ペトロフ事件
鮎川哲也(著)
/文庫コレクション 大衆文学館
作品情報
日本支配下の旧満州・大連近郊で、独身の老ロシア人富豪ペトロフが殺害された。財産目当ての犯罪と見て、鬼貫警部は3人の甥とその恋人を追及する。しかし、そこには堅固なアリバイが立ちはだかっていた! 大動脈・満鉄の時刻表の行間にそそがれる、鬼貫の執拗な視線と緻密な推理。時刻表ミステリーを拓いた巨匠のデビュー作を、実際の時刻表をもとに補筆された決定稿! 旧満州にわたり、青春時代を過ごした著者ならではの小説。
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商品情報
- シリーズ
- ペトロフ事件
- 著者
- 鮎川哲也
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 文庫コレクション 大衆文学館
- 書籍発売日
- 1996.11.20
- Reader Store発売日
- 2019.03.08
- ファイルサイズ
- 9.6MB
- ページ数
- 278ページ
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この作品のレビュー
平均 2.3 (3件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
舞台は昭和17年(1942年)10月の満州。ロシア人の富豪イワン・ペトロフが殺され、ロシア語通訳のため鬼貫警部が捜査に加わる。容疑者はペトロフの三人の甥でアントン、ニコライ、アレクサンドル。三人はそれぞれアリバイがあるが、金に困っており遺言状を書き換えられる前に叔父を殺すという動機があった。鬼貫は三人の中に犯人がいるとしてアリバイ崩しのため捜査を開始する。
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最初にニコライのアリバイが崩れる。犯行日時に一緒にいたと証言した中国人は太陰暦を用いていて、太陽暦を用いる日本人、ロシア人とは暦が異なる。このためアリバイは成立せず、ニコライは逮捕される。
そこにニコライとアレクサンドルの婚約者ナタリヤが犯行日時に写真をとっていることがわかる。このためニコライのアリバイが証明され釈放される。しかし、反対にナタリヤと一緒にいたとしていたアレクサンドルのアリバイが崩れ逮捕される。
この時、鬼貫はアレクサンドルが犯人ではないのではと疑っていたが、結核の疑いありとして東京に帰ることになってしまった。ナタリヤは鬼貫の捜査を引き継ぎ、アレクサンドルのため真犯人を探す。そんな中、アレクサンドルが犯行日時に叔父の家に行ったが叔父はすでに死んでいた。そこに荷物を届けに来た店員に叔父の声を真似して受け答えしたと証言した。これによりアントンのアリバイに疑いが生じる事となり、ナタリヤはアントンの捜査を開始する。
列車で移動中のアントンには不自然なほど多くの目撃証言があったが、アレクサンドルの証言から犯行日時が数時間早まる目撃証言の合間に叔父を殺害し同じ列車に戻ってくることが可能であるとわかった。
結核が間違いだとわかった鬼貫は満州に戻ってくることにした。乗った船が事故に会い行方不明になったかと思われたが、別の船に乗り災難を免れることができた。満州に戻った鬼貫はアントンと婚約者の郭運環の元を訪れる。ふたりにアントンのアリバイが崩れたというと郭運環は何気なくその場を離れ行方不明となる。彼女の行方を追った警察はイワン・ペトロフを殺したのと同じ銃で自殺した郭運環を発見する。
アントンと郭運環が共謀して叔父を殺し、アントンは列車での偽のアリバイ工作を施した。郭運環に疑いが向かないよう叔父の死体発見後鬼貫の目の前でアントンが郭運環に電話をかける。電話の相手は郭運環ではなかったが鬼貫は郭運環だと勘違いし、郭運環は長い間疑いを避けられた。結局アントンも自殺し事件は集結した。投稿日:2015.02.11
満洲の描写が生き生きとしていて、とてもよい。土地勘がある人でないと書けない描写だなあ。日本の時刻表トリックの元祖が、満洲を舞台にしているというのは、なんというか意味深だ。
投稿日:2020.02.13
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