死せる王女のための孔雀舞(パヴァーヌ)
佐藤史生(著者)
/復刊ドットコム
作品情報
【佐藤史生コレクション1】坂田靖子氏・竹宮惠子氏 推薦!
あらすじ「あき家になっている祖母の家で雨宿りをしていた奇妙な青年“雨男”と出会った七生子。青年から、幼い日の七生子を知っているという思いがけない告白を受け…。」
多感な少女の揺れ動く心を描き、読者の共感を得た人気連作“七生子シリーズ”のほか、代表作『ワン・ゼロ』の原型となった「夢喰い」、そして貴重な単行本初収録となる「マは魔法のマ」「一角獣にほほえみを」の2作品を収めた豪華作品集。
巻末には、24年組の拠点で“女性版トキワ荘”ともいわれる「大泉サロン」の主宰者で、長年親交の深かった増山法恵氏による解説を特別収録。
著者について「2010年4月に急逝した漫画家・佐藤史生。 「別冊少女コミック」からデビューした後、SF、ファンタジーの要素を巧みに取り入れた作品を多数発表するも、2000年に刊行した『魔術師さがし』(小学館)以降は新作が発表されていませんでした。 佐藤氏は、1970年代に現れ日本の少女漫画界をリードした少女漫画家たち、いわゆる “24年組”に対して、年齢や作風から“ポスト24年組”の一人として数えられている作家の一人ですが、少女漫画の枠に当てはまらない独自の世界を築き上げたことで、漫画ファンの記憶に長くとどまり続けています。」
収録作品 :雨男/死せる王女のための孔雀舞(パヴァーヌ)/さらばマドンナの微笑/我はその名も知らざりき/夢喰い/あとがき/マは魔法のマ/一角獣にほほえみを/解説(増山法恵)
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商品情報
- シリーズ
- 死せる王女のための孔雀舞(パヴァーヌ)
- 著者
- 佐藤史生
- 出版社
- 復刊ドットコム
- 書籍発売日
- 2012.05.11
- Reader Store発売日
- 2015.09.07
- ファイルサイズ
- 64MB
- ページ数
- 263ページ
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この作品のレビュー
平均 4.8 (4件のレビュー)
-
穂村弘さんが、年に一度は彼女の全作品を読むことを、彼のエッセイで知り、興味を持って買いました。
まず、猫丸さんに勧められた、「夢喰い」を読んだ。
外国の神様のことはよく分からなかったけれど、家族の絆…の素晴らしさと、血縁の凄まじさに、物理的な作用は全く影響しないことを、教えてくれたような気がしました。幻想的でいて、現実的な感覚も持てるような、不思議な名作。
次に、「七生子」シリーズ。
私としては、こちらの方が好きかも。
まず、主人公の高校生「加賀見七生子」の初登場時の、メランコリックな影を感じさせつつ、強気っぽくも凛とした、その佇まいに惹かれるものを感じ、印象的でした。
それから、物語の設定には、その時代特有の厳格さと不自由さがあり、描きようによっては、メロドラマになりかねないが、そんな時代においても、それに必死で足搔こうとする姿に、愛の偉大さと人間のやるせなさを感じさせるとともに、七生子と、その父と母を取り巻く、家族の絆を問いかけており、そのひとつひとつの真実が明らかになるにつれて、七生子が改めて思う、父とは母とはなんだろう? と、そんな家族愛を考えさせてくれる内容には、人間の、理性と本能の間に立つ苦しみもあることから、表題作の、両親の内なる想いに気付いたときには、思わず、感動の涙が零れました(亡き王女とマドンナも同様に切なかった)。
物語の中にある、
『飛べない奇型の翼があんなに美しいのは 神様の好意だと思う? それとも悪意だと思う…?』
と疑問を唱えた人物の心境は、私の望むものは、それでは無かったと言っているようにも思われるし、生きるにあたって、望むものはひとつしか叶わないのかといった、慟哭にも思われました。
親は子を選べないし、子は親を選べないと言うけれど、生まれてきた後ならば・・ということも考えさせられた、七生子シリーズにあたって最後の話は、七生子自身の、愛の行方とは裏腹に展開される救いの物語で、まさかこんな結末だとは思わなかったが、長く生きてきて救われた者と、これから長い人生が待つ、七生子の少女の素顔を垣間見せるような、繊細な痛みとの、見事な対比が素晴らしく、ストーリーテリングと、その表現力に優れた方だなと感じました。
シリアスな中にも、ユーモアに溢れた描写もある、人間を描いた物語に、凜々しくも影のある美しい絵と、私がこれまでイメージしていた少女漫画とは、なんだか違うようだし、オーバーかもしれませんが、凄い人に出会えたなという思いでいっぱいです。
それから本書には、商業誌未発表作品の、「マは魔法のマ」と、「一角獣にほほえみを」が初収録されていまして、前者は、コメディタッチの舞台劇を観ているかのような、キラキラした絵柄とエンディングがまた素敵な作品で、後者は、人間とは異なる生命体の、宇宙の一部分でいたいと思わせる、その想いに胸を打たれる、切ない作品でした。
こうなると、もう佐藤史生コレクション、全部買いたくなるなあ。どうしよう。続きを読む投稿日:2022.07.31
佐藤 史生といえば、「夢見る惑星」と「ワンゼロ」です。
特に、「ワンゼロ」は、独特の世界を持っていて、おもしろかった。
本当に、あの頃の少女マンガは、凄かった。SFだった。
「夢見る惑星」のおもしろ…さがわかったのは、文庫で読み直したとき。多分、はじめて読んだときは、イリスが、幻視の力を持っていなくて、実は人を謀っていたということが、まったく理解できていなかったのだと思います。
でも、それ以来、あんまり読んでいなくて、アリス・ブックあたりで、「夢見る惑星」の続編を読んで、それ以来ずっと。
実は、お亡くなりになっていたということも、この選集がでるようになってから知りました。
だから、この本の中の話は、多分、「ワンゼロ」番外編の「夢喰い」以外は、初読みです。
七生子シリーズは、ちょっと堅い感じのする少女マンガなのですが、傑作でした。
そして、独自なものをもっていながら、それでもやっぱり大泉サロンの雰囲気が漂っているのが、今読むとわかる気がする。続きを読む投稿日:2013.10.16
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