小説 日本婦道記
山本周五郎(著)
/新潮社
この作品のレビュー
平均 4.3 (49件のレビュー)
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清々しさの読後感を
今の時代、こんな女性はいるのか?と言われるかもしれないが、騙されたと思って読んでごらんなさい。女性に対して見る目が変わろうというもの。戦時中の国策講談本と揶揄されたようだが、私はそうは思わない。こ…れは普遍的なもので、読後感には一種、清々しさの風が吹くこと受け合い!続きを読む
投稿日:2015.04.12
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「山本周五郎」の連作時代小説『小説日本婦道記』を読みました。
ここのところ「山本周五郎」の作品が続いています。
-----story-------------
千石どりの武家としての体面を保つために…自分は極端につましい生活を送っていた「やす女」。
彼女の死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』をはじめ『梅咲きぬ』『尾花川』など11編を収める連作短編集。
厳しい武家の定めの中で、夫のため、子のために生き抜いた日本の妻や母の、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさ、哀しさがあふれる感動的な作品である。
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1942年(昭和17年)6月から終戦後の1946年(昭和21年)までに、『日本婦道記』のタイトルで雑誌『婦人倶楽部』を中心に発表された連作31篇のうち、以下の11篇が収録されています。
■松の花
■箭竹
■梅咲きぬ
■不断草
■藪の蔭
■糸車
■風鈴
■尾花川
■桃の井戸
■墨丸
■二十三年
■解説・年譜 木村久邇典
『松の花』は再読でしたね… 厳しい武家社会の中で家族のために生き抜いた女性たちの、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさや哀しさが溢れる物語、、、
そんな中で特に心に残ったのは、以下の6篇かな。
妻の死後、妻の酷く荒れていた手を握り、そして、生前のあまりに質素な暮らしぶりから、初めてその陰ながらの献身を知る『松の花』… 再読して良さがじんわりと感じられましたね、
不運な出来事で良人を亡くした女が、一人息子を育てるために勤労し、箭竹に「大願」の文字を彫りつけていたことが主君の目にとまったことから、その女性の生きざまが明らかになる『箭竹』、
夫の態度が豹変し、姑の態度もおかしくなり、結局は離縁という運びになってしまった女が、その後、それは故あってのことだと知り、実の両親からの義絶を覚悟した上で姑の面倒を見ようとする『不断草』、
年老いた父と弟と貧しい暮らしをする女は、実は養女だった… 現在は裕福な生家では、以前の貧しいときに養女へ遣った娘を呼び戻したいと願い、生家に呼び寄せるが馴染むことができず、貧しくて一椀の粥を啜りあっても、親と子がそろって暮らしてゆくことを選らび、の貧しい暮らしに戻る『糸車』、
訳があり下働きの女に暇を出さなくてはいけなくなったが、その女は離れたくないと言って聞かず、女の兄を説得して家に帰そうとするが、その道中、崖から落ちて頭を打ち、白痴のようになってしまい、口も利けなくなってしまう… やむを得ず、女を雇い続けることになるが、当主が亡くなり、その息子が当主となった際、あることを女に問い質し、衝撃の事実が判明する『二十三年』、
その他の作品も、それぞれ感じるところはあったんですけどねー 人の道というか、人の生きている目的や存在意義… パーパスというのかな、それを考えさせられ、現代人が忘れてしまったもの、無理矢理忘れようとしていることを思い起こさせる等、読み手の心を揺さぶる何かがあるのが魅力ですね。
『二十三年』の中で語られる、
「人間にとって大切なのは「どう生きたか」ではなく「どう生きるか」にある」
という言葉が印象に残りましたね。続きを読む投稿日:2024.01.04
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