幕末維新の城 権威の象徴か、実戦の要塞か
一坂太郎(著)
/中公新書
作品情報
長い眠りについていた城郭が、ふたたび戦場となる時が来た。外国船からの防備のために五稜郭や品川台場など、西洋式の要塞が建造される。幕長戦争から戊辰戦争にかけては、小倉城や姫路城、そして会津若松城などが砲火に晒された。さらに維新後は士族の反乱や廃城令により、萩城、熊本城などが失われてゆく。全国約40の城郭と要塞が辿った運命を描き、日本人にとって「城とは何か」を考察する。古写真多数掲載。
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商品情報
- シリーズ
- 幕末維新の城 権威の象徴か、実戦の要塞か
- 著者
- 一坂太郎
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2014.05.25
- Reader Store発売日
- 2016.03.11
- ファイルサイズ
- 17.8MB
- ページ数
- 336ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
幕末維新を各地の城を主軸に振り返る
面白いコンセプトの一冊。
特に維新後、城がその本来持つ役目を終えた際に、
様々な道どりを歩むのが興味深い。
今に残る城を巡ってみたくなる秀逸な新書。投稿日:2014.09.21
今まで理解できているとは言い難かった長州藩の動きがわかりやすく解説されており、極端な尊皇攘夷思想ゆえに幕府に嘘をついての築城、八月十八日の政変での遁走から挽回を目指した禁門の変での敗北、第一次長州征…伐を経て藩内が倒幕の意思で一致団結し、それから第二次長州征伐があったという複雑な流れを理解することができた。
また、北白川宮能久親王(輪王寺宮)が戊辰戦争時、奥羽越列藩同盟によって東武皇帝に推戴されていた(構想のみという説もある)ため、賊軍対官軍ではなく明治天皇対東武皇帝という”官軍”同士の戦いだったという学説があることも初めて知った。
もともとの日本人の宗教観は「死んでしまえば敵も味方もない」としてきちんと戦死者を供養するものだったのに、長州が江戸城を開城させてからは官軍の戦没者のみを供養するようになり、それが靖国神社の成り立ちに深く関係しているという話も興味深かった。
戊辰戦争期は東北に視線が向きがちだが、柳川、島根など西国の情勢も詳しく述べられている。
城郭保存に関しては、文化財的価値を訴える先見の明のある人物もいたが、どちらかというと士族が精神的シンボルを失うことを拒絶したからという理由が多かったようで、それが明治6年に出された公園設置の布達と結びついた。現在城や城跡が公園として整備されている所が多いのはそのためだという説明にも納得。
幕末史を語る本ではあまり触れられることのない地方の小藩や城のことを知ることができて知識の隙間を埋めてもらえたような気がしたが、平易な文章のわりにはなんとなく読みにくいというか、内容が頭に入ってきにくかった。続きを読む投稿日:2021.07.05
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