大不平等――エレファントカーブが予測する未来
ブランコ・ミラノヴィッチ(著)
,立木勝(訳)
/みすず書房
作品情報
BREXIT、トランプ現象などの原因を、如実に示した一枚の図がある。『ワシントンポスト』紙が「現代政治のロゼッタ・ストーン」と評したエレファントカーブだ。横軸の100に位置するのがグローバルに見た超富裕層、0に位置するのが最貧困層。縦軸はベルリンの壁崩壊からリーマンショックの間に各層がどのくらい所得を増やしたかを示している。50-60番目の人たち(中国などのグローバル中間層=A)は所得を大きく伸ばし、80-90番目の人たち(先進国の中間層=B)の所得は停滞し、90番目以上の超リッチ(グローバル超富裕層=C)の所得はこれまた大きく伸びていることがわかる。本書は、このグラフの発表者が、新たな理論「クズネッツ波形」で、今世紀の世界的不平等の行方と経済情勢を予測した基本書だ。「各国間と各国内の不平等をこれ以上ないほど明確に語ってくれる。必読書だ」トマ・ピケティ。「これからの世界は、グローバルなトップ1%層に支配されるのだろうか、それとも支配するのは巨大なグローバル中間層だろうか」ジョセフ・スティグリッツ。「斬新かつ挑発的な発想の宝庫だ」アンガス・ディートン。
もっとみる
商品情報
- 著者
- ブランコ・ミラノヴィッチ, 立木勝
- 出版社
- みすず書房
- 書籍発売日
- 2017.06.12
- Reader Store発売日
- 2017.07.28
- ファイルサイズ
- 5.9MB
- ページ数
- 304ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (5件のレビュー)
-
クズネッツ仮説というものがある。所得水準と所得格差の関係を示したもので、所得格差、すなわち、不平等は、所得が十分に高まったあとは縮小に向かい、低い水準に留まるとしている。
縦軸に格差/不平等の程度(ジ…ニ係数という数値で表されることが多い)、横軸に所得水準をとり、上記の考え方に沿ってグラフを描けば、逆U字型のカーブを描くことになる。これをクズネッツ曲線と呼ぶ。
このクズネッツ仮説は、おおむね1980年前後までは、先進各国の状況に、あてはまっていたが、それから以降の状況を説明できない。アメリカ、イギリス、スペイン、イタリア、日本、オランダといった先進国の統計を調べると、1980年前後までは、クズネッツ仮説は当てはまるが、それから以降は、所得水準が上がっているにも関わらず、所得格差も拡大しているのである。
クズネッツ曲線には、実は第二の波があるのではないかと、筆者は主張している。
以上が、先進各国「内」の話。
次に各国「間」の格差はどうなっているのかという話。
1960年から2013年の間の世界全体のジニ係数は、統計上、明らかに下がっている、すなわち、所得格差は、不平等は縮まっている。それは、この間の先進国の経済成長率よりも、新興国の経済成長率が高かったから。貧しい国の経済成長が、豊かな国の経済成長を上回ったから。
次に(本の中では一番最初に来る話であるが)、1988年から2008年までの間の、グローバルな、すなわち世界全体の経済成長の恩恵を最も受けたのは、どの層か?という話。
横軸に、世界の人々の所得分布を百分位でプロットする、0は最も貧しい人、100は最も豊かな人々。
縦軸には、1988年から2008年までの、その所得層の人たちの実質所得の増加率をとる。
それでグラフを作成すると、どの階層の人たちの所得が伸びたのかが分かる。
左から右肩上がりにゆっくりとカーブは上昇し、だいたい五十五分位くらいのところがピークとなり、その時の所得増加割合は、75%くらい。カーブはそこから急激に下がっていき、ボトムは八十分位くらいのところで、この層の所得の伸びは、ほぼゼロ。ボトムからカーブは更に急激に上がっていき、百分位が次のピークで、所得増加率は65%くらい。
この間の経済成長により、最も所得を増やしたのは、世界的に見ればちょうど中位の所得の人たち、それは新興国、例えば中国の人たちだ、
全く所得が伸びなかったのは、比較的裕福な人たち、先進国、例えば日本などの低所得の人たち。
これが、グローバル、世界全体の話。
これらは、経済のグローバル化と先進国の政治政策の、一つの不可避な帰結。
■ここまでグローバル、マクロ的な、スケールの大きな統計的分析は、見たことがない。単純に知的に面白い。
■言えば、マクロ経済の話だけれども、各国の政策は、経済成長や所得格差などに大きな影響を持つ。経済は、政治からインディペンデントには存在し得ないということが、よく分かる。
■日本国内の格差について、話題になることが多くなっている印象がある。でも、ここまで、グローバルな分析をしないと、事の本質は明らかにならない気がする。
と、色々なことを感じた。
続きを読む投稿日:2020.03.09
グローバリゼーションに伴う階層別の所得変化を示す「エレファントカーブ」というFactを基に、階層間・国間・国内の格差・不平等の真実を解き明かす本。「これまでどうだったか」だけでなく、「これからどうなる…のか」についても指針が示されています。
続きはこちら↓
https://flying-bookjunkie.blogspot.com/2019/10/blog-post_26.html
Amazon↓
https://amzn.to/2WeCCl4続きを読む投稿日:2019.10.26
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。