誰か助けて 止まらない児童虐待
石川結貴(著)
/リーダーズノート
作品情報
虐待に走る母親の心にはいったい何が起きているのか。「底が割れた」と形容される虐待の現場には、どのようなメカニズムが働いているのか。私は我が子を虐待した母親を訪ね、ありままの声を聞くことにした。変化する家族、親や子どもが抱える悩み、主婦の現状などを自分の目で確かめてきた著者が、児童虐待の凄惨な現実を訴える。
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商品情報
- シリーズ
- 誰か助けて 止まらない児童虐待
- 著者
- 石川結貴
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- リーダーズノート
- 書籍発売日
- 2011.05.10
- Reader Store発売日
- 2011.12.28
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 250ページ
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この作品のレビュー
平均 4.4 (9件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
チェック項目14箇所。児童虐待っていったいなんだろう、なぜ子どもたちは無残に殺されつづけ、なぜ救いの手は一向に差し伸べられないのであろうか、我が子を傷つけ、放置し、平然と見殺しにする親の心に、いったい何が起きているのだろうか。ここ数年、児童虐待の急増は大きな社会問題となっている、反面その数が多すぎて、個別のケースは詳細もわからないまま消えてしまう、世間の耳目を集めることもなく、報じられた翌日には忘れられるような児童虐待事件のほうが圧倒的だ、けれどそこには、「子どもが死んだ」という厳然とした事実がある。子どもの命ってそんなものなのか、と思うとやりきれなかった、私は懲役六年でも「軽い」と感じたが、素人の心情と法的解釈にはずいぶんと開きがあったらしい。虐待と聞くとどうしても、殴る、蹴るといった身体的虐待のイメージが強い、だが、衣食住など基本的な子どもの世話を放棄したり、愛情を示さないといったネグレクト事例は急増している、2009年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待件数は44211件だが、その内訳を見ると身体的虐待が17371件、ネグレクトは15185件拮抗している。私は今まで、子ども時代に虐待経験を持つ母親を二百人近く取材した、彼女たちの中には、自分の子どもを虐待している人もいたが、まったくしていない人のほうが多かった、そうして自分の過去を必死の思い出断ち切った母親たちは、一様に連鎖の「誤解」に苦しんだ。親との愛着形成が不完全な場合、おとなになってからも欲求不満を持ちつづけ、自分を愛してほしい、かまってほしいと求めやすい、自分の欲求を充足することが第一になってしまい、幼い我が子に対しても、自分を愛して、理解して、癒して、と求めるのです。親として生きるのは無理な人たちだと思うんですが、便利で豊かな現代社会ではなんとか生活できてしまう、子どもにコンビニ弁当を買い与え、紙オムツをつけっぱなしにして、最低限の生命レベルを維持することはできますよね、すると当の母親は、自分には子育ては無理だ、今の生活が無謀だとは気づけない。なんで真衣ばかりがみんなに注目され、大事にされ、お姫様みたいに扱われるのか、と、私のことを見てよ、生んだのは私なんだからこっちに注目してよ、私だって甘えたいのに、そんなくやしさが募る。今まで何人もの園児が、虐待を受けている現実から救われないまま卒園していったという、むろん、担当部署には事あるごとに電話を入れ、視察や児童相談所への通告を頼んできた、しかし、児童相談所に通告してもらえたところで、事態はほとんど変わらない。アメリカでは州によって州法や対応システムが異なるが、カリフォルニア州は教師や医師など子どもに関わる職種に対し、虐待の通告義務だけでなく通告を怠った場合の罰則規定がある、「見て見ぬふり」をすると、自分自身が資格停止処分を受けたり、資格をはく奪されることもあるのだ。世間では、「つべこべ言わず、怪しいヤツは一網打尽にしろ」といった風潮が高まっているが、もしそれがすべての「疑い」のケースに適用されたらどうだろう、子どもが激しく夜泣きをしているだけなのに、いきなり児童相談所の職員が「虐待してませんか」と乗り込んでくることにもなりかねない。児童相談所は子どもを虐待する親を指導したり、相談に乗ったりしている、しかしそれは、親が協力的であればこそ可能で、逆に非協力の親、指導や支援を拒否する親に接触するのは容易ではない。何度となく説得を試みても、母親は面会に来なかった、悲しい現実が突きつけられたが、洋介君は、「いつかお母さんに会って一緒に暮らせる日」をあきらめていない、「おとなになったら魚を扱う仕事をして、いっぱいお金を稼いで、お母さんを喜ばせるんだ」、職員には、そんな夢をけなげに語る。
レビューの続きを読む投稿日:2013.11.02
このレビューはネタバレを含みます
サクサク読み進められた。ただ、虐待を巡る事実を生々しく取材を通して描いているのでぐっと苦しくなってしまう方はいるかもしれない。
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面白いなぁと感じたのは加害者(虐待した本人)から焦点を当てていくこと。…筆者が加害者の裁判から児童虐待について触れていくのが興味深い。(被害者主体の話は1番最後に少しある程度だ)
取材を進めていく様が、私の偏った知識や経験からするとパズルのピースをはめて行くような感覚を覚えた。私や周囲の友人たちは圧倒的に被害者で助けられることなく大人になった。
その視点からだと大人に対する憎しみばかりが先走りがちだ。それを最後に持ってきたことで私は冷静に読み進めることが出来た。
生々しい。
保育所も、学校も、福祉現場も苦労がありそれぞれが助けてくれと思っている。いつ自分(たち)が当事者になるかわからない恐怖と、法や体制がしっかりしてない故自己保身するしかない現状。アメリカの「いい親になる努力をしないと子供と暮らせない」状況を作るのは今の日本でとても大事だと思う。外国の児童虐待の法律についても深めていきたい。続きを読む投稿日:2019.10.27
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