アフリカ 動きだす9億人市場
ヴィジャイ・マハジャン(著)
,松本裕(訳)
/英治出版
作品情報
現代の“新大陸”に潜む莫大なビジネスチャンス
いま急速に成長している巨大な市場――アフリカ。本書は、増えつづける9億人の消費者を擁するこの新たな市場の可能性を浮き彫りにする。
衣食住のニーズから金融、通信、メディアに至るまで、あらゆる機会をとらえて市場を開拓する起業家たち。コカ・コーラ、タタ、P&G、ノバルティス、LG電子など、世界各国から続々と進出する企業や投資ファンド。アフリカに急接近する中国・インドはじめ各国政府。さまざまな動きがこの大陸を劇的に変えつつある。社会的・政治的な数々の問題にもかかわらず、ビジネスチャンスは豊富に存在するのだ。これまで見過ごされてきた巨大市場の可能性と、新たなビジネス・経済の姿が見えてくる。
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商品情報
- シリーズ
- アフリカ 動きだす9億人市場
- 著者
- ヴィジャイ・マハジャン, 松本裕
- 出版社
- 英治出版
- 書籍発売日
- 2009.07.20
- Reader Store発売日
- 2015.10.23
- ファイルサイズ
- 14.2MB
- ページ数
- 352ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (20件のレビュー)
-
ゼミ選考課題の所感文のために読んだ本
以下その時に書いた所感文
本書では序文で、貧困、紛争、政治腐敗などの悪いニュースに表象される「施しの対象」という世界中の多くの人々がアフリカに対して持っている…イメージがアフリカの成長を阻害している最大の原因であるとして大きく否定し、大陸全体で9億人という人口に基づく巨大消費者市場の大きさ、優秀な起業家やビジネスリーダーをアフリカの真の富であると強調している。インド出身でマーケティングのコンサルタントを務めている著者が、自国の現在の経済成長とアフリカの近い未来のそれを重ねつつ、アフリカ経済の勃興を期待している。そのことを大前提とし、第一部ではアフリカ大陸の市場における可能性や携帯電話や金融の急速な発達を含む現況、アフリカの市場を担うとされるセグメントなどを具体的に統計などの値を用いて説明している。第二部では第一部で挙げた現況、課題などを踏まえた上で、その要因となっているものは何か、更なる成長には何が必要か、ということを各アクターや業種、要因ごとに細かく分類して解説している。それらをヒントとして位置づけ、読者にアフリカにおいてどのようなビジネスチャンスが考えられるかということ主体的に考えることを促すような構成となっている。
本書の素晴らしい点は、貧困やインフラの脆弱性といったアフリカに内在する深刻な課題に対するアプローチ法である。単にそれらの原因や解決法を述べたり、市場における影響は小さいということを強調したりするのではなく、その課題によって生まれる新たなニーズを起業家にとってのビジネスチャンスである点に焦点をあて、実際に実例も示していることである。例えば、停電が頻繁に起こる地域では家庭で食事を調理することが困難であり、外食産業の需要増が起きていることを示している。もちろんソーラー発電、風力発電などの需要の急増は言うまでもない。これらは本書に示されている実例の一例に過ぎない。本来ならば“害”である部分を起業家やビジネスリーダーがイニシアティブを取り、利益をあげることのできる機会であるということを証明している。また、上で述べた通りアフリカの更なる成長には何が必要か、可能性はどこに存在しているのかということを市場はもちろん教育、在外アフリカ人の存在などあらゆる側面から説明している。一つ一つの側面からの視点の深みを多少は犠牲にしつつも、アフリカ大陸の可能性の全体像を多面的に捉えることを可能にしている。アフリカ市場に関してあまり詳しくなく、アフリカに対して負のイメージを持つ者にとっては、アフリカ市場に関して広く浅く学ぶ入門書としても新しい真実を知るという意味にしても、読むに非常にふさわしい本であるといえる。
しかしその一方で、アフリカの消費者市場、経済の発展を考える上で無視できない事柄に対していくつか不十分な点があると感じた。確かにアフリカ大陸がもつ深刻な課題を、利益を上げることのできるチャンスであることを示している点は素晴らしいが、その課題によって引き起こされる負の部分があまりにも軽視されている。例えば、内戦、紛争によって引き起こされるビジネス上の損失に関する記述などは皆無であった。全ての課題において、あくまでも一部の起業家にとってのチャンスであるということが強調されているような印象を受けた。インドの経済成長とアフリカのそれと重ね合わせている以上、インドに少なからず内在する深刻な課題とも重ね合わせてもいいのではないかと思う。良くも悪くもアフリカの光の部分のみに焦点を当てているのだ。またアフリカの消費者市場の可能性が本書のメインテーマとなっているが、すべての消費者層に注目して話を進めてはいない。アフリカ大陸の上中流階級の直下の層を急成長している消費者層(アフリカ2)として、そのアフリカ2の消費傾向などを重点的に述べ、企業はその消費者層に対してどのようなアプローチを取るべきかが詳細に書かれている。しかし、私はアフリカや開発問題を語る上では最下層(アフリカ3)の消費者層にも焦点を当てるべきであると感じた。その消費者層に企業が進出できる可能性を述べ、いかにして官民協働で最貧困層にアプローチをするのか、できるのかという開発的な内容も入れ込むべきであった。さらに、アフリカ大陸と他地域、他国の関係に関する説明はほとんどなされていない。アフリカの消費者市場、つまり内需の大きさを説明することが本書のテーマとなっている上では仕方のないことではあるが、今日の「フラット化している世界」において内需の大きさのみを述べて、今後急成長するであろうと結論づけることは可能であるのかという点は非常に疑問である。中国やインドにおける経済の急成長は当然大きな人口を背景にした内需の大きさに依るところも大きいが、それ以上に他国への輸出志向型産業の成長がうまくなされたことに依るところが大きいのではないのであろうか。メインテーマからそれてしまうが、消費者市場の可能性を語った上でさらに、アフリカ企業がいかにして旧宗主国などに進出できるのかということも述べるべきである。
上で挙げた通り、いくつか疑問に思う点があったことも事実であるが、私は本書に対しては肯定的な立場を取っている。筆者が本書を書いた最大の目的は、読者に欧米のメディアが作りだしている「施しの対象である」といったアフリカに対する負のイメージを打破し、援助よりも投資が必要であるということを訴えることである。それに関しては私を含めた多くの読者には強くなされていると思われるからだ。本の上から飛び出し、実際にアフリカを訪れて現状を自分の目で確かめることが必要であると強く感じた。続きを読む投稿日:2010.05.28
自分のアフリかに対するイメージは、南アフリカを除いて貧困と内戦ばかりで、投資市場と呼べるようなものはろくに存在せず、せいぜいが個人の小売商店があるという程度のボンヤリしたイメージだった。 とくに気にか…けるほどのものは何もない、人類最後の未開拓地、それが自分のアフリカに対する印象だった。
当然のことながらろくにアフリカに対する知識のない自分の持っていたイメージは、現実と掛け離れていて、そこに人が住んでいて、生活していれば様々な日用品、食料品が必要になり、需要があれば供給があるわけで、さまざまな企業が現地に根差したマーケティングを行い、市場を開拓して活発なビジネスを展開している。
この本はそういう自分の予想しなかった、全く知らないアフリカの現状を詳細に伝えてくれた。
「第一部 アフリかとはどんな大陸なのか」ではアフリカの現状と、その規模や金融、地下経済などのポイント、そしてアフリカを構成する人々と、市場のターゲットとなる人々の特徴など、アフリカの今を様々な観点から紹介し、「第二部 新たな市場をどう開拓するか」で、アフリカで商売をしている人たちが直面した問題とその解決方法など、さまざまな商売を行う上でのエピソードから、どのようにして未開拓な市場を開拓していったのか、またそれらの市場にはどのような伸びしろがあるのかなどが述べられている。
この本全体を通して様々な活動を行っている企業が登場しているが、現在のアフリカの活力の原因の大きな部分は携帯電話に寄るところが大きいようだ。 アフリカも発展途上国の零に漏れず、インフラの不備から固定電話を飛び越して携帯電話が急速に普及しているが、その携帯電話を使用したマイクロファイナンスが経済の活性化を促し、そこに様々なビジネスチャンスと起業家精神をもり立てているようだ。
またアフリカに対する企業の影響などを推測してみると、やはり同じような発展をしてきている中国、インドの企業が退去してアフリカで活動を行い、そこにP&Gやコカ・コーラ、ネスレなどの世界的な企業が着実な成果を上げているという雰囲気が読み取れる。
全般的にはヨーロッパ系の力が強く、そこにインド、中国が絡んでいる雰囲気で、アメリカの影響はヨーロッパに比べると薄く、やまして日本の影響はほとんどないような雰囲気。 残念ながら日本からアフリカはいろんな意味でちょっと遠いようだ。
この本からはアフリカに対するかなりの楽観性が感じられる。 これからもアフリカは成長していくだろうが、アフリカは現在1960年代にインドがそうであったような、ほとんど経済的なメリットがない地域として思われている。 アフリカがある程度経済的な力をつけて、世界市場で頭角を表すのにはまだまだ時間がかかるのは間違いないようだ。続きを読む投稿日:2018.11.24
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