはその主張の立場がどうあれ、とても尊敬する。同時に読み継いでいかねばとおもう。というか江藤淳、読めば読むほど、村上春樹は江藤淳を割としっかり読んでいたのでは?という気がしてくる。
そして、編集が素晴らしい。それぞれの文章が、内容はもちろん、年代別に(引用などで)相互関係を保ちながら緩やかに繋がるように構成されており、江藤淳の戦後への屈託を読む上でのベスト・アルバムといった編成になっている。良い読み手の編集者がまだギリギリ存在している書き手なのだと感じる。続きを読む投稿日:2020.06.25
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