地図から消される街 3.11後の「言ってはいけない真実」
青木美希(著)
/講談社現代新書
作品情報
3.11から丸7年。報道が少なくなる中、避難指示解除が進んだ福島第一原子力発電所近隣地域で進む恐るべき事態とは? メディアを通して見せかけの「復興」が叫ばれ、実際には、自治体の「町残し」ばかりが進み、人が消えていく実情──。震災直後から足を運び、取材を続ける唯一の大手紙記者にして、新聞協会賞三度受賞の若手女性ジャーナリストが迫る、大メディアの報じない「不都合な真実」!
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商品情報
- 著者
- 青木美希
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社現代新書
- 書籍発売日
- 2018.03.13
- Reader Store発売日
- 2018.03.14
- ファイルサイズ
- 5MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (18件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
タイトル通り、「言ってはいけない真実」が赤裸々に、取材をもとに書かれていて衝撃。
レビューの続きを読む
衝撃、っていうのはちょっと違うかも。なんとなく、そうだろうなと想像できたことだが、政府もマスコミも、いろいろと都合が悪くて公にできないことを、ちゃんと取材して明らかにしているのだ。
例えば、大手ゼネコンが福島で請け負っている「除染作業」の真実。ろくにちゃんと除染してないし、全国から身寄りのない日雇い労働者が仕事を求めてやってきて、低賃金で働かされて、中間業者が搾取してることとか。
なんか、想像はできる。
なぜそれがちゃんと報道されないかというと、「除染がちゃんと進んでいない」ということが公になると、地元の人たちも困るから(風評被害とか)、みたいな変な理屈。いや、地元の人はちゃんと除染してもらわないと帰れないでしょう!!
地元で東電に現地採用された若者や、下請けで原発関連で働いていた人達が、いかに肩身の狭い想いをしているか、という話にも本当に胸が痛んだ。
一番、自分だったら…と感情移入してしまい、切なかった事例が、事故があった原発から近いが、「避難指示区域」ではない町に住んでいた女性が、子どもを連れて「自主避難」した例。避難指示区域ではなくても、これまでより放射線量が上がっていて、母として、子どもを守るために東京に自主避難。夫は、「気にし過ぎ」「俺の仕事や、家のローンもあるんだぞ」と妻と対立。一家はバラバラに…。このようなパターンは本当に多いらしい。今までにも聞いたことがある。
母の気持ちを、私はよくわかる。私でも絶対にそうする。家なんてどうでもいい。これから子どもを生む可能性がある娘や息子がいるのに、ほんの少しでも、目に見えない危険がある場所に住むわけにいかない。放射能の影響は、何十年後にしかわからない。何が正しい選択かなんて、誰にもはっきりとはわからない。わからないなら、子どものために安全を一番に考える、それが母の考え方だ。
この女性は子供と東京で暮らし、夫に理解されず孤立し、生活費も送ってもらえず、困窮し、心身ともに病んで、自死を選んでしまう。夫に収入があるために適切な援助も受けられなかった。最悪だ。
しかしこの場合、いやいや…まずその「夫」が子供の学費や生活費は出すべきでしょう!と思ってしまう。
いやしかし!!!もともとは、原発事故がなければそんなことにはならなかったんだ。
これまで、東電の責任が追及されたり、津波の危険性がどれほど認識されていたのかが問題になってきたけど、でも本当は違うのでは?と私は思う。原発推進を黙認し、原発で生み出された電力を利用してきた私たち国民、全員の責任ではないの?
なぜ責任のある人がだれも、原発ゼロにすると言わないの?なぜ再稼働が進んでいるの?
いろんな面で疑問や憤りを覚え、福島第一原発の周辺で暮らしていて、あの日から当たり前の日常を奪われてしまった人たちのことを想うと辛くて、申し訳ない気持ちにすらなってしまった。投稿日:2022.02.07
東日本大震災の実態に、はじめてちゃんと向き合う事が出来た。震災に遭った人々の暮らし、原発、除染作業の実態など、現場の人々の苦渋の声がリアルに聴こえてきた。
生の声を聴いているような臨場感のある取材内容…が、読者自身へも筆者の焦燥感や憤りを感じさせてくれました。続きを読む投稿日:2024.03.22
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