長寿時代の医療・ケア ──エンドオブライフの論理と倫理 【シリーズ】ケアを考える
会田薫子(著)
/ちくま新書
作品情報
人生の最終段階においては、医療の選択をするのが難しい。最先端の治療が必ずしも患者本人の価値観に沿うとは限らないからだ。ゆえに、家族も悩み、揺れる。患者を大切に思うからこそ、ケアの現場は混乱を深めることになる。本書では、日本老年医学会で臨床倫理を牽引する著者が、医療・ケアの現場を丹念に調査し、医療者、患者、家族の苦悩をすくいあげ、人生の最終段階における医療はどうあるべきか、その考え方を示す。老年医学と臨床倫理の知見を踏まえつつ、超高齢社会における医療とケアの役割を整理する。
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この作品のレビュー
平均 4.3 (3件のレビュー)
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人生の最終段階の医療やケアの役割を論じた書籍。第6章「事前指示からアドバンス・ケア・プランニングへ」ではAdvance Care Planning; ACPを取り上げる。
ACPは患者本人が主体的に…医療やケアを選択するための制度である。ところが、日本では最後をコントロールする権利ではなく、義務になってしまう危険がある。選択肢を提示して、それらのメリット・デメリットを提示し、一番良いものを選択してもらうのではなく、他人に負担のない唯一の選択肢を自分で選ばせる制度として利用される。
アリバイ作りのために本人の同意を得るだけである。これは日本の公務員に共通する体質である。相手の意思が自分の要望と合致する場合にだけ自己決定と飛びつく傾向がある。公務員組織は申請主義になっており、申請した人しか権利を認めない。それどころか特別定額給付金では申請書の目立つ場所に「申請しない」チェック欄を設けて、誤記載を誘うようなことまでしている。
極めつけは警察である。アメリカなど海外のドラマでは警察官が被疑者に「You have the right to remain silent.」と伝える。しかし、日本は日本国憲法第38条第1項で「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と定めながら、当人が積極的に権利を主張しなければ権利を行使しないものと扱うと警察側が都合よく解釈する。日本社会全体が真の意味で自己決定権の尊重を考える必要がある。
第9章「尊厳死・安楽死問題とは何」は尊厳死の用語の混乱を整理する。尊厳死は元々、延命治療を終了し自然死させることを意味していた。米国では1990年代に致死薬によって生命を終わらせることを尊厳ある死と主張する立場が出てきた。これを積極的尊厳死、従来の尊厳死を消極的尊厳死とする分類が生じた。
しかし、消極的と言っても何もしない訳ではない。延命治療をしない、中止するという意思決定がある。消極的と名付けることで許容されるイメージが生じする。「延命医療の差し控えと終了」「延命医療を行わないこと」と呼ぶことが実態に即している。続きを読む投稿日:2023.09.08
臨床倫理の立場から、医は死にどう向き合うべきかを考えてきた著者の本。
まず、改めて驚いたのは、食べられなくなった高齢者に対する、胃ろうなどの治療に対する医療者の意識が、2000年代はじめの10年間で…大きく変化したこと(著者等の定量的な調査結果は貴重なものだ)。
2010年代、母の最期を巡って、介護施設の医師や介護士と話をする中で、無理な治療は行わずに、自然に任せたいとの希望がすんなり受け入れられたが、あれは、その前の大きな変化があってのことだったということだろう。
今後、延命治療の終了、尊厳死、積極的安楽死等、日本でも、死の定義を広げざるを得ない時代となっていく。日本では、こういった議論はなかなか進まないだろうた漠然と思っていたが、上述の人工的水分・栄養補給法の意識の変化同様、10年スパンでみると、大きく変わり得るのかもしれない。その際、著者等の臨床倫理をベースにした考え方の枠組み作りは重要になるだろう。
続きを読む投稿日:2022.03.06
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