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漢が滅びてのち中国は、魏(ぎ)・呉(ご)・蜀(しょく)が覇を争う激動の時代を迎えた。本書は、この三国の抗争に材をとった、波乱万丈の伝奇物語『三国志演義』の完訳である。従来日本では 『三国志』といえば、この『三国志演義』のことを指している。時は後漢王朝も崩壊直前の末期。暗雲全土をおおい、群雄が諸方に起(た)ち、戦機まさに野に満ちる。そのおり、劉備(りゅうび)・関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)が世に現われ、三英雄は桃園(とうえん)に会し、兄弟のちぎりを結ぶ。
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百将乱れ起つなか、ついに怪傑曹操(そうそう)が、劉備らを制し、天下一統を果たそうとする。だが、江南の雄、孫権(そんけん)がそれを阻み、流亡の将軍劉備(りゅうび)もまた、名将孔明(こうめい)を得て、曹操反撃に転じる。
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大長江の「赤壁(せきへき)の戦い」に孫権・劉備の同盟軍に敗れた曹操は、敗亡の身をいったん本拠地の魏にしりぞく。共通の敵を失って、孫権・劉備の角逐(かくちく)が始まる。一方、最後のあがきをつづける王朝一族の死命を制した曹操はふたたび起ち、劉備の蜀をうかがう。両者ゆずらず、孫権の呉と、三国相分かれての修羅場へと世は進展してゆく。
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栄枯盛衰は世のならい。かつての英雄・猛将らも、踵(きびす)を接して歴史の主舞台を駆けぬけてゆく。権謀術策に長けた曹操も、義兄弟をちぎった三英雄、劉備、関羽、張飛も。
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かくして時代は、いままた新たな戦機をはらみつつ暗転する。呉を併呑した魏の英主曹丕(そうひ)、南蛮を制して営々と兵馬を養う蜀の知将孔明、両雄の一大決戦は刻々に運命を賭して秒をきざむ。そしてついに、渭水(いすい)南岸の本営に孔明が起った。
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三国争闘の状態は、呉の脱落によって蜀・魏決戦の様相をみせはじめる。ともに天下ー統の野望に燃える蜀・孔明、魏・司馬懿(しばい)の両雄が、大軍を擁して五丈原(ごじょうげん)に対決する。だが、知謀のかぎりをつくすなか、稀代の英傑・孔明は、雄図をはたしえずして陣没。五十四歳の生をおえる。司馬は炎(えん)に至って晋を建て、天下統一を実現、さしもの乱世もここに終わりをつげる……。
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