人間は客観的に世界を見ることができない 脳は世界を能動的に構成している 記憶は脆弱で不安定で改変されやすい 名前がつくだけで記憶が書き変わる 人間は論理的な思考が基本的に苦手である ウェイソン選択課題の正解率はわずか10パーセント 確証バイアスが自分の考えを正当化させる 人間は確率よりも感情で考えてしまう 基準率を無視してしまう傾向がある バイアスは必ずしも悪いものではない 思考バイアスに流されている状態は思考していない 真の思考とは自分のバイアスを超えて考えること スキーマが人間の高度な思考を支えている 言語は世界の膨大な情報を大幅に圧縮している スキーマが欠けている情報を自動的に補完する 人間は論理的思考よりも実用スキーマを使う 多くの人は自分がスキーマを使っていることに気づいていない アブダクション推論が人間独自の思考スタイル アブダクション推論は正解に至るまでの過程で飛躍がある アブダクション推論が知識を拡張し創造する 知識の拡張とは点を面に発展させること 新たな知識の創造は離れた分野を結びつけるから生まれる 因果関係の解明は見えないメカニズムを考察すること 仮説を立てるにはアブダクション推論が絶対に必要 直接的な経験に限定されない仮説はAIには不可能 一流の科学者ほどアブダクション推論の精度が高い 一般人と一流の違いはアブダクション推論の精度の違い AIはアブダクション推論をしない AIが実際に行っているのは確率情報の計算 AIは意味を理解していない AIは記号接地をしない 人間の記号接地は複数の感覚データの統合から成立する AIは何かを意図して伝えようとしていない 生成AIは意味を理解していない記号を置き換えている AIが生み出すのは一般人の平均値にすぎない 人間の価値は平均から外れることの中にある 唯一無二のパフォーマンスを生み出せるのは人間である 記号接地と効率性は相反する関係にある 得手に帆を揚げるとは充実感が得られることをすること 好きなことを突き詰められるのは人間の特権

講義をまとめられた書籍であるだけあって、非常に読みやすく、しっかりとまとめられていた。 前半部分では、人間はどれだけ論理的思考が苦手であるか、どんな風にバイアスをかけて思考をするかを詳しく書かれている。 そして後半ではアブダクション推論について、著名な経済学者ダニエル・カーネマンの人間の思考システム1、2を用いながら丁寧に説明されている。 その中でも公正者のお話がとても気に入りました。 「一流な公正者は、その意味を徹底的に考える」 「アブダクションによって正しい正しくないを超えた意味の世界に入っていくことができる」 「精度の高いアブダクション推論ができることが、一流の熟達者の条件」 自分もアブダクション推論を意識し、人間ならではの武器である生きた知識を身につけて生きていきたい。

ぶらりと本屋に行った際にランキング入りしていて読みました。 内容は、慶応大学で行った『AI時代を楽しく生き抜くための「認知心理学」』の授業をもとにかからています。 認知心理学とは、何か知らない人で分かるように専門用語は、少なく事例を多く紹介されています。 また、各章ごとにおさらいがあり頭の中の整理もとてもしやすかったです。 人間の感覚の不完全さを改めて認識し、しかし不完全があるから成長をしていく。 一つ一つの知識（点）を面の知識に拡張していくことで知識となる。 この点が多いほどより面の知識の精度が上がる。 この本を読んで私は、この面の知識の精度を上げ、本能的な判断能力、論理的な判断能力能力を高めていることに気づきました。 本を読むことは、意味はある。 それを知ることができた大変有意義な1冊でした。

認知心理学の分野に関してはほぼ無知だったんだけど、おもしろい！私たちの思考にはいろいろな仕組みが搭載されていて、合理的に判断していると思っていたことが実は合理的でなかったり、感情で決断したと思っていたことが実は経験に基づいた合理的な判断だったりするんだな。「得手に帆をあげる」の話もすごく好きだった。 【読んだ目的・理由】タイトルが気になったから 【入手経路】買った 【詳細評価】☆4.2 【一番好きな表現】どんなに自分が好きな仕事を選んでも苦労はある。困難はある。しかし好きなことだったら、困難に耐えられる。（本文から引用）

今井先生の一般向け書籍はどれも言葉が平易で理解しやすいです。 これも、子どもの言語発達を研究してこられた長年の経験に裏打ちされたものであろうと感じました。 慶應SFCでの最終講義を書籍化したもので、近年出版され、ベストセラーになった書籍たちの内容をダイジェスト版です。従って、先にそれらを読み終わっている人には新しいことはそれほどないと思います。最後に、今井先生が研究者の道に入った頃の話をされていますが、これはこれからどう生きていこうか途方に暮れている若者はもちろん、今までの自分に後悔したり、嘆いたりしているわたしのような中年の人にとっても、響くものがあるように思います。 この本を読んで、わたしは「人間はAIに仕事を奪われることを恐れる必要はない」と考えるようになりました。今井先生の言葉から、間違うことが生き物らしさであり、より多く試行を繰り返して生んだ間違いを、思考してより良いものへと育てられることこそ、人間の価値であるのだと理解をしました。 これは個人的な思い出話でしかありませんが、幼い頃、親や学校の先生から「間違うな、失敗するな」というメッセージを受け取ってきたと感じています。今の経済性、効率を最優先とする社会の中で、「失敗は損失を生む悪」として制裁によって抑制することが正しいという考えが根強くあります。しかし、人は万能ではなく、失敗を完全に避けることは不可能です。「わたし、失敗しないので」と現実世界で言うときは、起こっている出来事をそのときだけ失敗の定義から意図的に外しているか、出来事自体を認知から外しているか、どちらかだと思います。

感想を主観的に書くよりも、アンカーになりそうなポイントをAIとの対話で掘り下げた方がより深く理解できると思い、小説以外はこの型式でまとめる --- ### 1. 記号接地の理解と実感 - 鬱の経験を通して、知識が「知っている」から「身体を通して納得できる」に変化した実感。 - それは記号接地の典型例で、知識が身体的経験と結びついて“使える概念”に変わった瞬間。 ### 2. 攻殻機動隊との接点 - 「義体が人型を離れると自我が崩壊する」は、**外界との接地を失うこと＝自我の崩壊**という寓話。 - 当時の“肉体を持たない生命体”という理想は、現代では**接地の喪失**として再解釈できる。 ### 3. AIと人間の関係 - 君の表現では、AIは**思考の外注業者**や**人間に寄り添うインターフェース**。 - Macintoshが人間の操作感覚に寄り添ったように、AIは**思考や言語に寄り添う存在**になりつつある。 - 「AIが嘘をつく」という違和感は、“機械＝真理装置”という古い観念の名残。 - AIは真理を返す装置ではなく、**文脈的整合性を再構成する装置**である。 ### 4. バイアスとアブダクション - 人間はバイアスなしでは考えられない。 バイアスは誤りではなく、**世界の複雑さを処理する知的圧縮装置**。 - アブダクション推論は、バイアスを創造的に活用する仕組み。 - 君の比喩で言うと： - 各スキーマ（心的ネットワーク）は局所的な“定石”。 - アブダクションは、それらを横断して“グローバルに接続する”行為。 ### 5. AIと人間の補完関係 - AI：積み上げ思考（ロジカル・統計的構築）が得意。 - 人間：飛躍思考（非連続な接続・直感的発想）が得意。 - 両者は補完関係にあり、社会は「AIが積み、人が跳ぶ」方向へ変化する。 - 職人・芸術家・スポーツ選手の思考が、人間的価値の象徴になる。 ### 6. 創造と物語 - AIは既存パターンの再構成はできても、**身体的違和感や衝動から生まれる物語**は作れない。 - 人間の創造とは、身体性と不安定さを通じた**飛躍の記録**である。 - これからの文学・芸術は「AIと人間の境界」そのものを描く領域に移っていく。

今井先生が今までいろんな本に書いてきた内容を分かりやすくまとめた感じの本でした。 最後の方の尾身茂さんについてのお話も良かった。

会社でAIを使用して因果探索をしているが、その時に習った内容だったので分かりやすかった。点と面の考え方について理解する為に、もう一回読み直そう。

認知心理学とその具体例を分かりやすく書いてある本です。人間は、ﾊﾞｲｱｽ（偏り）も分析も必要で、結論はﾊﾞﾗﾝｽが大事ということなのかなと思いました。

非常にスラスラ読めて細かな気づきを与えてくれる本だったけど、大学生向けの内容をベースとしているのでどうしてももっと深掘りして説明してほしいという感情が出てくる。 あとタイトルが内容に対してちょっと大げさ。

素晴らしかった！一気読みした新書。 筆者の慶應SFCの最終講義。 人間の認知力がいかに危ういか、一方で人間の認識方法がいかに優れているかを教えてくれる名著。 人間は２つのシステム（①直感的な思考（間違いが多い）と②熟慮による思考（判断が遅い））で思考しており、デフォルトは①だと言う。間違いが多い①の精度を鍛えるには、②の熟考で振り返る訓練をすることだ。「瞬時に無意識に行動できるまで、訓練を続けて身体に落とし込むこと。それが、システム①の直観を磨きます」との筆者の言葉には強く頷く。 最後にコロナ禍で活躍された尾見さんが残した言葉、「得手に帆を揚げろ」が紹介されている。どこに行っても生きている限り苦労はするのだから、得手にいくべしとの言葉。 今井先生が優しい言葉で人間の認識のありようを語ってくれる上に、最後は励ましてくれる名著。

思考バイアスに満ち溢れている。 システム1で合理化しまくっている。 だからこそ、記号設置体験をして、感覚を広げて、システム2を大きくしつつ、システム1を鋭くする必要がある。 知識は広く、直感は鋭く。

【背景】 ①なぜ読むか 「人」がどんなミスに陥りがちかを知りたいから。 ②何を得たいか 陥りがちなミスを把握し、それを避けるための知見を ③読後の目標 バイアスや認知の歪みに、時々でよいから気付けるようになりたい。 【著者】今井むつみ(慶応義塾大学名誉教授) 【出版社】日経プレミアシリーズ 【感想】 まず自覚すべきは、人の認知は曖昧で、予測や期待を含んでいるということ。そして、文脈にも大きな影響を受けているという点である。 また、私自身、本書に出てくるカードを裏返す問題は何度やっても引っかかってしまう。ここでは、論理的な思考がそもそも苦手なように脳が設計されていることが示される。 世間一般からは、「とても論理的」と評価される私ですら、そんなもんなのだ。 その後がさらにおもしろい。怒濤のバイアス列挙ゾーンだ。 知ってるつもりバイアスなんて、思い当たる節が多すぎる。特に読書家の人ほど、このバイアスには陥りがちじゃないかな。 そのうえで、スキーマとアブダクションの話に入っていく。ここからこそが、まさに今井節といったところだ。 これについては、著者の他の本を当たるのが良いと思う。どれも実験・研究自体がおもしろい。

著者退官の講義から編集したもので過去出版されて紹介された焼き回しも多いためか、肩の力を抜いて書かれてる印象。若い学生に向けてのエールとして、好きなことをまだ見つけられないなら、今やってることを嫌でなければとりあえずやって、次のステップを見極める。共感した。2025.9.20

AI活用が日常になってきた昨今、わたしたち人間だからこそできる価値って？と考えることが多い。 著者は認知心理学の研究者でありながら、人工知能の研究にも携わってきた方。本書には、人間の思考はスキーマやバイアスによって、偏りがちだし、間違うことが多い、と書いてある。しかし、「記号接地」（経験により知識を理解し、新たな知識を創り出すこと）は、人間にしかできないという。 人間の思考には、システム1とシステム2がある。システム1は、直感・直情的で早いが、間違いやすい。システム2は、熟考型で間違いにくいが、遅い。人間のデフォルトはシステム1だそう。どちらが良いということではなく、システム2でシステム1を見張り、反省を繰り返しながら、「間違いにくい」システム1を作っていくこと。 頭でっかちあれこれ考えるより、自分の心が動くほうへ、「勝手に帆をあげる」ほうが、人間らしく、幸せに生きられる方法なのだと本書を閉じた。

認知心理学と言う言葉すら知らなかったが、論理的にいるつもりだった私は、結局はその時に都合よく認知している所に大きく影響を受けて物事を判断しているんだろう。と理解？しました。見えてるものが本当の真実のものとは限らない。バイアスは常にある、その事を俯瞰で理解しながら、仮説を検証しつつ過ごしていこう！もう一回読まなくちゃだねー

人間の思考の偏りについてフラットに説明している前半と、それを踏まえた人間の思考の弱み強み、AIに勝る人間ならではの点、故に生きていく上で大切にすべき点を丁寧に記した後半の2パートから成る。 経験知から成る人により異なるスキーマ(物事を認知する指針的なもの)から事象を捉えること、すなわちアブダクション推論により、人間は膨大な情報を限られた言語のもと認識、コミュニケーションしている。このアブダクション推論をより良いものにするには、AIにはない、物事を正確に多面的に理解する(記号接地する)膨大な過程が重要となる。一方で、瞬発的な判断(これもアブダクション推論の質次第で良し悪しが変わる)のもと、目の前のことに深く向き合うことを繰り返していれば、自分なりの幸福に辿り着く、とも言ってる。 ※最後は少し暴論に感じたが、人としての魅力の源泉を言語化した良い本なのでは、と思った。

　今井むつみ先生の著者を複数読んでいれば、簡単な復習にもなるし、読んでいなければ面白い知見がたくさんある本である。ただ、この本が他の著書と比べて秀でているのはその「メッセージ性」である。 　慶應の最終講義をまとめた本書は、これから社会に羽ばたく学生達へのエールの面が強く、そして優しさに溢れている。 　何か不安になったり、方向性を見失った時などに是非とも読み直したい一冊である。

いかに人間が思い込みで物事を判断しているかが理解できる内容でした。 慶應大学で行われた講義をベースに書籍化されたものなので時々難しく思う内容もあるのですが、所々図解を載せてくれているので、言わんとすることは何となく分かります。 人間とAIの決定的な違いも丁寧に説明してくれており、ますます人間であることの面白みを感じ取ることが出来ました。 実は、こちらの本を読んだ後に文芸小説を読んでみました。 すると、これまでとは違った視点で物語を俯瞰して読むことが出来たのです。登場人物たちのスキーマに基づいた言動を客観的に見ることが出来たというか。 こちらの本は、私の読書の幅を広げてくれる内容でした。

今井むつみ先生の最後の講義。 認知心理学って人と向き合う学問なんだなって。 得手に帆を立てる、覚えて起きたい。 こういう人のキャリアを聞くと、偶然が重なってるように見えるけど、その時その時に懸命になってた事が幸運を呼んでるのよね

最後の章の「得手に帆を上げろ」というフレーズほんとに良かったAI時代に人生という大きな問いと向き合うためにAIと人間の思考方法を述べてこの本の集大成という感じがした 本書の中ではバイアス、ヒューリスティック、記号設置、システム1,2などの用語が丁寧に解説されていて、人間とAIの思考の違いはアブダクションにあるという主張だった。 確かに考えてみると、大規模言語モデルのAIは大量の言語データを学習して、特定の言語の次には何が来るかというのを確率や統計的に出力しているだけで、それは人間の思考方法でいうところの帰納的推論に他ならない。 言語というのは世界の情報を圧縮して削ぎ落とした記号だという話も面白かった。最初はどいうことかあまり理解できなかったけど読み進めるうちに段々と理解できてきた。 例えば「りんご」という単語が意味するところはいろいろ名詞としてのりんごもあるして比喩としてのリンゴもあるだろう、それはりんごのある要素を他の何かに当てはめる際に比喩として用いているのだが名詞としての「りんご」が指すところはただ物体としてのリンゴを指すだろう。 この時りんごの匂い、質感、味、色などは完全に削ぎ落とされて３文字の記号として表記されているが、それらの質感や味などりんごがもつ要素と「りんご」という記号が結びつくことを記号接地という言葉で説明しているらしい。 この人間特有のマルチモーダルから供給される情報からりんごという物質の要素と記号を結びつけて人間はそれを意味としているのだろうか。

## 人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学 - 人間は見落としをして、世界にはミスが溢れていて、人は簡単に忘れる - 人間の記憶は脆弱、意味を解釈して意味しか覚えることができない - 人間は論理的思考に向いていない - 必要条件、十分条件、因果と相関の混合をする - 何かが起こった時に原因を考えるが、それも大きく間違っている時がある - ））これがち！ - 確率で考えるのも苦手 - 論理性、合理性（＝計算性を失ってしまう） - 妥当性の確認を数値によって行う - 正しく確立を把握できれば冷静になることができる。 - ））数値で考えてみよう。文脈ではなく。 - バイアスの話 - 確証バイアス、都合の良い耳に心地よい情報ばかり集める - エコーチェンバー（Youtubeのおすすめ）と合わさると危険 - 知っているつもりバイアス - 本当に自分が知っていることか？を考える - ））例えば俺がこれ社員さん見たらどう思うんすかね？と言ったとして、その人の気持ちなんかわかんない - ））だから、「いつ」と言う質問術が重要になる - 労力の過大評価、過小評価 - 自分のしたことは意味があることだけど、他人のしたことは意味がないとなってしまう - これは自分の労力を過大評価することがいちばんの原因だと思う、相対化している - 自分の常識の過剰な一般化バイアス - まじでこれ気をつけよ - 流暢性バイアス - これまじで、、、--さん、、、 - 俺もその節ある！！から気をつけよ、やりこめようとする時にそう言うことになってしまいがち - でも別にバイアスが一概に悪いわけじゃないよって話 - スキーマ - 経験を自分で消化して作った暗黙的知識、要はVIew、取り出すの早い。 - 思い込みの塊でもある。これで行間を埋めている。 - アブダクション推論 - 正解が必ずしも決まらない、論理の跳躍を伴う非論理推論 - 仮説ありき - 正しい、正しくないを超える世界（YES NOではなくWHYの世界） - いちばん重要なとこ！！！ - アブダクション推論の質を高めるには？？ - システム１とシステム２ - システム１は直感的で早い、２は熟慮する - システム１の基準のもの - 神聖な価値観 - どのように行動するべきかの価値観、物事を単純化するツールのこと - システム２だけでは人生はつまらない - システム１を鍛える方法 - 振り返りを行なって反省して自分の改善するところを見つけて訓練して体に落とし込むこと - mさんわかりやすい。経験があるから判断が早い、全部システム１でやってる - ほんで振り返りをサボるからシステム２が発達しないし、使い分けるべきポイントもわかっていない とりあえず行動は、、、仕事はもうやってるからプライベートの振り返りを日記として行おう。変な縛りを設けないように、当たり前の反省を。関数を治す。出力結果を誤魔化すのではなく。。

分かってた内容を細かく教えてくれた。けど内容があまり入ってこなかった。けど読みやすかった。もう一回読み直す。

講義を文字起こしされた書籍なのでとてもわかり易いです。所々で先生の学問に対する熱い息遣いを感じることもできます。

認知心理学者である筆者の慶応大学SFC定年退職にあたっての最終講義をベースにした、人間の認知のエッセンスを分かりやすく解説してくれる1冊。AI時代に生きる上で認識しておくべき視点を与えてくれる。 情報処理能力・記憶に制約(限界)がある人間が、スキーマに基づくアブダクション推論を駆使することによって、母国語の習得、知識の創出、他者とのコミュニケーション、思考を可能としている。様々なバイアスが生存戦略によるもので、それをベースにアブダクション推論が成り立っているのが人間の本質。人間の思考が合理的に行われている訳ではないことを認識した上で、アブダクション推論の精度を高める努力により、日常生活をより良くしていければと思う。

とても読みやすかった。 流暢バイアスで思い出されたのはチャットgpt。 たまに違うことを解説してるのに 流暢すぎる文章だからつい納得しそうになりがち。 アブダクション推論、記号接地は初耳だった。

最終章のまとめが素敵で、ちょっと泣きそうになった。 アブダクション推論、システム2で熟考する、スキーマは人によって違う、記号接地させることでAIに負けない。 今井むつみ先生の他の本も読んだし、知識として知ってはいたけど、それこそ記号接地できていなかったことに気がついた。 ゆる言語学ラジオを聞いてよかったことの一つに今井むつみ先生を知ることができたというのがある。名前見てすぐに手を伸ばしてよかった。 人間万事塞翁が馬をモットーに生きていこう。

職場の仲間が貸してくれた本です。認知科学、言語心理学、発達心理学の専門家である著者が慶應大学SFCを定年退職する際に行なった認知心理学の講義をベースにまとめた書籍です。本書を読む前にダニエル・カーネマン氏の『ファスト＆スロー』を読むと、より理解が深まると思います。ダニエル・カーネマン氏の書籍も最高に面白いので是非読んでいただきたい書籍の一つです。 人間が陥りやすい認知的なバイアスやスキーマについて丁寧に説明をしてくれます。本書で紹介された書籍もいずれ読んでみたいと思っています。 『「何回説明しても伝わない」はなぜ起こるのか？』今井むつみ 『超一流になるのは才能か努力か？』アンダース・エリクソン の2冊は、私の読んでみたいリストの１位と２位です。

人は見るという行為でする、人それぞれに感じ方が異なっていると。 私たちはどうしてもアブダクションで物事を予測しながら、コミュニケーションをとったり、物事の行為をしているようです。 認知心理学というそうですが、その内容と実例を大変わかりやすく示してくれた１冊だと思います！

自分の思考は偏ったものであることを自覚すること 実体験、実知識から判断しているのではなく そこから増幅された様々な～かも、から 推測していることがほとんどであること 瞬間的に決めることの精度をあげるには、 前者の判断を熟考すること

人と分かり合えない経験を重ね「人間は自分の見たい世界を見ている」という考え方に至った。人生哲学のようなものだと思っていたが、学問として学ぶことができて非常に興味深かった。特に気になった「アブダクション推論」。一読しただけでは忘れてしまいそう。また時期を置いて読みたい。 例） 「雨が降れば草が濡れる」「草が濡れている」の2つが真の場合、「雨が降ったのだろう」と推論する方法 ※Wikipedia引用

私たちのものの見方は、つねに「偏り」がある。その「偏り」は人によっても異なるし、自分自身にも「偏り」がある。でも、その事に気づけていない場合が多い。 本書では、そんな人間の認知の性質について、把握しておくべき理論や、その理論が確立するまでの過程、人間の認知の仕方・思考プロセスを学べます。読み終わった後には、自分の認知・思考方法を客観的に捉えられるようになり、どのように物事を認知して思考すべきなのかを考えたくなる一冊です。 読後にタイトルを改めて見返して、なるほどなと思いました。 読みやすいように分かりやすいことばで綴られています。入門書としてもオススメです！

著者が慶応義塾大学で講義を受け持っていた認知心理学の最終講義をまとめたもの。その講義は一般教養課程だったため、内容は心理学の専攻者に向けてのものではなく、タイトルからも察せられるとおり広く一般的な、これから社会人になる学生たちが社会生活を送るにあたって、著者が役に立つだろうと考えた認知心理学の知見を伝えるものとなっている。著者のこれまでの『言語の本質』や『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか？ 』でも触れられている、人はそもそも「よく見間違えている」し、「記憶が不正確」で、「いうほど論理的ではない」という思考バイアスにどっぷり浸かっている存在で、その偏った思考バイアス（スキーマ）同士が情報交換するという誤謬を常に起こしているのだが、このスキーマと、現状のAIでは行えない、ある種の非論理的な突飛な推論である「アブダクション」を行うことで、人間は短い時間の中で言語を獲得し思考し、新たに知識を作り出すことのできる生物になれたという、人間の認知の仕組みについての大概要を、他の著作よりも（おそらく）最もわかりやすく知ることができると思う。この知見がなぜ人生に役立つのかといえば、そもそも人間とはそういうもんなのである、と知ることに尽きるだろう。社会生活の中でぶつかる壁や悩み（特に人間関係）などが、そんなことは当たり前過ぎることで悩むようなことではない、と思えることは、凡百のエールよりも自信につながるのではないだろうか。あとがきによれば、著者の座右の銘は「人間万事塞翁が馬」で、著者は最初からやりたいことがわかっているタイプの人ではなく、その時々の興味に惹かれ分岐点のどっちを行くか直観で選択し、多くの恩人となる学者と出会い助けられて、史学専攻の学生から心理学の研究者としての今日に至ったとのこと。迷いも苦労も多かっただろう。目の前の好きを一生懸命やって人生を楽しんで欲しい、という聴講の生徒たちに向けられた眼差しの優しさが伝わってくる名講義だと思う。

情報のインプットとアウトプットの精度を意識的に上げたいと思った。感覚で情報を扱い、コミュニケーションしてしまう節がある。 ----- 人間の記憶はあまりに脆弱。文字列を見ると人は意味を解釈してしまう。 何かが起こったときには、その原因を考えずにはいられない。しかしその推論も、ときに大きく間違っている。 人は自分のスキーマのフィルターを通してしか相手の言うことを聞いていないし、自分のスキーマで選んだ情報にしか注目しません。自分の聞きたいことしかしかないし、自分の答えたいことしか答えません。 精度の高い決断をするためにしなくてはならないこと、「自分の情報処理能力の限界」と「自分の思考バイアス」を意識する、思考の限界やバイアスについて振り返り、熟考する。 精度の高い直感は、もともと備わっているものではありません。優れた直感は、日々のたゆまぬ訓練や学びの中から、やっとのことで創り上げられる。 『得手に帆を揚げろ』 ただ好きだということではなく、どういうことをやると充実感が得られるか。大変なこともあるけど、それを乗り越えたときの喜びを感じられるかどうか。 見つからなかったら、今やってることをとりあえず一生懸命やってみる 「人間万事塞翁が馬」 社会は、大勢の多様な熟達者が協力することで成り立っている。

なるほど、ストッキングやら女子トイレの行列やらに口を出したがる男性を不思議に思っていたが、「知識のコミュニティ」と自分自身が持っている知識を同一視してしまい、世界の誰かの知識=自分自身の知識という認知バイアスにより、「何でも評論家」になっていしまっているらしい。納得。 なんだっけ、ファクトフルネスもこんな本じゃなかったっけ？

最近になって知った研究者であったため、「最終講義」というタイトルに驚いたくらいでしたが、長く続けてこられた方であればこそのメッセージが散りばめられた「人生の大問題と正しく向き合うための」本であると感じられました。

人間はアブダクション推論をするから間違ったことをしてしまうし、だけど成長する。失敗や間違いを繰り返しながら成長していき、新たなものを作り出す、それが人間なんだと感じました。 また尾身先生の「得手に帆を揚げろ」という言葉もむつみ先生と同様に心揺さぶられました。 得手が分からない時は目の前のことを一生懸命やってみる、すると、得手かもしれない、これは違うかもしれない、という内なる自分の声が聞こえてくるのかもしれない、と感じました。

面白かった上、また読みたいと思える本。 読んで為になることがたくさん書いてあり、忘れるのは もったいないくらい。

今井むつみさんのことを知ったのは「言語の本質」を読んだときです。 それ以来何冊か読み、記号接地問題、アブダクション推論、システム1,2の思考など、初めて聞くが、教育に携わる中で大変納得のいく話題が出ました。 この本は「言語の本質」や「学力喪失」などの本のハイライトだけをまとめたようなものです。この本だけではそれぞれの話題について十分に納得できるだけの内容はなく、流し読みして終わりになるでしょう。 これは著者というより、出版社のターゲットやコンセプトによるものでしょう。 「面白いな」、「もう一度きちんと読み直したいな」と思ったら、これら岩波新書のどちらかを読むことをお勧めします。

人が何かを決断する時にシステム1とシステム2を使って判断している、何をどのようにトレーニングするべきかという内容がタイミング的にとても刺さった。バイアスの話やアブダクション推論の考え方も納得でき面白かった

人間とAIの思考の違いについて学びとなった。 人間の思考の良し悪しを踏まえて、AIと関わる。AIは何ができないのか、アブダクション思考、飛躍した思考はできず、人間にしかできない。だからこそ成長できた。効率、理論が求められる最近だが、それはAIが得意な分野で、本来の人間の強みである一見関連の無いものに関係を見出す力（点を面に変える）を考えるキッカケになった。

学生に向けた愛情が感じられる一冊。 読みやすく、なんとなく分かってはいたけど…ということを改めてちゃんと説明されて納得した。

得てに帆を揚げて！ アラフォーの私にも刺さりました！ 私もちょうど子育てが折り返しにかかり、 探している最中です！ この本から素敵な言葉に出会えたのがとても嬉しいです！

わかりやすく記載がされていると思います。 今井さんの別の本をすでに読んでいたので、ほぼほぼすでに見聞きはしたことのある内容だったかと思います。 知っている知識をどう活かすかがポイントだと思いました。

何も知らないはずの赤ん坊がどうやって、知識を習得していくのか？ AIが出始めた時から素朴な疑問を持っていたがこの本を読んで納得がいった。 記号接地とアブダクション推論、 そしてより緻密なアブダクション推論をとこなうために粘り強い振り返りが大切なこと。 認知心理学の入門知識だけでなく、 AIでなく人間であることを価値を自分にもたらしめるための姿勢も教えてくれる本だった。

認知科学。私が、学生時代の時に、この言葉を聞いたことが無かった。 比較的、新しい学問ではあるが、言われてみれば…、と感じることが多い学問だ。それを科学的に証明し、理論的に説明するということは、冷静に自分自身を分析していくような感覚にとらわれる。自分の行動を振り返り、立ち止まって考えていきたい、と感じた。

今井むつみ先生の最終講義を活字にしたもの。一般向けに広く浅くわかりやすく今井先生の関わった認知科学の研究について概説しており、若者へのメッセージで締めくくっている。個人的に印象に残ったのら因果関係のバイアスやアブダクション推論についてわかりやすく解説していたところだった。

最終講義の名の通り、今井むつみ先生の認知心理学まとめ的内容。大学生への講義としているだけあり、とても平易に書かれています。今井むつみ先生の本は他にも読んだことがあるのでほとんどの単語は知った状態だったこともあるかもしれませんが。 門外漢ながらに思っていることですが、認知心理学は、現代において特に存在感のある分野かなと感じています。 他者への理解や配慮が異常なくらい叫ばれる世の中で、そもそもなんで人によって考え方が違うのか、を考えさせてくれるからです。 そしてそれを考えることは自己肯定にも繋がる気がします。 極端な話、人によって考え方が違うのはしょうがないと割り切っていると、無敵になれます。