この作品のレビュー
平均 3.0 (1件のレビュー)
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ダイヤを見ることで、利用客の動きや鉄道会社の思惑や事情を探ろうという試み。主に首都圏や近畿のJRと私鉄、そして新幹線のダイヤが取り上げられている。「時刻表からは読めない多種多彩な運行ドラマ!」(表紙…)、「ナナメの線からドラマを読み取ろう」(p.2)というコンセプト。
色々なダイヤが紹介され、分析されているが、正直そんなに知らない路線についてはもともと興味が湧かず、意外と読むのが辛くなってしまったというのが正直な感想だった。ダイヤから色々分かることが面白いということはよく分かるのだけど。
そしてすごい数の線が引かれているダイヤをいくつも見ることが出来るが、例えば大宮~大船の京浜東北線・根岸線のダイヤ(p.72)とかは、線が濃くなって「帯」のようになっている場所・時間帯がはっきり分かるのが面白い。おれは川崎に住んでいたので、何度も「蒲田行き」に泣かされたが、そう考えると確かに蒲田から南はそこまでと比べて若干薄くなっているのが分かる。けどさらに面白いのは横浜付近になるとまた帯になっている、ということで、そう考えると実は川崎って実は東京と横浜の狭間でちょっと本数少なかった?という感じ。あとはいつも利用する山手線。「田町駅はちょっと不思議な始発駅」(p.78)ということで、早朝に品川駅の留置線に入って、田町駅を回送として通り過ぎて引き上げ線に入ってからまた田町駅に入線、ということらしい。「品川駅発の早朝の外回り列車を設定するため」(p.79)にやるらしく、確かにどの列車も大崎から出てたら品川からの電車はずっとないままだよな、というのは納得した。あと一番印象的なのは、やっぱり都営浅草線のエアポート快特、だろうか。「浅草線内での追い越しはない。浅草線は古い路線で、通過運転を想定していなかった。」(p.136)ので、「各駅停車が優等列車を退避する駅がない」(同)ということだ。じゃあどうやって地下鉄内を通過する列車を走らすかというと、「快特を走らせるために、直前の各駅停車が発車したあと、わざと運行間隔を空けている。すべて各駅停車にすれば5分間隔で運行できるところを、エアポート快特は少し遅らせて発射し、終点で各駅停車の直後に到着する。」(同)ということらしい。つまり見かけ上は速く行けるイメージを作り、実際は一部の利用者の負担を増やしている、という構造らしい。たしかに「ズルい」(p.138)と言えばそうだけど(確かに前の列車よりも早く着かないんだったら意味ない感じ)、でもあの地下鉄のたくさんある駅をスーッと抜けていく列車はどうしても魅力的に見えてしまう。最後に、ダイヤの話ではないけど、南武線は昔ちょっとだけ使ったことがあって、早朝の八丁畷の駅付近で貨物列車が止まってるのを見てて、貨物で何運ぶんだろうとか思っていたが、「主に石油輸送」(p.62)なんだそうだ。「鶴見線の安善駅と青梅線の拝島駅を結ぶ列車は、米軍向けジェット燃料輸送を担う。根岸線根岸駅のオイルターミナルと中央線方面を結ぶ石油輸送列車も多い」(同)らしい。『JR貨物時刻表』というのが市販されている、というのだから驚き。どれくらいの需要があるのだろうか。ここには書ききれないけど、「休日に1往復だけ、知る人ぞ知る特急が走る!」(p.84)での「はまかいじ」の話とか、南海本線の「平日朝に『3本のみ』走る準急列車のミステリー」(p.88)とか、面白いと思った。
路線に詳しい人なら面白い話なんだろうか、という感じ。鉄道にも本当に色んな楽しみ方があることが分かる。「ダイヤ鉄」って言えばいいんだろうか。(20/10/22)続きを読む投稿日:2020.10.22
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