武道的思考
内田樹(著)
/筑摩選書
この作品のレビュー
平均 4.1 (21件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
まず驚いたのは、著者の内田樹氏は合気道6段だということ。
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ずっと社会学系の教授だと思っていたのでかなりびっくりしました。
著者の考える武道の目的は、「生き延びること」だといいます。
それは単に戦場でだけという話ではなく、生活全般の話としてとらえられております。
例えば、江戸時代の武士は、余計なリスクを負わないために用事のないところへは出かけなかったそうです。
また、歴戦の戦士であった東郷平八郎は、「わずかな兆候から次に起こりそうなことを予見する能力」に秀でていたそうで、目の前の道に荷馬がいるのを見て道の反対側によけて通ったといいます。
それを見とがめた同僚が、「武人が馬を恐れて道を避けるとは何事か」というと、東郷は、
「万が一馬が暴れてけがをして、本業に障りがあれば、それこそ武人として目も当てられない」
といったそうです。
このように本書では、著者の武道に対する考えや、他の専門家との対談での気づき、その他社会学的な考察など、いろいろな話が1コラム3-4ページ程度でまとめられています。
著者の「避けられる争いは避ける」というスタンスはしなやかで興味深いと感じました。
本書の中では、白黒つけなくてもよいものを無理に決めつけることの危険性について何度か言及されているように思えました。
例えば、死んでいるけどまだ死に切っていない生死における第3の状態としての葬儀の重要性であったり、グローバル化した世界においてもう未知の領域は存在しないとする考え方に対する警鐘だったり、相手に妥協しないアメリカの外交戦略であったり・・。
あんまり正論が過ぎると生き延びる確率が下がるから気を付けようというのが著者のメッセージだと自分は感じました。投稿日:2017.10.08
以下引用
生きる能力は他人と比較するものではありません。比べて良いのは昨日の自分。
とりあえず勝敗強弱を論じているうちは武道の話ははじまらない
非分節的世界に分節線をひき、そこに意味を付与する仕…事、世界に深く踏み込んでゆく仕事は他の誰に拠っても代替されない。それは私たちがひとりひとりで果たすしかない
努力と成果の相関が可視化されていることを求める
わたしたちが興味をもつのは身体が求めていることそれだけ
ブリコラージュの持ち物は、何らかの計画によって定められたものではない。こんなものでもないかの役に立つかもしれないという原理に基づいて収集され保存されている
ジャングルを歩いてゐると、目の前にさまざまなモノが出現して来る。それは植物であったり、動物であったり、無機物であったり、有機物であったり、する。そのあるものを前にしたときにブリコラージュは立ち止る。こんなものでも何かの役にたつかもしれない。
とりあえずその用途や実用性がわからない 無数の選択肢の中から、なぜ他ならう それ が際立った仕方で彼の関心を惹きつけたのか 先駆的知に他ならない
はっきりしたモチベーションを持って入門した人と何となく入門した人では、何となくの方が長続きする
本人の意志ではなく、誰かにひっぱられて何となく役者になったとかの方が続く
知るためにいちばん簡単な方法は続けること
明確な理由付けはいらない
やめとけよ、向いてないからというご指摘はその通りでも、なんとなくやりたいなあという片付かない気持ちが残って、とりあえずやってみようと自分に言い聞かせているうちいに、気がついたら生業になる
脳の働きを信用していない
扉をあけなければ、扉の向こうに何があるか分からない
私たちは死者に向かって尋ねることができる、『あなたはこのことについてどう思いますか?』『ああただったら、こういうときにどうふるまいますか?』『私のこのふるまいは適切だったとあなたは思いますか?』もちろん、訪ねても答えは返ってこない。けれども『死者に向かってたずねる』というのは答えを得る以上に重要なふるまいなのである。といういうのは、死者に向けて問うというのは、自分自身の「いまここ」を離れて、「死者の眼」から私自身をみつめることだからである。そのとき、私たちが問いを向ける「死者」は、現世の利害損失を離れ、欲望や羨望や怨恨や嫉妬など、ものごとの判断を曇らせるさまざまの人間的感情から自由になったと想定された視点である。私たちが、死者に問いを向ける度に、私たちはこの「曇りなき視点」から想像的に自分自身を振り返る事を要請される。死者とはそのようにして想像的に設定された「私自身のふるまいの適切さを鳥瞰的視点から吟味する視座」のこと
私たちは私たち自身をとじこめている欲望や偏見や臆病の隙間をくぐりぬけ、私自身を振り返れるところまで自分から離れることができる。
ヘーゲルは、自己意識とは、「自分の外に出て行きつつ、自分のもとにとどまる」という分裂の現象だとした
絶対的に自分の外へ出て行きながら純粋に自己を認識するという、このエーテル(活動の場)そのものが、まなびのおおもとであり、知の一般型
私たちが時間の中にいるということである。そして時間の中にいるとは、今ではない時間、ここではない場所に、深く確実な仕方で結びついており、それをリアルに生きることができるということ
個性は内発的なものでない、呼ばれることである
愛情や共感は儀礼について来るおまけ
家庭を愛情や共感の上にきずこうとしてはならない
毎日はんをおしたようにルーティンを繰り返す事がたのしくなってきました続きを読む投稿日:2017.08.29
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