小説
結婚のメリット
シリーズ内の平均評価:
(2)
スーザンは鉱物学者。企業のコンサルタントをしている。彼女がこの仕事についたのは、少しでもジェイクに近づきたかったから。ジェイク・メリット。宝石会社社長にして絶大なる権力を有する男。十五歳で出会った瞬間に恋に落ちた、スーザンの永遠の恋人だ。今、スーザンは夢がかなって、彼のもとで働くチャンスを手にした。この扉の向こうで、雇い主は新しいコンサルタントを待っている。スーザンは緊張に震えながら扉を抜けて部屋に入った。だが、彼女を待ち受けていたのは悲しい現実だった。ジェイクはスーザンの名前を聞いても、顔を見・・・
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スーザンは鉱物学者。企業のコンサルタントをしている。彼女がこの仕事についたのは、少しでもジェイクに近づきたかったから。ジェイク・メリット。宝石会社社長にして絶大なる権力を有する男。十五歳で出会った瞬間に恋に落ちた、スーザンの永遠の恋人だ。今、スーザンは夢がかなって、彼のもとで働くチャンスを手にした。この扉の向こうで、雇い主は新しいコンサルタントを待っている。スーザンは緊張に震えながら扉を抜けて部屋に入った。だが、彼女を待ち受けていたのは悲しい現実だった。ジェイクはスーザンの名前を聞いても、顔を見ても、話をしても、彼女と面識があることに気づかなかった。彼に結婚を申し込まれるなど、そのとき誰が想像しただろう。しかもそれは、後継者を得るためだけの愛のない結婚だった……。
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探検家のミミは、一つの地に根を張ることのできない性分だ。生涯の伴侶とも共に世界を旅して生きていきたいと思っている。だからマーク・メリットなど断じて好きになってはいけない。故郷のエメラルドの島で診療所を営む開業医なんて!霧の立ちこめた海にいきなりクルーザーで現れ、ミミの筏にぶつかってきた、あの出会いの瞬間から、マークには神経を逆撫でされてばかりだ。彼が筏の修理を申し出て、当面のミミの働き口まで見つけてくれたときには迷いもした。その仕事というのが、よりによってマークの助手というのだから!なぜ申し出を受けてしまったのか、ミミにもよくわからない。果たしてとどまってよかったのだろうか? どんなに心引かれてもその先に続くものが何もないとわかりきっている男性のもとに……。
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ザックは一族の所有する島、メリット島に帰っていた。十七歳で家を出て以来、二十年ぶりの帰郷だ。今回ふいに舞い戻ってきたのには、わけがある。あのオリビア・ノードストロームとの婚約報道だ。 記者に追いまわされて、島に身を隠さざるをえなくなったのだ。次期大統領候補の上院議員の娘といったい、いつ僕は婚約したんだ!確かにスカイダイビングの事故から彼女を救った。でも、それだけだ。ロマンスなど何もない。なぜオリビアがこんなでたらめを言ったのか問いたださなければ。ザックはオリビアの到着を待った。謝罪にか善後策を練るためにか、ともかく彼女はやってきた。そこにプリンセスの面影はなかった。頼りなげで、緊張している。彼女は何を告げに来たんだ? ザックはひどく落ち着かなくなった。
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