ほんとうは恐ろしいお金のしくみ
大村大次郎(著)
/ビジネス社
作品情報
自転車操業と化した資本主義の不都合な真実<
第1章 「お金の仕組み」は欠陥だらけ
第2章 信じられないほどいい加減な「お金の成り立ち」
第3章 現代の紙幣はただの紙切れ
第4章 「お金の欠陥」と「日本のデフレ」の関係
第5章 “国連版仮想通貨”の発行を
◇“国連版仮想通貨”が世界に繁栄をもたらす◇
現在の貨幣システムでは、金のあるところに金が集まる。
だから、庶民は金持ちになればいいのだ。
富を公平に分配し、人類が繁栄を続けるカギは、
世界共通の“仮想通貨”である。
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商品情報
- シリーズ
- ほんとうは恐ろしいお金のしくみ
- 著者
- 大村大次郎
- 出版社
- ビジネス社
- 書籍発売日
- 2018.12.01
- Reader Store発売日
- 2021.02.19
- ファイルサイズ
- 6.3MB
- ページ数
- 208ページ
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この作品のレビュー
平均 4.5 (2件のレビュー)
-
元国税調査官の大村氏によって書かれた本です、この方の本は追いかけていたつもりでしたが、こんな凄い本を読み逃していました。今週(2020.10)ネットでみつけて、一気に読みました。
現在世界中で利用さ…れている通貨制度・資本主義制度は、そろそろ寿命がきていて、それを置き換える必要があることがわかりました。現在使用している通貨は、借金をし続けないと=成長し続けないと維持できないのです。何もなかった時代に成長するツールとしては大変優れていましたが、成長を遂げた今では、逆に重荷になっています。
多くの人と企業が良かれと思ってやっている、経費節減による貯蓄、借金返済は、このシステムの崩壊を加速させていることも理解できました。それならどうするべきかが最終章に書かれていますが、それが、ピケティが言っていた、ベーシックインカム制度の導入のようです。一定額を全ての人に直接渡すのがポイントで、今回日本でも実施された一人一律10万円を支払うことが重要なようですね。
多くの人を幸せにするシステムのようですが、これにより今迄の通貨が不要となることで、銀行が不要になるので、なかなか実現までには時間がかかるかもしれないです。未来を見通すことができそうな素晴らしい本でした。
以下は気になったポイントです。
・社会でつかわれているどんなお金も、元をたどれば誰かの借金である(P16)社会に出回っているお金がすべて「借金」である限り、いずれ銀行に回収されるべきものである。社会が保有しつづけることができないお金である、その中で借金はしたくない(しない)という欲求が強くなると、社会のお金の仕組みは、たちまち機能不全となる(P17)銀行から社会に供給されたお金以上(利息をつけて)を銀行に返さなければならない(P20)
・中央銀行が金融政策によってコントロールできるのは、金融市場に流れるお金まで、金融市場のお金を潤沢にして「社会に金を流れやすくすること」まではできるが、金融市場から社会にお金が流れていくかどうかは、社会の動向にかかっている(P19)借金は完済されることはない、借金を完済するだけのお金はは社会に出回っていないから。我々の社会は「新たに借金をし続けること」を義務付けられている(P22)日本全体の借金が減ったために、社会のお金が銀行に返還され、お金の流れが悪くなったので、政府が莫大な借金をしている(P24)
・これまで日本社会は破綻してこなかった理由は、新たに借金をするから(P21)今の通貨システムは、昨日よりたくさんお金を借りることで昨日の借金を返しているという状態である、だから経済成長が止まれば昨日の借金を返せなくなり、通貨システムは成り立たなくなる(P27)
・現代の通貨システムのさらなる欠陥は、お金の流れが、大企業や大金持ちが優先されるようにできている(P36)低金利政策をやめなければならない理由として、インフレ防止と説明されるが、本当は、低金利が続くと銀行の経営が危なくなるから(P39)現在のお金の仕組みは、金融業者が儲けるために作られたものである、銀行が儲からなければ現在のお金は成り立たないような仕組みになっている(P40)
・国際収支の黒字というと聞こえはいいが、自国の富の持ち出しであり、その代価として他国の通貨が溜まっていくにすぎない(P46)通貨切り下げは輸出はしやすくなるが、輸入代金はそれだけ跳ね上がるので合計では損をする(P48)しかし、現代のお金は国際収支が黒字になれば、自国通貨の国内通貨量が増えるという性質を持っているので、そのために無理をしてでも輸出している(P49)社会にお金を増やす2つめの方法である、1つめは誰かが借金をする(P50)
・日本で最初に作られた貨幣(和同開珎)は50年程度しか続かなかった材料となる銅が不足したから(P61)
・金の預かり証(17世紀のイギリス商人が開始)には通貨としての3つの要件があった、1)誰もが価値を認める物、2)誰もが使用できる(持ち運び可能)、3)多くの人が使えるように十分に供給されている(P66)
・第二次世界大戦後、アメリカは世界中に経済支援をドルでやっていたので世界中でドルを使う機会が多くなり、国際決済としてドルを使用することが普通になった(P99)
・アメリカはドルを世界中に供給し続けなければならない、ということはアメリカの国際収支は常に赤字になっていなければならない。そうしないと世界はドル不足になり貿易決済ができなくなる(P107)企業が借金をせずに堅実な経営を目指せば社会の金回りが悪くなる、これが現代のお金の仕組みの最大の欠陥だと言える(P118)
・日本のデフレの原因として、この20年間デフレで苦しんでいるのは先進国では日本だけ、人件費が下がり続けているのは日本だけ、という事実を組み合わせると、日本は人権費が下がっているからデフレになっていることがわかる(P129)
・日本経済の国際競争力が落ちたと言われることがあるが、毎年10兆円もの貿易黒字を何十年も続けてきた国、経常収支が黒字であった国はない(P145)これ以上貿易黒字を増やしたら世界中から嫌われる(P147)
・現在のお金の仕組みは借り手が少なくなったり、貯蓄が多くなればお金の流通量が不足する弊害があったので、そのためには、発行銀行に融資だけではなく、贈与や費消の権利も与えるべき、インフレには注意が必要(P156)昨今の仮想通貨がこれまでの銀行券と大きく違うのは、融資で流通しているわけではないということ(P159)
・年間100ドルであっても、一定のお金をすべての人々に平等に配布するという目標をぶれずに実行すること(P179)これにより貧しい人が欲しい物を提供する経済に方向転換されるはず(P181)
2020年10月10日作成続きを読む投稿日:2020.10.10
「17世紀のヨーロッパの商人」とは両替商を行っていたユダヤ人を指す。ヨーロッパでは伝統的にユダヤ人が排除・弾圧されてきた。就ける職業も限られた。彼らの才能が芸術や金融で花開いたのは、そうせざるを得なか…った歴史的な経緯による。
https://sessendo.blogspot.com/2021/02/blog-post_3.html続きを読む投稿日:2021.02.03
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