近代日本の中国観 石橋湛山・内藤湖南から谷川道雄まで
岡本隆司(著)
/講談社選書メチエ
作品情報
日本は、つねに中国を意識してきた。とくに、明治維新以後、中国研究はきわめて深く、幅広いものとなり、東洋史という歴史分野を生み出した。「日本人の中国観」の形成と変遷を跡づけると同時に、日中関係を考え直す契機となるのが本書である。石橋湛山の「小日本主義」とはなんだったのか。巨人・内藤湖南の「唐宋変革論」とは? 宮崎市定や谷川道雄など、数多くの論者の中国論にふれ、その歴史を読み直す。
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商品情報
- 著者
- 岡本隆司
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社選書メチエ
- 書籍発売日
- 2018.07.12
- Reader Store発売日
- 2018.07.10
- ファイルサイズ
- 1MB
- ページ数
- 256ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (4件のレビュー)
-
民族としてとらえるのか、国家としてとらえるのか、地域としてとらえるのかでも変わってくるのだろうし、マルクス史観などその時代の主流の考え方にも左右されるだろう。
石橋湛山以来半世紀以上が経ち、習近平政…権になっても、日本人の中国理解度は全く進んでいないように思える。
この年代の東アジア研究者が出てきたのは、それだけで成果ではないか。続きを読む投稿日:2019.02.05
内藤湖南を軸に戦前戦後の知識人の中国観を辿る本書のモチーフは、彼らの中国へのアプローチが、意識的にせよ無意識的にせよ、いかに西欧的な枠組みにとらわれていたかという問題意識である。それは西欧の物差しでは…かった自己の理想像を中国に投影してきた結果でもある。西欧が我々の到達すべき理想であるならば、中国は克服ないし指導すべき遅れた社会と見做され、逆に西欧が克服すべき堕落であれば、中国は連帯すべき同胞になる。前者においては資本主義の確立、後者においては社会主義の実現が目指されていた。いずれも西欧社会をモデルにした歴史発展の段階論に中国を当てはめて理解しようとする点で変わりない。それでは中国の実像は見えてこないというのが著者の主張である。
「反骨のリベラリスト」石橋湛山が大陸の権益を捨てよと説いたのも、中国のナショナリズムの内実を直視せず、西欧や日本のそれに重ね合わせて同情していたに過ぎない。宮崎市定にせよ谷川道雄にせよ、湖南の学統を受け継ぐ京都学派も論敵の東大歴研系学者と同じマルクスの発展史観を基準に中国を見ていた。中国という対象を虚心に見つめ、借り物の概念装置によらず、その多様性をあるがままに掴もうとする態度を誰より持っていたのは湖南である。それは湖南が原勝郎や内田銀蔵といった西欧の史学方法論を身につけた同僚との学問的交流の中で自身の時代区分論を練り上げながらも、そのバックグラウンドは漢籍であったこととおそらく無関係でない。惜しむらくは、湖南とかなり近しい中国認識を持ちながら庶民階級の位置づけでは湖南に同意しなかった矢野仁一との間に論争がなかったことだ。哲学における京都学派で西田幾多郎と田辺元が交わしたような熾烈な論争がもしあれば、湖南の中国認識はより深められたかも知れない。ともあれ歴史家が心すべきは、概念や理論をよくのみこまないまま現実の対象にあてはめたり、事象をじっくりと見ないまま、概念を張り付けて理論化してしまうことへの自戒であるという指摘は重要だ。
アジアの老大国であり隣人である中国にどう向き合うか、これはアジアで例外的に西欧的な近代国家を形成し得た日本において知識人の思想的立場の大きな試金石であった。福沢の脱亜論に始まり、大陸進出の是非、そして時代区分論争に至るまで、中国は彼らの思い描いた日本のあるべき姿のネガでありポジであった。その意味で本書はまさしく「もうひとつの近代日本思想史」と言ってよい。これは本書の帯に書かれた宣伝文句だが、出版社が考えたにせよ、著者の意図を案外ストレートに伝えているように思う。小著ではあるが、学説史として、思想史として、そして社会科学方法論としても読みごたえのある力作である。続きを読む投稿日:2023.12.30
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