この作品のレビュー
平均 4.0 (147件のレビュー)
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才能の“超”無駄遣い
才能の“超”無駄遣い――まさにそんな言葉がぴったり来る小説でした。四回も脱獄を繰り返した囚人の執念と生命力にも驚かされますが、脱獄されるたびに罰則を免れえなかった看守の苦労も、涙なくしては語れません。…そして一度は死刑判決も受けた男に、仮釈放までの道筋をつけた刑務所長の献身にも心を動かされました。
淡々と描写される中に垣間見える人間模様が素晴らしい一冊です。続きを読む投稿日:2013.10.03
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全く違った視点で描かれた戦争の悲劇に驚くばかりであった。
かなり前のことだが網走監獄博物館で脱獄囚の人形を見た。獄舎の天井の梁を伝って逃げようとしている姿は強烈に印象に残っている。北海道の開拓の歴史は壮絶である。札幌からオホーツクまでの幹線道路には過酷な労役…で亡くなった囚人の骨が埋まっていると言われている。北見から網走へ行く途中の道端には鎖塚という慰霊碑が今でも残っている。この本は小説というより戦争と刑務所のドキュメンタリーである。戦時中の軍需工場での労役や空襲で亡くなった方の遺体処理まで囚人が駆り出された実態や軍国主義の下での監視体制などが詳しく書かれている。
網走刑務所の囚人は氷点下30度の冬でも暖房なしで眠った。それでも脱獄は少なかったと言われている。一般市民のほうが食糧事情が悪いうえ戦時中は健康な男性が外を歩いているだけで目立った。しかし、この本の主人公は戦時中も2回脱獄している。普通では考えられない方法で手錠をはずし3メートルも上にある窓から逃走している。その執念は看守に対する憎しみとしか考えられない。終戦直後、札幌刑務所を脱獄、これが4回目である。札幌郊外を転々とし鉱山に潜んでいたこともあった。
計4回の脱獄のあと府中刑務所の所長と心が通じ合い人間らしさを取り戻していく姿は素晴らしい。子供のころ、私の周囲には戦争を語る人が居なかった。戦争よりも開拓の苦難のほうが大きかったのだろうと思う。戦争の悲惨さは大人になってから小説やドラマや報道で知ったことがすべてである。この本を読むきっかけは網走監獄博物館で見た脱獄囚の人形と「破獄」という題名がすぐに結びついたからだ。しかし、読み進むうちに今までとは全く違った視点で描かれた戦争の悲劇に驚くばかりであった。続きを読む投稿日:2017.01.26
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