コメをやめる勇気
吉田忠則(著)
/日本経済新聞出版
作品情報
●コメ作りを前提とした農業では、日本に未来はない
高齢農家が引退し、耕作放棄が急増する。このあまりに聞き慣れた危機が、本当に目の前にせまってきた。かつて先人たちが懸命の努力できりひらいた田畑が、荒れた原野にもどろうとしている。
危機の根底に、兼業農家が中心の農業システムと、かれらがつくってきた日本の主食のコメがある。兼業モデルは、農業の経営と技術の進歩をはばんだという見方がある。
これは、ある意味正しい。だが、会社や役場でもらう給与も合わせれば、かれらはそれなりに豊かで、高度成長期に都市と農村が分裂するのをふせいだ。兼業モデルは、日本社会の安定装置だったと言っていい。 だが同時に、それは「壊れたシステム」でもあった。
利益が出ているのかどうかをかえりみず、採算無視でコメをつくる。この奇妙な仕組みが、需給ギャップを取り返しのつかない水準まで深刻にし、コメを中心とする日本の農業をピンチにおとしいれた。すさまじい勢いで加速する高齢農家の脱落は、新しい経営の拡大を上回り、だれも耕すものがいない農業の「空白地帯」を日本中に生む。
一方、農政はまるで思考停止のように、コメにこだわり続ける。日本人がコメを食べなくなったと知ると、こんどは家畜が食べるコメを農家につくらせる。だが、これは補助金がなければ成り立つ可能性がゼロの「官製作物」だ。危機的状況にある財政に、補助金で農家を支える余裕はない。
兼業だらけの農業システムはなぜ誕生し、どうして滅び去ろうとしているのか。目がくらむような米価の下落にあらがい、生きのこることができるのは、どんな経営なのか。そしてどうすれば、農地の荒廃をふせぎ、将来の世代に手渡すことができるのか。日本経済新聞編集委員が徹底的な現場取材と農政改革の分析に基づいて明らかにする。
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商品情報
- シリーズ
- コメをやめる勇気
- 著者
- 吉田忠則
- 出版社
- 日経BP
- 掲載誌・レーベル
- 日本経済新聞出版
- 書籍発売日
- 2015.01.15
- Reader Store発売日
- 2019.02.23
- ファイルサイズ
- 3.3MB
- ページ数
- 272ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (8件のレビュー)
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「コメをやめる勇気」 吉田忠則(著)
「コメをやめる勇気」という表題が、実に曖昧なのである。誰がコメをやめるのか?コメを食べることをやめること?コメを作ることをやめること?コメに補助金を出すことをやめ…ること?日本人がコメをやめること?そして、なぜ勇気がいるのか?
日本語は、主語が不鮮明でも、言葉が成り立つので、このようなセンセーショナルな言葉も、曖昧に使うことができる。
日経新聞の経済部編集委員が書いている。農業のジャーナリストとして、書くにはあまりにもお粗末なのである。なぜなら、コメをやめるには勇気がいるそうだが、コメをやめてどうするか?は個々の事例を挙げているが、それではどうするのか?が書かれていない。多分「コメをやめる」という言葉を表題にするには、勇気がいったのだろう。「コメをやめる(ということを書くことの)勇気」かもしれない。
米の生産量が減っている。米の消費が減っている。ということは、コメをやめる勇気がなくても、コメをやめている人が増えている。コメの労働を少なくする田植え機などが開発されることによって、兼業農家というシステムができた。それがコメをつくる仕組みとして重要な役割をした。その兼業農家が高齢化して、集団離農が始まっている。つまりコメを作るシステムの崩壊である。だから、コメは勇気がなくても、コメ作り農家は消え去っているのだ。
では、何が問題なのか?「農政はまるで思考停止のように、コメにこだわり続ける。」「コメ本位主義ともいうべきモノカルチャーの農業と農村から脱皮するときが来た。」「需要が減り続ける分野に、みんなで経営資源を投入するのは合理的でない」ふーむ。「みんな」なのかよ。はっきりと農水省と言えない。
つまり、現在のコメ政策で、えさ米にバカげた補助金をつけていることをやめるべきだと書かれていない。新潟では、えさ米が、10アールに国の補助金8万円、県の補助金8万円が出され、10アールあたり16万円の補助金があるという。コシヒカリ10俵とり、1俵15000円で売ったとしても、15万円にしかならない、だったら飼料米の方がいいだろうという話だ。コシヒカリがえさ米になっている。さぞかし、牛たちは美味しいコシヒカリを食べて満足だろう。
明らかに、農水省はおバカさんな予算を組み立て、コメの値段を高くしようとしている。
農水省は、毎年コメの補助金に3000億円を使って、コメの値段をつり上げようと苦心している。
消費が減っているのは、コメが高いからだ。そういう現実にも目に向かない。越後ファームの1kg 5400円のコメを褒める。アホか?誰が食べるねん。そんな高いコメ。
農水省が、日本のコメを食べさせないようとしているし、飼料米に多大な補助金を投入して、コメの価格を吊り上げている。コメをもっと正常な形で、マーケットが決める仕組みを作らない限り、コメ産業は生き残れない。越後ファームや山形ガールズを取り上げて、お茶を濁しているが、本質に目を向けない日経ジャーナリストの限界ともいうべき記念碑的な本である。
聞くところによると農業研究者が、飼料米の補助金を研究し、批判すると研究費が減らされるという。まさに、ガースーの本領である。気に入らないものは、研究するなということだ。日本は、まともな考えで、批判する人を排除して行く社会になった。
「それでも稲作を続けますか」ではなく、「それでもバカなコメへの補助金を農水省は続けますか?」なのである。日経新聞ジャーナリストの著者は、そこまでいう勇気がないようだ。続きを読む投稿日:2021.05.04
コメ政策による日本農業の衰退について、非常に上手く説明されている。日本の農業政策を考える上で必読の本。
投稿日:2019.08.29
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