吸血鬼は眠れない
日向唯稀(著)
/ラピス文庫
この作品のレビュー
平均 3.7 (3件のレビュー)
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このレビューはネタバレを含みます
隼人陸(受け)は高校二年生。
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幼馴染の魚住海斗と、生徒会長である白鳥空也とともに、名前を絡めて「三将」と呼ばれている。
ある日、陸が幽霊部員として所属している「ヴァンパイア研究会」という部が生徒会長である空也によって潰されそうになり、部員に泣きつかれる。
まともな活動実績もないヴァンパイア研究会なんて潰されても仕方がないとは思うのだが、幽霊部員とはいえ部費で飲み食いしていたこともあって、しぶしぶ空也に廃部を取りやめてもらうように直訴する。
ところが、ヴァンパイア研究部の話を持ち出した途端、空也が不機嫌になり、挙句、空也に告白されてしまう。
その告白をその場の勢いでこっぴどく振ってしまった陸は、成り行きで飛んでもない約束をしてしまう。
いわく「吸血鬼を見つけなければ、空也と付き合う」。
そんな約束ばかばかしい、と思いつつも、引っ込みがつかなくなった陸は、夕方、学校からそう遠くない場所にある「吸血館」と呼ばれている館へと出向く。
ところがそこにあったのは、花の咲き乱れる「吸血鬼」とは程遠い外観をした、きれいな花の咲き誇った豪奢な洋館で、結局「ただの僻みじゃないの」で終わるはずだった。
ところが、その夜、陸は「アンドレイ」と呼びかけられて目が覚める。
目が覚めた陸が握っていたのは、あの洋館で見た「ローテローズ」という深紅のバラの花びら……。
そこでどうしてか「あの洋館に行ってみよう」という気持ちになった陸は、夜中にこっそりと家を抜け出して、洋館へとたどり着く。
たどり着いた陸は部屋についた明かりに誘われるように、木に登って部屋の中を覗き込んでしまう。
そこでは、2人の男がいて……
直感で“儀式だ”と思った陸はつい「吸血鬼だー」と叫んでしまう。
中にいた男に「誰だ」と叫ばれた陸はバランスを崩して、木から落ちてしまう。
落ちた……と思った陸が目を覚ますと、そこはベッドの上で、先ほど部屋にいた一人――オリエンタルな風貌の男・狼がいた。
その狼に、陸は「待っていた。お前と会うためだけに生きてきた」と告白され、押し倒される。
けれど、狼は陸が自分の恋人の生まれ変わりだと思い込んでるようで――。
てな感じの話です。
とにかく、狼がヤバイです。
そんでもって、陸がほしいですっ!!(黙れ)
きっと、現実世界にいたら、きっと私好みの男に違いない(死んで来い)
えーっと、点数的には75点。
陸にメロったので、5点プラスで(爆)投稿日:2011.11.04
確認先:目黒区立八雲中央図書館(TY06)
評者の中では割合高い評価の一冊である。考えなくてもいい(≠思考停止状態で読書をする)からではない。お馬鹿さの陰に潜む人間の軋みが重要な要素として抽出される…ことによって、見えてくるものがあるからである。
本書で重要視されているのは、輪廻転生ではなく、その背景にある「めぐりあうこと」への幻想と欲望が織り成す狂気の姿である。狼が定期的に棺おけに閉じこもる行為もそうした狂気の繰り返しに対する諦念のそれであるわけだし、陸が「アンドレイ」と同一化されることへの反感もまた、そうした「めぐりあうこと」に一喜一憂させられることへの乖離的な反応の一例であろう。
日向自身もこの狂気の問題に有効な回答を持ちえているわけではない。「宿命は愛によって融解する」とは当人が一番思っていなかったことであろうし、事実そうであるわけではない。さしずめ、「宿命は愛というYを用いてXという代数になる」ともいうべき複雑な方程式の公式に放り込んだ格好だが、実際BLであろうとなかろうと、それしか方策はないのである。
当たり前のことを喜劇の中にきちんと織り込んで、説明も説得も用いない手法――あるときまではBLだってやればできたのである。単語を失った今となっては。続きを読む投稿日:2013.04.01
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