ツァラトゥストラかく語りき
フリードリヒ・ニーチェ(著)
,佐々木中(訳)
/河出文庫
作品情報
あかるく澄み切った日本語による正確無比な翻訳で、いま、ツァラトゥストラが蘇る。もっとも信頼に足る原典からの完全新訳。読みやすく、しかもこれ以上なく哲学的に厳密な、ツァラトゥストラ。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- ツァラトゥストラかく語りき
- 著者
- フリードリヒ・ニーチェ, 佐々木中
- 出版社
- 河出書房新社
- 掲載誌・レーベル
- 河出文庫
- 書籍発売日
- 2015.08.06
- Reader Store発売日
- 2015.09.18
- ファイルサイズ
- 0.8MB
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (19件のレビュー)
-
まずはざっくりと西洋思想の歴史について勉強してから読みました。結果良かったです、大正解でした。
そうじゃないと、"神は死んだ"→→→「は??」って感じだったと思います。
簡単に説明をすると、、※完全…な自己解釈です!
長らく、ずーっと昔から、数多くの思想家たちは、"真理の追求"について思い巡らせ、様々な持論を唱えていました。
そして「プラトン・アリストテレス・キリスト教の大帝国」が、プラトンの「イデア論」をキリスト教が上手に利用する形で長期的に支配していました。
カントやガリレオなど自然科学の発見・発展によって、
またその後のデカルトの座標軸の発見などによって少し風穴が空く形になりましたが、『神』という存在は根強く染み付いていました。
=本当は神の存在証明からする必要があるのでは…?ということを誰も思いませんでした。
*人間は生れながらにして原罪を背負っている。
*真理は常に神の側にあり、人間の手の届くところにはない。
そんな中、牧師の父を持つニーチェは、幼少期から熱心にキリスト教の信者として育ちましたが、
だんだんと圧倒的な支配に息苦しさを感じていきます。
そして、
神は死んだ、我々は精神の奴隷になどなってはならないと言います。
それまでの価値観に挑戦状を叩きつけて、"「超人」になれ"と言いました。
もともと、
古典においてもキリスト教においても、一番大切な真理は
常に神の側にありました。
でも、もしかしたら我々はありもしない真理というもので自分たちを縛っているのではないか。何しろ背後世界を実際に見た人はいないし。。
原罪(人間はアダムとイブが犯した罪を生まれながらに背負っている。けれど、イエスキリストという人物が1人でこの罪を背負ってくれた。だから感謝し生きていかなければならない。)についても、人間が本当に罪を負った存在なのかということも、キリストが私たちの罪を肩代わりしてくれたということも、どちらにもはっきりした証拠はありません。
人間にはもともと、ある種の神秘性に憧れを抱くという性質があり、それを利用して、人間の手の届かない所に真理という大切なものがあると言えば、それを伝えられる人、キリスト教で言えば神の言葉を媒介する教会が力を持つことになる…そして大衆は永遠に受動的な存在から抜け出すことができなくなる…。
なぜ、一人ひとりの人間が、能動的に大切なものをつかみ取ってはいけないのか、
これではまるで「精神の奴隷」ではないのか?
教会に対して、「ありもしない荒唐無稽なことを言って人間を抑圧するな」と挑戦状を叩きつけるとともに、大衆に対して、「ビビるな!奴隷の立場に甘んじるな」というメッセージを伝えたかったのです。
自分以下のところにある権威に安易に跪くのではなく、
まず自分自身が拠点となり、自身に目を向けようよ、と。
またこの本は、ツァラトゥストラという人物がニーチェに代わり、ニーチェの思想を説いていきます。
なぜそういう形を取ったのでしょうか…?
あくまで個人的な勝手な想像ですが、
ニーチェは超人になれと言いますが、ニーチェ自身は自分は超人ではない、まだその域ではない、という自覚があったからではないのかなと思います。
カントなどは自らの理論をコペルニクス的転回と自画自賛していましたが、ニーチェは違ったのではないかなと思いました。
(あ、でもカントの超越論的主観性の発見も面白いと思いました。)
そんなニーチェの言う超人とは、
*勇気を持って現在の迷いの中にある自分自身を乗り越えていく、そんなポジティブで、積極的で、肯定的な強い精神力を持った人間。
*自分で目的地とそこへ至る道を探して、単独者として進んでいく強さを持ち、戦いを挑み、敗れてもまた立ち上がり、倒れてはまた立ち上がる人間。
*自分の決断というものに責任を持って、自分自身の人生を作っていく人間。
*3ステップ(ラクダ→獅子→幼子)を実行し超人になれと言いました。
ずっと読んでいると、
ニーチェはただ、外的なものすべてに対して、これでもかというくらいひたすら否定しているように感じてしまいますが…
そうではなくて、
彼が言いたかったことは、内的なもの=自分自身に対する肯定の大切さを伝えたかったのだと思います。
そして「永劫回帰」。
彼のいう超人には並大抵の努力ではなれません。
何度失敗しても、決して諦めないこと、そうやって人は強くなれる。
自分なりの解釈ができたとき、とても感銘を受けました。
またニーチェの言葉がわかりやすいのは、彼が「アフォリズム」という短い言葉で本質をつかまえることを目指していたからです。
短い言葉で本質を伝えようとすると、ごまかしがききません。
そういう真っ正面からのメッセージはとても強くてカッコいいです。
また、最近あるアメリカの学者の動画を見たのですが、
"頑張れば/成功したら、幸せになれる"という考え方は間違いで、
私たちは一般的に言われている、幸福と成功の法則を反転させる必要があります。
現状へのポジティブの度合いを引き上げることで、その人の脳は「幸福優位性」を発揮し始めます。
つまりポジティブな脳は、ネガティブな脳やストレス下の脳よりもずっとよく機能し、知能が上がり、創造性が高まり、活力が増大することが研究結果でわかりました。
現状に対してポジティブになることさえできれば、脳はより熱心に速く知的に働き、その結果としてより成功するようになるとのことです。
長期的な幸福について予測できるのは10%くらいで、
あとの90%は周囲の環境ではなく、
脳が周囲の環境をどう処理するかにかかっているとのことです。
ストレスを脅威ではなく挑戦と受け取る能力に掛かっています。
個人的には、ニーチェの考え方に対する科学的な証明かなと思いました。
人により解釈は違うと思いますが、個人的には色々と学べた本です。
そして、
Let's 自己責任での覚悟を持ち自由であれ!
Let's エンドレスチャレンジング!
Let's ポジティブシンキング!
を心掛けたいと思いました。
《2/1追記》
こちらの感想文をニーチェに詳しい方に読んでいただいたところ、「ニーチェの意図を汲み取らないにも程があるけどそこが逆にニーチェ的だ」と言われました(特に永劫回帰のところ)…。
続きを読む投稿日:2018.01.29
力をもらおうと思って読んでみた。あまりニーチェ哲学「神は死んだ」「ニヒリズム」「永劫回帰」を意識しすぎて読むのもつまらないと思い直し、ツァラトゥストラという変人(いや超人か)が山の中から出てきた物語と…してそのまま読んだ。まあ読み応えはある。ツァラトゥストラが市場に演説しに行って綱渡り舞踏家の亡骸と帰ってくるあたりの序盤は動きがあって良いのに、中盤以降はひたすら語ってばかりなのが物足りない。もっと彼の主張を実践する具体的な行動やストーリー展開を組み込めばよかったのでは。物語をおもしろくするためにも、哲学の理解を深めるためにも。
翻訳が良いからか言葉に力があって読んでいて楽しい。注釈が一切無いのは構わないが、翻訳者の佐々木中という人の巻末解説があればより良かった。
気に入ったフレーズは、
「この巨大な龍の名は『汝なすべし』だ。だが獅子となった精神は『われ欲す』と言う。」 p40
「すべて偉大なものは市場と名声から去って行く。昔から、新たな価値を創造する者たちは市場と名声から離れて住んでいた。わが友よ。逃れよ、君の孤独のなかへ。」 p88続きを読む投稿日:2024.01.02
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。