笑う少年
樋口有介(著)
/中央公論新社
作品情報
シングルマザーの風町サエは、弁護士事務所の調査員。安売りピザで大儲けし、今や芸能界を牛耳る小田崎貢司からの依頼で、自殺したアルバイト店員の両親が求める賠償金を減額するための調査を始める。一方、別の依頼主から小田崎の弱点を探るよう依頼され――。謎に満ちた男の前半生に隠されていた真実とは!
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商品情報
- シリーズ
- 笑う少年
- 著者
- 樋口有介
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 中央公論新社
- 書籍発売日
- 2015.08.07
- Reader Store発売日
- 2015.09.09
- ファイルサイズ
- 0.7MB
- ページ数
- 307ページ
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この作品のレビュー
平均 3.4 (10件のレビュー)
-
冒頭───
掴みかかろうとする男の脛に爪先蹴りを入れる。プロの格闘家でも骨は鍛えられないし、まして相手は二十歳ぐらいの素人。グエッとかなんとか喚いて床に崩れる。その向こうから鍋を持った男が襲いかかり…、身を避して相手のこめかみに右肘打ちを当てる。男はカウンターに倒れ込み、箸や調味料入れが床に散らばる。もう一人、カウンターから飛び出した男はさすがに躊躇して店主と私の顔を見くらべる。店主が「やってしまえ」というように顎をしゃくり、男が反応して、私につめ寄る。
─────────
さてさて、次なるレビューは、高校時代からのファンでもある樋口有介さんの新刊「笑う少年」と。
法律事務所に勤務し、裏稼業で闇の世界を暴いていく女性「風町サエ」が主人公の第二弾。
結局、これは今後もシリーズ化していくつもりなのでしょうね、樋口さんは。
AKBをパロディ化したようなアイドルグループの一人の少女が自殺した。
本当に自殺だったのか?
彼女の親族から訴訟を起こされ、事務所に現れたのは、このグループの総元締めである秋元康ならぬ小田崎貢司。
彼の依頼を受けた所長の命により、風町サエは動く。
少女の身辺捜査とともに、小田崎の過去も調べるようになり、そこで発覚する驚きの事実。
本当の悪者はいったい誰なのだ?
とまあ、こんな感じで物語は進みます。
前よりは違和感が少なくなったけれど、それでも女性一人称のハードボイルド文体は、さすがにちょっとつらい……。20年以上前のデビュー時からのファンである樋口さんの作品で、ストーリー的にもそこそこ面白かったので、星五つにしましたが。
タイトルも「笑う少年」とは。
デビュー作「ぼくと、ぼくらの夏」や柚木草平シリーズの「彼女はたぶん魔法を使う」や「初恋よ、さよならのキスをしよう」などと比べると、今一つ冴えない気がするのは私だけでしょうか?
やはり樋口さんには、男性一人称の味のあるハードボイルド作品を書いてもらいたいと願う私なのであります。続きを読む投稿日:2015.09.06
殺人罪で服役した過去を持つシングルマザーの『風町サエ』は、弁護士事務所で裏の仕事を受け持っている。
自殺した店員遺族への賠償金を減額すべく依頼を受けたサエは、別口からその社長の調査も依頼される。調べて…も中々過去がつかめない男の正体とは・・・。
元ヤンのサエの軽めの口調で語られるのだが、内容は結構ハード。
まんまAKBのようなシステムのピザチェーン店ということは、インチキ慈善団体にもモデルがあるのかな?にしても、ビジュアル的にも某プロデューサーだったはずの社長が、某国の将軍様になるとは・・・。
声高に正義を叫ぶ気はないが、毒を持って毒を制するのような制裁だしスッキリとはいかない終わり方だったけど、正体が見えてくる最後の展開はゾクゾクした。
ちょっと息子を溺愛するモノローグがくどかったけど、どうやらシリーズ物らしいので息子もどこかで活躍するのかな?他のも気になる。そしてタイトル、息子じゃなかったのね。
他作品もだが、社会の暗部の描き方が上手い著者だなと思った。続きを読む投稿日:2020.07.08
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