生存賭博(新潮文庫nex)
吉上亮(著)
/新潮文庫nex
作品情報
二十世紀後半、ドイツ中部の地方都市に突如出現した怪物“月硝子(ディブーム)”。同市に隔離された市民は、五十年の時の中で、人間と怪物の戦いをギャンブル「生存賭博」として娯楽産業化した。賭けで生計を立てる少女、琉璃=A・ミュンヒハウゼンはある日、謎の甲冑騎士が月硝子を壊滅させたことを知る。それは狂乱を貪る都市の崩壊を告げる事件だった……。極限の欲望を描く、近未来エンタメ。
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この作品のレビュー
平均 3.3 (5件のレビュー)
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著者・吉上亮の最新作『泥の銃弾』が激烈に面白かったので、過去の未読の作品である本書『生存賭博』を読んでみました。本書は、著者得意の近未来SFファンタジー・アドベンチャーですね。
50年前のある日、ド…イツ中部の地方都市ミッターラントに月硝子(ディブーム)と呼ばれる怪物が出現。それ以来、同市内に隔離された下層階級の市民達は、市民の中から選抜された10人の戦士と旧市内に毎日定期的に出現する怪物・月硝子との戦いを50年間にわたり、外貨を獲得するためのギャンブル「生存賭博」として娯楽産業化しました。
賭の対象はどの戦士が最後まで生き残るかを競うもので、言うまでもなく最後の一人以外はすべて月硝子によって殺されてしまいます。
生き残った一人は莫大な賞金が得られるため、下層階級からの脱出を目指して戦士として名乗りを上げる市民は少なくありません。しかし、月硝子と戦うということは『進撃の巨人』に出てくる巨人に対して、立体起動装置なしで戦えと言われているようなものなので戦士と言ってもほぼ逃げ回ることしかできないのですが…。
そんな「生存賭博」のノミ行為の裏賭博で胴元をやって生計を立てていた少女、琉璃=A・ミュンヒハウゼンは、突然、旧市内に出現した謎の甲冑騎士が月硝子を壊滅させたため賭博のオッズが崩壊、胴元であった彼女は破産寸前に追い込まれ、昔なじみの悪徳女性警部に命の保護を依頼します。しかし、女警部から、命を救う代わりに生存賭博へ戦士として参加し、謎の甲冑騎士の正体を暴くよう命令されてしまいます。
琉璃は「生存賭博」に生き残り、謎の甲冑騎士の正体を見破ることができるのでしょうか。
この小説は、例えると異形のモンスターがうごめく異空間で行われる将棋を模したバトルを描いた貴志祐介の『ダークゾーン』に、強化(エンハンス)された人間同士の戦いを描いた冲方丁の『マルドゥック・スクランブル』シリーズを足して、アメリカCBSの刑事ドラマ『アンフォゲッタブル 完全記憶捜査』に出てくる一目見たものを全て記憶してしまう能力を持った女性刑事キャリー・ウェルズを20歳前後の女の子、琉璃=A・ミュンヒハウゼンに変換して主役にした様な物語です。
いや~、面白かったです。
著者の作品に出てくる登場人物は、みんなキャラがもの凄く活きが良いんですよね。
不忘症候群である主人公の琉璃もそうですが『All You Need Is Kill』のリタ・ヴラタスキばりにバトルアックスで月硝子(ディブーム)を蹴散らす肉体強化された幼女とか、コンピューターハッキング機能を有した入れ墨を背中に入れてシステムをハックしまくるヤク中気味の女の子だとか、賭博を仕切るギャング団のボスでありながら「生存賭博」に戦士として好んで出場する帝王オヤジとか、みんなキレまくってて最高(笑)。
さらに本書に出てくるキャラクターでエイジと呼ばれる男性が出てくるんですけど、この彼は『泥の銃弾』でも登場してるんです。もちろん、本作と『泥の銃弾』では、時代も背景も(そもそもリアルとファンタジーの違いがあるのでこの2作を並べることはできませんが…)違いますが、狙撃担当という役割や同じ旧ソ連製の自動消音式狙撃ライフル・VSSを使っているとこなんか完全に同じで、このあたりは著者の遊び心が感じられ、読んでいて「にやっ」とできる場面ですね。
ストーリーもさることながら、著者の作品の最大の特徴は、文章を読んでいてすぐにその場面が脳内に鮮やかに広がってくる描写力の素晴らしさです。
小説を読んでいて、映画を見ている気分になれる作品って、そうそう無いですが、著者の作品はどれもすぐにそのシーンがありありと目の前浮かんで来るんですよね。
特に文章の修飾語が多いという訳でも無く、場面描写に何十行も費やす訳でもないのにです。ホントに。これはエンターテインメント作家としては最高の武器です。
人気作家って皆この能力が優れていますが、この作者・吉上亮は30歳という若手ながらこの能力が間違いなく高いです。これは彼が映画の脚本などを担当しているのも関係しているのかもしれないですね。
著者は映像化をもともと見据えて文章を書いているからなのか、自然と映画を撮るように文章を書いてしまうのかどちらか分かりませんが、とりあえず凄い才能であることは間違いないと思います。
もし、彼の作品が映画化されたら、たぶん、映画監督はすごく楽なんじゃないでしょうか。もう頭の中で絵コンテができあがっている状態でこの小説は完成されているのですから(←これは言い過ぎかw)。
という訳で、最新作の『泥の銃弾』と同じようにべた褒めしましたが(この二つを比べてしまうと『泥の銃弾』の方が本書より10倍面白いですけど…だって『泥の銃弾』の面白さはネ申ってますもん…)、この本もホント、結構イケますよ。
筆者の造語や横文字のオンパレードでちょっと中二病がかったところもあり、表紙イラストもラノベ感バリバリですが、そこは大人の読書人としての度量を持って許してあげて欲しいです☆。
ぜひ、広い心を持ってこの無骨でハードなサバイバル小説を楽しんでみてくださいね♪続きを読む投稿日:2019.07.12
これも私の好きなテーブルゲーム(オセロ)がモチーフとして使われている小説。敵も味方も一本筋が通っていて気持ち良い。最後の下剋上も◎ 角生えた主人公もhukeさんが描いてくれたらよかったなぁ。
投稿日:2017.06.05
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