この作品のレビュー
平均 4.2 (34件のレビュー)
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尖閣諸島における中国漁船と海上保安庁の巡視船の衝突ビデオを投稿した元・海上保安官、「sengoku38」こと一色正春氏による告白手記である。尖閣諸島問題の話題がやや下火になったタイミングでの出版に、こ…の問題を風化させたくないという著者の執念を感じる。
◆本書の目次
これ、わしがやったんや
中途採用で海上保安官になった
そもそも尖閣諸島とは
事件の始まりの事件
中国人船長逮捕
東シナ海ガス田の濁った海面
私が尖閣ビデオを目にした日
世界に対して面子を失った日本
侵略を開始した中国
なぜビデオが国家機密なのか
私がやらねば
ビデオ公開前夜
11月4日、実行
ビデオ公開翌日
私が行った罪証隠滅行為
私がやりました
取り調べは続く
海上保安庁から脱出
考えるということ
ハンドルネームの意味は・・・
海上保安官人生が終わった
公開の意味
終結
モノローグ形式で語られる出来事の真相は、非常に理路整然としており、日本のジュリアン・アサンジのようなキャラクターを期待すると肩透かしをくらう。しかし、その普通さが物語るのは、組織の中で普通に生きるということが、いかに難しいかということでもある。そういった意味において、本書は著者が身を呈して投げかけた組織論とも言える。
著者が主張しているのは、機密漏洩と称されたビデオが、はたして本当に国家機密なのかどうかである。その個人の問いかけに対し、組織としての回答は曖昧で、責任の所在も不明瞭な様子が描かれている。そもそも、現場の最前線にいる保安官に、「発砲した後に撃った弾を戻せというような命令が発せられると考えている人間と、撃てば英雄になれると考えている人間では、結果はおのずと見えてくるであろう。」などと思われるようでは、日本というのは「組織の体」をなしているのか、疑問を抱いてしまう。組織の原理や定型に潜む危うさは、無知を上回るものなのである。
与えられた命題を突き詰めると、「組織の命令が明らかに間違えていると思ったとき、個人はどう振る舞うべきなのか」というところに行きつく。簡単には答の出る問題ではないし、自分に置き換えても、その時になってみないと分からない。しかし、その時が訪れてしまった著者の体験は、広く共有され、議論されるべきものであるだろう。
ちなみに、著者は本書でハンドルネーム「sengoku38」の意味を、最後まで明らかにしていない。次の一手を用意しているということなのだろうか。刮目して見ていきたい。続きを読む投稿日:2011.02.18
このレビューはネタバレを含みます
2010年9月7日五泉9時過ぎに巡視船「よなくに」が日本領海内で違法に操業している中国漁船「閔晋5179」を発見、中国漁船は航送を開始し、増速しながら巡視船「よなくに」体当たりをし、その後も巡視船の停…止命令を無視した上で逃走を続け、再度、巡視船「みずき」にまでも体当たりをしてきたため、午後1時ごろ海上保安官が中国漁船に乗り込んで停船させ中国人船長を逮捕したが、処分保留のまま「無罪放免のまま釈放」された事件の証拠映像の動画をアップロードしたため、犯罪者にされてしまった、一色正春さんの本です。
レビューの続きを読む
当時騒がれていましたが、余りにも平和ボケをしていたその当時のわたしには、この事件がどれほどの大きな意味を持つ事件なのか少しもわかりませんでした。
少しでも知りたくて読ませていただきました。
数多くの点で大変な意味を持つ事件でした。
中国をはじめとして周辺諸国が日本の対応を見ていたことは明らか。
明らかに犯罪を犯した中国人船長を無罪放免。
命懸けで体を張って日本人を守ってくれていた海上保安官たちのこと。
日本人漁民たちの安全。
日本人の安全よりも暴挙を働いた外国人に配慮し大切にするわけのわからない対応。
尖閣諸島、北方領土、竹島等の歴史やそこで起こってきている問題について日本人がどれだけ知っているだろうか。韓国は国の子供たちに、日本海の島を、小さい頃から民族団結の証のように教えているというのに。我が国の教育はいかがなものか。
周辺国だけではなくて、自称環境保護団体シー・シェパードの日本国船に対する明白な犯罪行為の攻撃行為等々、日本は力で押せばどうにでもなると世界中から舐められまくっている日本人。
日本人が信じる日本の常識では、世界中には通用しないことに気づかなければならない。そうでなければ、今後も同様のことが続く。
大多数の日本人が侵略の真実を知らされていない。相手国が国を挙げて侵略をしてくるとすれば、こちらも国を守るという国家国民の強固な意志なしでは対抗できない。そのためにも、国民皆が真実を知って一人ひとりが考え判断し、相手に立ち向かわねばならない。
国民一人ひとりが決意した国家が困難に当たり難敵を退けた事例は、現代においてもベトナムなど枚挙にいとまがない。
日本が置かれている状況を日本人は正しく理解しなければいけない。
周りをロシア、中国、北朝鮮、韓国という国に囲まれ、それぞれの国と領土問題等を抱えている現実を、いまこそ日本人は直視しなければならない。
日本は、今、まさに四面楚歌なのである。
一番大事なことは、現実を直視して、国民一人ひとりが自身の責任で考え判断することである。情報を隠蔽したり、事実から目を逸らしたりして、問題を先送りしていては何の解決にもならないばかりか、悪い方向に向かうばかりである。
9月7日の事件が起きたときにも、周辺に約150隻もの中国漁船がおり、そのうちの約30隻が領海侵犯をしていたのである。
その中国漁民が緊急避難等を名目に一斉に尖閣諸島に上陸しだしたら、現場の海上保安庁の巡視船だけでは対処できず、結果的に縞を奪われかねない。
実際、フィリピンが領有していた南シナ海の島で中国による同様の侵略行為が行われているのだ。
中国の実効支配は開始されており、これを奪還するには武力行使しか手立てがない状況に追い込まれた。フィリピンは手をこまぬいている間に建造物が完成してしまった。
竹島や北方領土もそうだが領土問題において実効支配がいかに重要かということである。
国民が明確な方針を示すためにも国民が色々なことを知り、そして様々な意見を述べていくことが大事である。国民に真実を隠したままでは、国民が事の成否を判断しようがない。
人が大勢死んでから、「なにぶん初めてのことですから」では済まされないのである。
彼等は相手が弱いとみると、嵩にかかって攻めてくるのだ。
いじめられっ子は、反撃しないからいつまで経ってもいじめられ、そしてそれが段々とエスカレートしていくのだ。いじめられるのが嫌だったら反撃しなければならない。
現在の日本全体が下り坂を下っているように感じている人は多い。政治が悪い」「社会が悪い」と言う人もいるが、それだけではないだろう。根本的な原因は、大人がやるべきことをやってこなかったからではないだろうか。お金や目に見えるものだけではなく、それ以上に大切なものがあるということを大人が子供に教えるべきなのだと私は考える。
【ビデオを公開した意味】
一色さんが子供たちと、すべての日本国民に対しての想いを述べられています。
多くの日本人の心の中で何かが変わっていくきっかけになったと信じたい。何かを考える、きっかけになったと。
若者よ、国を頼るな、むしろ国に頼られる人間になってほしい
学生時代には大いに勉強をして、自分の視野を広げていくこと。いくら勉強しても無駄になることなどないし、悔いが残ることもない。
今の日本という国がおかしくなっていることを、なにか現状をを変えなければいけないと皆が思っているが、それが漠然としていて、暗闇の中を明るい未来をさがしながら手探りで歩いているようだ。
今、社会システムを変えなければいけない時期に来ている。それは容易なことではないが、一人ひとりが今こそ私利私欲を捨て、この国の未来のため、子供たちのために、この国のシステムを根本的に変えていかねばならない。
相当な覚悟が必要であるが、日本には日本のやり方がある。みなが自分自身で、この国を変えていくにはどうすればいいのかを考えなければいけない。
自分一人がやっても何も変わらないと思えば、そこまでである。
むしろ、自分だけでもいいと考えるならば少しは変わるかもしれない。
一色さんは、世間では私のことを英雄であると持ち上げる人もいるが、私はそんな立派な人間ではない。
むしろ、立派な人間になりたいと思って生きているただの人間である。
私たやったことに対して、立派だとか、義挙だとかいう人がいるが、私は日本国民として、ただ当り前のことをやっただけのつもりである。
自分自身のためではなく、子供たちの未来、日本という国、その他のいろいろなもののためである。
国の借金も、他国に謝り続けるのも、我々の世代で終わりにしなければいけない。
世の中を変えていかなければいけない。
それが、我々大人が次の世代に対して背負っている義務である。
自分だけがよければいいという考えは、もう捨てよう。
人間、自分のためにだけ生きるのもいいが、なにかのために生きるのはいいものである。
この本を読まれた皆さんが、明日から少しでも、そういう気持ちで生きていけば、なにかが変わるかもしれない。続きを読む投稿日:2022.08.16
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