越前宰相秀康
梓澤要(著)
/文春文庫
作品情報
家康が恐れたただ一人の息子――父・家康に疎まれ、秀吉の養子に出された秀康。関ヶ原の戦いの後に越前、福井藩の藩祖となり徳川幕府を支えた男の波乱に満ちた生涯。
家康を父に持つ於義丸は双子で生まれたため、忌避される。兄信康のとりなしで家康に息子として数年後に認知させた。しかし、秀吉の養子として徳川家を出され、豊臣秀康と名乗らされた。それも束の間、関東の名族結城家に養子に出され、父・家康の監視役とされる。家康が恐れた息子の短くも波乱の生涯を描く歴史巨編。
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この作品のレビュー
平均 4.3 (8件のレビュー)
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家康の次男にして、英傑の誉れが高く、激流の中に身を置き翻弄されながらも、颯爽と生き抜いた秀康(名はそれぞれ秀吉の「秀」と家康の「康」からという天下人二人の名の合成)の一代記。
小説の良し悪しのひとつは…、如何に読者を、主人公に感情移入させられるかではなかろうか。
主人公と共に悩み、ともに泣き、ともに怒り、ともに笑い、そして主人公と共に喜ぶ。
さらに、作者の筆致によって、読者を魅了させる人物に描き切れるか。
その点、この作品はこれらの要求を十二分にまで満たしてくれており、秀康の波乱の生涯の一大叙事詩になっている。
側妾の腹に産まれ、双子ゆえ父家康から忌避された秀康。
彼は終生、父家康との距離感に悩み苦しむ。家康もまた、秀康の宰相としての器量の大きさに瞠目し、妬み、畏れ、それゆえ懐柔の策略さえもする。
自分探しに思い惑う秀康を、母のお万はひたすら強い愛で支え続ける。
幾多の試練を乗り越えた末の秀康の享年が、38歳だったことに、驚きをもって、書を閉じた。
最近、○○ロスなることばが流行っているが、この作品の読後に秀康ロスとなる読者もいるのでは。続きを読む投稿日:2018.08.30
徳川家康の次男、結城秀康の物語。
私の推し武将である。
家康の長男・信康は母親の築山殿とともに、織田信長の命令で殺され(理由は、武田方と内通というのが定説)秀康は実質上の長男となったのだが、跡を継い…だのはご存知の通り三男の秀忠だった。
十一歳で豊臣秀吉の元へ養子という名の人質に取られ、秀吉に男児が生まれると要らなくなって放り出される。
徳川家には戻れず、今度は下総の結城家に婿養子に出され(秀吉の命令でとある)当主となった。
関ヶ原の合戦の折は、奥州の押さえという役目で宇都宮にとどめ置かれて連れて行ってもらえず(まあ、秀忠も真田に足止めされて間に合わなかったわけだけれど)。
最終的には越前に68万石を賜り結城と合わせて75万石の大大名となったが三十四歳で病没という、数奇な人生だった。
そんなところが、判官贔屓心をくすぐって、2代目将軍の秀忠は凡庸だった、秀康の方が将軍の器だったなどと言わせるのかもしれない。
そもそも、家康は秀康(幼名・於義伊/おぎい)が、三歳になるまで会おうともしなかった。
その理由は何なのか。
これまでの歴史小説では何だかその辺はぼかされ、母親のお万の方を側室と認めていなかったからなどと書かれていたりした。
(そこでのお万の方の扱いは本当におざなりで酷かった)
ここでは、秀康が、武家には縁起の悪い双子で産まれたため、迷信を信じる家康は自分にあだなす存在として恐れたと設定して、はっきりとした理由としている。
母親のお万の方に関しても、きちんとした人物設定がされて、ヒロインと言っても良い描かれ方。
秀吉の元に養子に行って戻った後は、天下を確実に手に入れるまでの家康にとって、秀康はやはり豊臣方の人間なのではないか、豊臣方の大名たちに担がれるのではないかという点での疑心暗鬼があったのだろう。
何と言っても、小心で用心深い家康である。
自分に対する、父親のそういう疑心暗鬼を敏感に感じ取って、秀康はいらだち、苦しむ。
お互いに信じたい、信じてほしい、けれど信じきれない、という父と子の葛藤がどこまでも丁寧に描かれていて、人間の感情は理屈では割り切れないものだとやるせなさを感じる。続きを読む投稿日:2024.01.17
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