この作品のレビュー
平均 4.5 (11件のレビュー)
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集団的自衛権と憲法解釈、改憲の議論が持ち上がる中で、もっと勉強しなければと思い、まず手っ取り早く、私と同じ年で若手の憲法学者として活躍中の木村草太さんの本を読んだ。奥平康弘さんとの対談本で、第一章は立…憲主義について、第二章は改憲論議について、第三章は現代の憲法をめぐる状況と課題、第四章は憲法の可能性と日本の進路についてまとめられている。
いくつか個人的に面白いと感じた箇所について。
なぜ日本人は天皇制に強く惹き付けられるのか?という問いに答えている部分。
日本では、多くの人が今ある事象や体制に対して消極的肯定、消極的賛同とでも言える態度を示していて、それを変えようという人たちは、説得力のある論理展開を出来ていない。これは天皇制の廃止に関しても、改憲に関してもそうだ(安倍政権はそれを力の論理で押し通そうとしているからたちが悪い)。変える変えないは別にして、一人一人がもっと積極的に天皇制や憲法とは何かを理解し、捉え直すという作業が必要だと思う。
次に、「あいまいで情緒的な」自民党について。集団的自衛権をめぐる安倍さんの発言も、自民党の改正草案に関しても、この人たちのロジックのなさと情緒的なレトリックの多用に惑わされている人が多いと思う。強いものやつよい言葉、情緒的なことばに流されるのは、自分が弱いからなのだけど、基本的に人間は自分が弱いことなど認めたくないので(世の中で強いと思われている人や、強くならなきゃと思っているひとほど特にそう)、彼らの出すレトリックを批判的に見るのは決して易しいことじゃない。
本の中では、自民党憲法草案のQ&Aの中にある『国を守る義務』について、奥平さんから「憲法が自分たち国家権力を縛るものだという大前提がわかっておらず、「国民を管理する法律」だと本末転倒の誤解をしている、と痛烈な批判が寄せられている。
現代の憲法をめぐる課題に関しては、表現の自由の箇所でタトゥーについても触れられていた。今までグレーゾーンと見なされてきた様々な問題を「表現の自由」との関連で議論することの意義と難しさを感じた。
最後に、人の心に抱く信条というのは結局のところ歴史感覚である、という箇所。これは日本国内の憲法談義だけでなく、国際関係においても大事な視点だと思う。相手の信条の深さとそれをもたらす歴史感覚を理解しないと、異なった意見を持つ人の間での議論は始めることさえ難しい。
今回のことも含めて、憲法が守っていることやそのあり方について国民全体のリテラシーを上げていかないと、待っているのは衆愚政治だ。この本では特に奥平さんのかたりの中で疑問に思う箇所があったけれど(例えばヘイトスピーチを解決するための「文化の力」の部分や)、憲法に関しては高校レベルで社会科を教えられる教員が最低限持っていなければいけない程度の知識しかなかった私にとっては、大変分かりやすく読みやすい本だった。続きを読む投稿日:2014.06.19
「憲法」の本を学生時代ぶりに手にとって読みました。いちおう、法学部出身だったので勉強したことはありますが、社会に出てからというものニュースや各種メディア媒体で「憲法」「合憲・違憲」という言葉を目にし、…耳にしても、どことなく意識の外だったように思います。
それが意識の中に入ってきたのは本書の中でも触れられている「9条」「96条」の問題で改憲論争が出てきた頃でしょうか。それでも学生時代のように勉強して、この問題について考察してみようとまでにはならなかった。今では悔いの残る出来事ではあります。
あとがきで奥平さんが言われているように「憲法の入門書」という位置づけでとても分かりやすく、読みやすく、それ故に自分で取り上げられていることについて考えながら読み進められた。ただ読む、理解しようとする(理解が追い付かない)ではなく、自分なりに咀嚼しながら読めるところがポイントではないでしょうか。
ひとえに、奥平さんと木村さんの力量?読者のところまで下りてきてくださっている姿勢に感謝です。
最後の方で述べられているように、日々報じられる出来事を通して憲法というものを考え、勉強していきたいと決意させられました。続きを読む投稿日:2023.11.08
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