小説
酔どれ副将軍 徳川萬次郎
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荒くれ人足や大工左官、香具師の酔客が夜な夜な集う深川の「のぶ」。女将の信が切り盛りする居酒屋であったが、今日は見かけない客がひとり。一見、浪人のような若侍だが、腰には見栄えする刀を帯びている。萬次郎と名乗るこの風来坊、その正体たるや、将軍・家治の実の弟にして、御三卿・清水家の初代当主・徳川重好、その人であった。仲の良い兄を助けようと、庶民と同じ暮らしをして政を見直すべく、町に出ていたのだった。そこで見聞きしたのは、萬次郎と同じ御三卿・一橋家の横暴な策略。一橋治済は、野菜の産地を将軍家の鷹狩り場に・・・
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「私の住処はここ、深川だ」──瓜実顔で誰もが振り返る立派な武家が、口癖のようにそう嘯く。だが、風来坊を自認するこの若侍、顔立ちや身形に溢れる気品は隠せようがなかった。それもそのはず、徳田萬次郎を名乗るこの男、その正体たるや、将軍家治の弟御にして御三卿清水家当主徳川重好である。御城内に屋敷を拝領しているものの、町中の居酒屋に居候し、気ままに暮らしながら兄の治世を助けていたのだ。 とある日、将軍に御目見えした萬次郎は、顔を真っ赤に腫らした兄の姿に驚く。どうやらその裏では、深刻な病状だと診立てる奥医師と、家治と嫡子家基の追い落としを狙う幕閣の不穏な企みが……。熱い兄弟愛で結ばれた萬次郎と家治は、政の秩序を乱さんとする奸計に立ち向かう!
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荒くれ人足や大工左官、香具師の酔客が夜な夜な集う深川の「のぶ」。女将の信が切り盛りする居酒屋であったが、今日は見かけない客がひとり。一見、浪人のような若侍だが、腰には見栄えする刀を帯びている。萬次郎と名乗るこの風来坊、その正体たるや、将軍・家治の実の弟にして、御三卿・清水家の初代当主・徳川重好、その人であった。仲の良い兄を助けようと、庶民と同じ暮らしをして政を見直すべく、町に出ていたのだった。そこで見聞きしたのは、萬次郎と同じ御三卿・一橋家の横暴な策略。一橋治済は、野菜の産地を将軍家の鷹狩り場にしようと土地を買い占め、農民たちを苦しめていたのだ。兄とともにその野心を阻もうと立ち上がる萬次郎。民の願いは果たして天に通じるのか──!?
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