ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹
ジェフリー・ユージェニデス(著)
,佐々田雅子(訳)
/ハヤカワepi文庫
作品情報
ぼくらが皆あこがれていたリズボン家の五人姉妹が、次々と謎の自殺を遂げた。美しく、個性的で、秘密めいてすらいた彼女たちは、その死でぼくらの心をさらに惹きつけた。時を経て今、ぼくらはふたたび彼女たちの思い出の中にさまよい出す。ぼくらを変えた、その最期を知るために。甘美で残酷な、異色の青春小説/掲出の書影は底本のものです
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商品情報
- シリーズ
- ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹
- 著者
- ジェフリー・ユージェニデス, 佐々田雅子
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- ハヤカワepi文庫
- 書籍発売日
- 2001.06.15
- Reader Store発売日
- 2014.08.15
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 336ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (51件のレビュー)
-
雲霞に似た昆虫、蛇蜻蛉が湖から湧き上がって町を埋め尽くす初夏に自殺した
リズボン家の五人姉妹について、後年、大人になった「ぼく」たちが回想し、
それぞれが知るエピソードを繋ぎ合わせて彼女らの死の謎に迫…ろうとする。
舞台は明示されていないが、作者の故郷ミシガン州の町で、
彼が思春期の真っ只中にいた1970年代半ば頃の設定と思われる。
金銭トラブルや痴情の縺れによる殺人はどんな場所でも起こり得るが、
犯人が語る動機が他人には釈然としない、不条理かつ凄惨な事件は
ゴミゴミした場所より整然とした小ぎれいなベッドタウンで発生しやすい
……と述べたのは誰だったろうか。
この小説の中では他者への暴力は描かれないが、そんな、
岡崎京子「GIRL OF THE YEAR」(角川書店『チワワちゃん』収録)の
主人公のモノローグで
> そこにはショートケーキのようなウソくさい家がラブリーに建ち並んでいる
と称されたような郊外の住宅地で、
十代にして人生に行き詰まりを感じた少女たちが自殺していく暗澹たる物語。
「ぼく」らは彼女らを救いたいと思い、不器用ながら手を差し伸べようとしたが、
彼女らはそれを恐らく理解しつつ、
「ぼく」らの手を握り返すことなく旅立ってしまった。
「ぼく」らも彼女らと同年代の、まだ子供で、
彼女らの苦悩を受け止めきれないことを承知していたからだろう。
少年たちでもなく、きれいごとや理想論しか言わない大人でもなく、
彼女らと同じ「生きづらさ」を感じながら抜け道を見つけて生き延びた、
若干知恵をつけた少し年上の「おにいさん」「おねえさん」が近くにいて
支えてくれていたら、こんな悲惨な事態にならずに済んだかもしれない。
「死」以外に脱出口が見出せないほど現状が辛いなら、
死なずにその場から逃げ出すのがベストな選択だと思うが、
少女たちには逃亡を図ることもできなかった。
痛ましい。
ところで、長い時間が経って、すっかりおじさんになった「ぼく」らだが、
思い出の中の、
性衝動をどうにか抑えて日々を過ごしていた青臭かった時代の行動は
なかなか気持ちが悪い(笑)。
リズボン姉妹が使っていたバスソープの銘柄を知るや、
同じものを買ってきて香りを確かめた(p.66)だとか、
女の立場で言わせてもらうと「豆腐の角に頭をぶつけて××!」
といったところ。
五人姉妹それぞれに独立した美点を認めて好きだと思っている、というより、
彼女らを一塊の「女(になろうとする生き物)」なるオブジェと捉えている風で、
「十三歳の女の子だった」ことがある身として生理的に許し難い。
現実には、こうした男子のバカさ加減と女子の頑なさが、
ある時点で互いに軟化し、折り合って、自然な恋愛感情として発酵していくのだが。
原題は The Virgin Suiside で、ソフィア・コッポラによって映画化された。
機会があったら観てみたい。
しかし、この邦題は長いが見事。続きを読む投稿日:2017.09.24
さっぱりわからない。うちのばあちゃんがアメリカでどうしても理解できないところは、なぜ、みんないつも幸せそうなふりをしてるかってことなんだ。
フォーマルドレスを着た女の子たちは、どことなく怪物めいて見…えた。頭の上には髪が うずたかく、しっかりと結い上げられていた。酒を飲んだり、キスしたり、あるいは椅子の中で酔いつぶれている彼女たちの向こうには、実はもう、カレッジが、夫が、子育てが、 ぼんやりとしか感じられない不幸が待っているのだ――いいかえれば、人生が待っているのだ。続きを読む投稿日:2024.03.16
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