人文・思想・歴史
アステイオン
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【特集】共有される日本文化「日本文化」は存在するのだろうか。存在するのはそれぞれの作品であり一人一人のクリエーターであり、「日本」と呼ばれる領域的空間で区切られる場で長期にわたって展開してきた無数の「文化」について語ることに、どれほどのリアリティがあるのかが問われるべきだろう。もちろんそれは「日本文化」に限ったことではない。イギリス文化、フランス文化、イタリア文化、中国文化についても同様に問うことができよう。困難を承知で我々はやはり「日本文化」を語ってみよう。ただ「日本文化」も他のいかなる文化と・・・
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特集「中華の深化、中華の拡散」
「一つの中国」はなお実現せず、「中国の夢」はなお「夢」のまま。内にいだく「夢」の正体は何なのか。外からみた「夢」の実体は何なのか。長い「中華」の歴史で、現在はいかなる地点にあるのか。中国を囲繞する世界から、「中華」がいかに見えるのかをあらためて探ってみることで、東アジアの現在を考える。
■特集■
岡本隆司(京都府立大学文学部教授)/森万佑子(東京女子大学現代教養学部准教授)/野嶋剛(ジャーナリスト、大東文化大学社会学部教授)/倉田徹(立教大学法学部教授)/石田徹(島根県立大学 国際関係学部准教授)/ティネッロ・マルコ(神奈川大学国際日本学部准教授)/小林亮介(九州大学 比較社会文化研究院准教授)/熊倉潤(法政大学法学部准教授)/牧野元紀(昭和女子大学 人間文化学部准教授)/小長谷有紀(国立民族学博物館 人類文明誌研究部客員教授)/田所昌幸(国際大学特任教授)
■論考■
相良祥之(アジア・パシフィック・イニシアティブ主任研究員)
他 -
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特集:ウクライナ戦争──世界の視点から
今年二月二四日にロシアがウクライナに対して「特別軍事作戦」と称して始めた戦争は世界に衝撃を与えた。冷戦時代には東西対立の緊張によって、冷戦後は対立関係の解消によって、ヨーロッパは「平和の地域」のはずだった。そのヨーロッパでロシアが大規模な軍事侵攻を行うことは市民だけでなく大半の専門家にとっても予想を超えた事態だった。
(略)日々の戦況から離れて俯瞰することで見えてくるものがあるのではないか。そういう問題意識から今特集では内外の専門家にさまざまな角度からの分析を求めた。もちろん戦争は進行中であり、本特集も夏頃までの状況を前提とした暫定的な考察であるから限界はある。それでも今特集が読者にとって、この不幸な戦争とこれからの世界について考える機会となることを祈りたい。(「巻頭言」より一部抜粋) -
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【特集】経済学の常識、世間の常識
経済学は、人々の経済活動を研究する学問である。そのため、その研究結果と生活実感は、かなり合致するはずである。しかし、経済学者の多くが同意している定説や命題が世間では正反対の見解が支持を得たり、信じられていることがある。その一方で経済学者の間で意見が対立している学説ほど、世間では話題となって多くの人々に知られているという悩ましい現象もある。本特集を通じて、経済学が直面するこうしたギャップを少しでも解消し、経済学的視点の面白さが読者に少しでも伝われば幸甚である。 -
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【特集】アカデミック・ジャーナリズム
かつて自在に相互乗り入れができたアカデミズムとジャーナリズムは、それぞれの発展とともに分化し、分断を深めてきた。両者を仲立ちしつつ刷新する「アカデミック・ジャーナリズム」を、激変する情報社会環境の中でいかに維持・発展させてゆくか。
<特集>東 浩紀/大治朋子 /下山 進 /渡辺一史 /小川さやか/武田 徹 /芹沢一也/山本昭宏/大内悟史/小林佑基/鈴木英生/田所昌幸/開沼 博
<論考>手塚宏之/大塚 淳 /佐藤卓己
<写真で読む研究レポート>榎本泰子 /伊藤亜紗
<連載>張 競/五百旗頭 真 -
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特集:再び「今、何が問題か」
2012年5月発行の『アステイオン』76号では、
「今、何が問題か」を特集テーマに、新たに発足した
編集委員会のメンバー全員が論考を寄せた。
「今」とはいつなのか、「問題」とは何を意味するのかに
ついての了解も共有せずに、各自がそれぞれの問題意識を
のびのびと語ることで、アステイオンの新体制を担う
委員を読者に紹介する意味もあった。
ほぼ10年たった今。編集委員会を再編成したのを
機会に、再び「今、何が問題か」を新旧の編集委員の
全員が語ることにした。これによって新委員を読者に
紹介するとともに、改めて「今」を問いたい。 -
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特集 新しい「アメリカの世紀」?
「アメリカの世紀」とは、単にアメリカが超大国としての地位を占める状態が続くことを指すのではなく、アメリカの社会文化的な魅力に世界の人々が惹きつけられる状態が続くことも指していた。自由で開放的な社会、個人の多様性や努力を重んじその成果を率直に評価する文化、ときにお節介と嫌われつつ正しいと信じることを国内でも世界でも実現させようとする情熱は、アメリカの経済力や軍事力と並んで、あるいはそれ以上に「アメリカの世紀」を支えてきた。
現代の日本を生きる私たちもまた「アメリカの世紀」に育ち、生きてきた。しかし近年、激しく深刻な党派対立、格差とその固定化、内向きな自国第一主義の台頭など「アメリカの世紀」を支えてきた諸要因は、急激に変化しつつある。「アメリカの世紀」がどのような要素から成り立ち、今後どうなっていくのか。
責任編集:待鳥聡史(京都大学大学院法学研究科教授) -
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特集:世界を覆う「まだら状の秩序」
現在の世界秩序を何と呼べばいいのだろうか? 自由主義とイスラーム主義といったイデオロギーによる断裂の線は、地理的な境界を持たず、中東でもアフリカでも、欧米の国々でも、社会の内側に走っている。個々人も、慣れ親しんだ自由を享受せずにはいられないにもかかわらず、他方で強い指導者に難問を委ね、即断即決の強権発動で解決してもらおうという心性に、知らずのうちに侵食されている。ここに「まだら」な状態が生じてくる。グローバルな条件が可能にする、グローバルな危機の震源は、「まだら」な世界地図のひとつひとつの斑点のように、世界各地に、究極的にはわれわれ一人ひとりの内側に点在している。「まだら状の秩序」を凝視する作業によって変化の片鱗を見出そうとしていたわれわれの営為は、今後どのように見えてくるのか。
責任編集:池内恵(東京大学先端科学技術研究センター教授) -
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特集「可能性としての未来――100年後の日本」
100年前の1920年(大正9年)、ジャーナリスト三宅雪嶺は主宰する雑誌『日本及日本人』で「百年後の日本」を特集した。島崎藤村、宮崎滔天、菊池寛、室生犀星、山川菊栄ほか、学者、教育者、政治家、文学者、ジャーナリスト、官僚、軍人、労働運動家、宗教関係者など300人を超す人々が原稿を寄せ、100年後の日本について論じた。
『日本及日本人』から100年後の今、本特集で改めて100年後を予測することで、現在を生きる我々が未来を創る活力の糧としたい。 -
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特集:国家の再定義――立憲制一三〇年
今年は1889(明治22)年に大日本帝国憲法が発布されて130周年にあたる。非西洋地域で初めて、長続きする立憲政治の体制を創りあげたのは、日本の歴史を二分する大事件である。憲法の内容の評価はともあれ、そこで築かれた国家制度の上に、いまの日本の政治も経済も成り立っている。
できあがった近代国家の秩序は、政党、地方、軍事や宗教など、まもなくその外とのあいだの力関係にさらされることになる。前近代の「国家」「天下」のあり方から、いかにして変わったか。その過程の検証は、現代でもたとえば紛争地域での秩序の再構築に重要な示唆をもたらすはずである。130年の全体を見わたしながら再検討することは、政治秩序のいまを考える営みへつながってゆく。
責任編集:苅部 直 -
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特集:国籍選択の逆説
人は親や出生地を自分では決められない。よってこの地球上の圧倒的大多数の人々には国籍選択の機会はない。国籍とは自分の身体のように受け入れざるを得ないのが現実だ。だが、国際結婚、移住、国境変更など様々な理由で、国籍選択を迫られる人々が増えているのは、見逃されがちな事実だ。それらの人々の内実は多様で、国境を軽々と越えて活動する人々が実利的理由で国籍を選ぼうとする場合もある。他方で命からがら祖国を逃れた難民が、別の国で自分と家族の運命を切り開こうとして、新たな国籍を得ようとする場合もある。
多くの日本人にとって、国籍を意識するのは、海外の空港で出入国検査を受けるときくらいだろう。だが国籍選択を迫られた人々の経験は、特権的エリートや不幸な少数派の例外的な物語と決まっているわけではない。またそれが問いかけているのは、移動する人々と、移動できない人々の葛藤だけでもない。
国籍選択に直面した人々が、それぞれ問わざるをえなかったのは、国家や国家に帰属することが自分の人生にどのような意味があるのか、という大問題だった。あらためて国家と国民、そしてその先にある国際秩序の意味を読者に問うてみたい。
田所昌幸(巻頭言)
その他、連載など。 -
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特集 リベラルな国際秩序の終わり?
いま、世界の色々な場所で、リベラルな国際秩序の終わりが語られている。その最大の理由は、トランプ米大統領がリベラルな国際秩序の中核となる重要な規範を軽視して、侮蔑しているからである。とはいえ、トランプ大統領がホワイトハウスから去った後も、リベラルな国際秩序の衰退は続くであろう。同時に、オバマ大統領の時代からすでにその終わりが語られてきている。この問題を、長い歴史の中に位置づけて考えることが重要だ。(略)
リベラルな国際秩序が現実には存在していないと考えるにせよ、あるいはすでに過去の遺物であると考えるにせよ、これからは権力政治、地政学、軍拡競争、貿易戦争によって彩られる、より不安定で、より危険に満ちた世界となるであろう。はたしてわれわれは、リベラルな国際秩序を擁護し、修復し、強化させるべきか。あるいは新しい地政学と権力政治の時代に備えて、軍備を増強すべきか。本特集に寄せられた論文の数々を読み、それらを理解する契機となれば、大きな歓びである。 -
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特集 中国を超える華人文学
世界中に散らばる「華人」。商才、故国への離反と忠誠などのイメージが先行しているなか、記号としての「華人」はしばしば一つの物語となる。
そもそも「華人」や「華人文学」とは何か。便宜上の分類もあれば、イメージをすくいあげるための装置にされた場合もある。文学を通して「華人神話」の真の姿に迫る。
ノーベル文学賞受賞者・高 行健、SF作家ケン・リュウらが寄稿。 -
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