七つの時計
アガサ・クリスティー(著)
,深町眞理子(訳)
/クリスティー文庫
作品情報
チムニーズ館に滞在していた外交官が、睡眠薬を飲んで謎の死を遂げた。かたわらには七つの目覚まし時計。これは何を物語るのか? そして謎の〈セブン・ダイヤルズ・クラブ〉と事件の関係が疑われるが・・・・・・。謎が謎を呼ぶスパイ・スリラー。
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商品情報
- シリーズ
- 七つの時計
- 著者
- アガサ・クリスティー, 深町眞理子
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- クリスティー文庫
- 書籍発売日
- 2004.02.15
- Reader Store発売日
- 2012.06.22
- ファイルサイズ
- 0.5MB
- ページ数
- 496ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (18件のレビュー)
-
ノン・シリーズですが、“バトル警視もの”とも言えるかもです。
チムニーズ館に宿泊していた若者グループの一人・ジェリーが死んでしまい、数日後、今度はやはり件の若者グループにいたロニーが射殺されてしまい…ます。
ロニーの死の現場に偶々居合わせたバンドル(アイリーン)は、死ぬ直前に彼が口にした“セブン・ダイアルズ”なる謎の組織について、ジェリーやロニーと行動を共にしていたお気楽な青年・ジミー、死んだジェリーの妹ロレーンと共に探り始めます・・。
クリスティーの描く元気な若い女性に共通しているのですが、このバンドルも御多分に洩れず、無駄に行動力があり、無鉄砲なのでちょいとヒヤヒヤします。ですが、そんな彼女の行動が物語を面白くしているのですよね。そしてバンドルとバトル警視のやり取りや、ケイタラム卿とジョージ・ロマックスの会話が面白くて、特に終盤の“勘違い?ジョージ”とバンドル&ケイタラム卿親子の応酬はめっちゃ笑いました。
ラストのどんでん返しは“セブン・ダイアルズ”の印象そのものがひっくり返るような意外さで、これは痛快でした。犯人もノーマークの人でしたしね。
因みに、時系列的にこの作品の前となる「チムニーズ館の秘密」を未読のまま本作品を読んでしまったので、そちらも読んでおかないと!と思った次第です。続きを読む投稿日:2021.08.07
七つの時計
僕は学生時代、古本屋巡りが好きでクリスティ作品は出版社等拘らずに時間をかけて全て揃えた。残念ながら全てを読み尽くす情熱は無かった訳だが、何年も経って再びクリスティへの熱が再燃し、ハヤカワ…版を買い直し読み進めるに至る。
当然、以前に読んでいて記憶しているもの、読んだがうろ覚えで何となく記憶にあるもの、全くの初見があり、今作は今回が初見だった。そして幸いにも見事に裏をかかれ、学生時代にかえった様な気分になった。ものの見事に虚をつかれた、どう分類していいかわからないミステリーを久しぶりに体感した気持ちだ。
(ミステリーに縛られる事なく楽しめる。トリックの分類は勝手に叙述トリック、もしくは読者の先入観を逆手に取ったものだと理解している)
何でもかんでも面白いと評価する訳ではないが、僕にとっては良作だ。楽しむ事が出来た。
今作は「チムニーズ館の秘密」の続編にあたり、前作から主人公は変更になっている。チムニーズ館の所有者ケイタラム卿の娘、バンドルを中心に構成されている。魅力的な人物達も健在であり、多少なりとも滑稽なユーモア溢れるパートもあり、起承転結がはっきりしている。前作においては中心人物が他に存在していた為バンドルの魅力は制限されていたが、今作ではとても行動的で魅力ある女性に描かれており主人公として理想的だ。序盤はスリリングではあるが、読みにくさもあり(登場人物が多く名前がわかりにくい。職業も似ている為、手こずる)中々頁がすすまなかったが何故この様な事が起きたのか。については読者の好奇心を見事に捉えていると思う。
前作後、チムニーズ館は他の人物に貸し出されており、ケイタラム卿達は数年ぶりに館へ帰還する訳だが、屋敷ではとある若い人物が睡眠薬の飲み過ぎで亡くなっている事件が起きる。
物語が進むにつれて、バンドルを巻き込み広がっていく事件と、秘密結社「セブンダイヤルズ」の真実。バンドルや仲間達の冒険は魅力的だが危なっかしくてハラハラしてしまう。途中から秘密を共有する仲間が増えていきながら、そしてそれぞれが自分自身を欺きながら政治に関わる人物達との社交に携わり少しずつ謎が紐解かれていく訳だが。冒頭にも述べたが真相が明らかになった直後、空いた口が塞がらないとはこの事であり、そういえばクリスティはこうだったなぁと再認識させられた作品。前作に比べてバトル警視の役割も大きく、彼の人物像が少しだけ垣間見れる。
途中までは「チムニーズ館の秘密」には及ばないなぁと思いながら読んでいたが、中盤から結末までで場合によってはこちらの方がいい?と思わされた作品。「カリブ海の秘密」と「復讐の女神」と並び、「チムニーズ館の秘密」と「七つの時計」は二対一組で面白さが何段も上昇する。続きを読む投稿日:2023.11.18
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