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逃亡者は北へ向かう
逃亡者は北へ向かう
柚月裕子/新潮社
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総合評価

69件)
4.0
22
22
16
2
1
  • 常翔啓光学園中学校・高等学校図書室のアイコン
    常翔啓光学園中学校・高等学校図書室
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    啓光図書室の貸出状況が確認できます 図書館OPACへ⇒https://opac.lib.setsunan.ac.jp/iwjs0021op2/BB50387922 他校地の本の取り寄せも可能です

    0
    投稿日: 2025.07.07
  • のんきのアイコン
    のんき
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    このレビューはネタバレを含みます。

    プロローグで結末は明かされている。 その後始まる物語は、家族の縁が薄く1人で生きてきた青年が、間が悪く弾みで2人も殺してしまい、震災のさなか、迷子の男の子に懐かれて誘拐犯にもなってしまう。事件の前に受け取った生き別れた父親からの手紙を頼りに、父に会うために北に向かうというもの。 自らも家族を亡くしながら、事件に没入する警察官の陣内から、人質とともに体育館に立てこもる真柴は、父からの2通目の手紙を受け取る。最後にこれを読んで、きっと真柴は、物心ついて初めて幸せだったと思う。そして彼は、陣内の言うように投降する気になった。子どもを父親の元に返し罪を償い、そして父を探すつもりだった。人質に危害を加える気などさらさらなく、男の子の落としたミニカーを拾ってやろうとしただけだった。

    0
    投稿日: 2025.07.06
  • aki25777のアイコン
    aki25777
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    ままならない現実に翻弄され、ささやかな幸せを求める主人公が切ない。心に刺さる表現も多くあり、飽きさせないストーリーでした。

    1
    投稿日: 2025.07.05
  • キキのアイコン
    キキ
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    第173回直木賞候補作品とのことで、読んでみました。 著者の作品はこれが初読みです。 何らかの賞にノミネートされると、ファン以外の人にも読むきっかけを与えてくれますね。 個人的に気になったのは、まずタイトルです。 「北=北朝鮮」を想像したので、海外の話かと思いきや、舞台はバリバリの国内でした。 「北=東北」だったんですね。 そして気になるストーリー。 プロローグ、エピローグを含めて全体で12章構成。 私は冒頭から一気に引き込まれるというより、最初はじんわり。 8章あたりから登場人物が一箇所に集まり、亮の生い立ちや逃亡の理由が明らかになるので、まさにクライマックスを迎える場面とも言える展開でした。 それにしても、東日本大震災の描写がすごい。 テレビやメディアでは報道されなかったような部分まで丁寧に描かれていて、水に流される場面などは、想像だけでは書けないリアルさがあります。 おそらく、実際に被害に遭われた方に取材したうえで物語に落とし込んでいるのではないかと思いました。 直人(子ども)を探しまわる父親の心境。 自らの子どもを失いながらも亮を追う刑事。 被災地で日々を生きる住人たち。 それぞれの言葉や行動に臨場感がありました。 そんな彼らと、逃亡犯である亮の心理が複雑に絡み合い、ひとつのストーリーが形作られていきます。 亮が被災地である東北を目指す理由。 それを知るには、彼の生い立ちを知る必要があります。 生まれたときから「人生詰んでる」と言ってもいいほどの境遇。 しかもそれは、彼自身の選択ではなく、他人の選択によってそうなってしまったのです。 彼が唯一、自分の意思で間違った選択をしたのは、不良の一人を殺害してしまったこと。 彼の人生は、いったいどの地点まで戻れば、やり直せたのか。 それを知ることは、「自分は生まれてきてよかった人間なのか?」という問いへの答えにもつながります。 その答えを求めて、彼はたった一人の、血のつながった父親を探しに、被災地へと向かいます。 私はこの小説を読み終えたとき、陣内のこんな言葉とまったく同じことを思いました。 「犯人は、みな同じじゃない。それぞれが事情を抱えているひとりの人間だ」 逃亡犯、と一括りにしてしまうのは、あまりに大雑把すぎる気がするのです。 その人自身の生い立ち、犯行に至るまでの経緯には、その人にしかわからない事情がある。 亮の一番の不幸は、彼に父親の存在を伝える人がいなかったことかもしれません。 もし、誰かが早い段階でその存在を知らせていれば、彼は別の人生を選ぶことができたかもしれないのに──。 そう思えてなりません。

    38
    投稿日: 2025.06.30
  • ao-nekoのアイコン
    ao-neko
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    暴力事件に理不尽に巻き込まれてしまった真柴は、東日本大震災の発生により釈放された直後に殺人を犯してしまう。さらに罪を重ねながらも、とある目的のため北へ向かう真柴。そして震災で家族を失いながらも真柴を追う刑事たち。真柴の目的は何なのか、そして彼の行き着く先は。 やりきれないししんどい小説です。震災の辛さ苦しさはもちろん、真柴があまりに不憫。家族も親しい人もなく、何の望みもなく生きている彼に降りかかった事態は災難だとしか思えません。そして逃亡を続けるうちに、彼の生来の善良さが垣間見えるようになってきて堪りませんでした。ほんの少しでも彼の生きる環境が違えば、このような悲劇は起こらなかったのかも。彼を愛し彼の幸せを願った人の想いがもっと早くに届いていれば、と思うばかりです。 そして身内を亡くし、あるいは被害に遭った身内がいないことで苦しむ刑事たちの奮闘も切ないです。そして多くの死があったからこそ、これ以上誰にも死んでほしくないという彼らの思いに胸が締め付けられます。数多の苦しみや悲しみを描きながらも、しかし救いはあるのだと思いたい、そんな物語でした。

    1
    投稿日: 2025.06.29
  • はるな…✈︎°のアイコン
    はるな…✈︎°
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    直木賞候補作品の中で、 気になったので電子で読みました。 定期的に読まなくては、と思ってしまう 東日本大震災関連の本。 (綾瀬まる「やがて海へと届く」は 個人的にとても心に刺さりました) 生まれ持って不幸な人なんて、 いないと信じていたかったけど そんな彼が最後に見つけた答えと光。 バッドエンドだけどハッピーエンド。 それぞれが震災によって 抱えているものが丁寧に描かれていて どの登場人物にも感情移入できたし、 あの時の暗い影が漂う空気を 14年経った今でも思い出すことができました。

    8
    投稿日: 2025.06.27
  • komizouのアイコン
    komizou
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    いつしか亮に感情移入してしまい、このまま何とか逃げ延びてくれないかな、なんて思ってしまいました。追いかける刑事たちも人間味あふれて泣けました。

    29
    投稿日: 2025.06.27
  • yumoのアイコン
    yumo
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久々の柚月さん作品。 震災の記憶がよみがえる描写が見事だと感じた。 真柴に救いがなさ過ぎて辛かった。でも救われない者はとことん救われないのもある意味ではリアルなのかもしれないと思った。

    1
    投稿日: 2025.06.26
  • マッチのアイコン
    マッチ
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    ずっしりと心に響く作品。筋書きとしては、奇想天外のものでもなく、ありきたりのものだが、全体をブルーの空気が包みこむ。 生きている意味?どんなに頑張っても、間が悪い人?その中で、自分の人生に翻弄されてしまう。 東北の震災を絡めた作品だが、とてつもない傑作に仕上がった。

    9
    投稿日: 2025.06.25
  • ayatsukaのアイコン
    ayatsuka
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    このレビューはネタバレを含みます。

    不運と言えば不運の一言なのかもしれないけど、あまりにも不運で理不尽すぎて、なんかもう読んでてしんどくなった。本人は、「それを選んだのは自分」みたいにちょっと改心みたいになってたけど、いやそうか?そういうんじゃなくない?それ以前でしょ!?と腹が立ってきて、その仏みたいな人をこんな目にあわせて…と思わずにはいられない。しかしちっちゃい子がなついた理由は正直まったくわからなかったです。

    2
    投稿日: 2025.06.25
  • Michelleのアイコン
    Michelle
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    なんだかとても可哀想だった。親から愛されていないと思いながら生きていくのは、何よりも辛いはず。不運に不運が重なって、気の毒すぎる。刑事1人だけでも、彼の気持ちに気付いてあげることができたのは良かったが。この刑事も、またお気の毒なのだけれど、だからこそ余計に彼に寄り添えたのだと思う。

    68
    投稿日: 2025.06.24
  • はなのアイコン
    はな
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    震災を思い出して苦しくなる人もいるだろうな。 柚月さん自体も津波でご両親を亡くされているとのこと。 読み終えた後、エピローグに戻ってまた切なくなった。

    1
    投稿日: 2025.06.23
  • りゅーれんのアイコン
    りゅーれん
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    このレビューはネタバレを含みます。

    直木賞ノミネート。 映像化されそうな感じだなぁと思った。 大震災後の被災地が舞台。犯人は悪い先輩に唆されて行きたくもない飲み屋に行き、半グレと言い争いになる。ボコボコにされて逃げ帰って被災。その後、半グレの1人がナイフを持って襲いかかる。曰く、半グレ仲間がその抗争の治療で医者に行ってる時に被災して死んだらしい。言いがかりーと揉み合う中、半グレのナイフで半グレが死んじゃう。そして、生き別れの父から届いた手紙を胸に、その父に会うことを目指して北上する。 犯人は生まれた時に、父親が轢き逃げで逮捕されてる。犯人は祖父から飲んだくれで女たらしの親父だったと言われるが、真実は嫁と子供が命を落とすかもしれないと言われた出産に向かってる途中での轢き逃げで出頭している。子供と嫁に迷惑をかけないために離婚して関係を絶った。死の間際で、一目会いたいと手紙を書いた。 北上中に、老警官と会う。指名手配犯とバレて揉み合って、拳銃が暴発して警官は死ぬ。途中で子供を拾う。子供の母親は津波に流されて死ぬが、父親が必死にずっと探している。 犯人は北上し、追いかける警官は犯人の過去や目的地を調べる。やがて子供の知り合いに会って小学校の体育館で立て篭もる。警官は亡き父親の手紙を届けるなど心を揺さぶり、自首しようとしたところ、誤って銃口が人質の方を向き、射殺される。 もうこれ以上誰かが死ぬところを見たくない…という記述が震災の重さを感じた。また、自分の子供の死体を確認する無常感や、全員無事の人の疎外感など、えも言われぬ苦しさがある。

    1
    投稿日: 2025.06.20
  • よめのアイコン
    よめ
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    運の悪さを誰かのせいにしたくなる時もある。ただ、自分の人生は最終的には自分で決めて進むしかない。主人公がとった判断や行動はもっと他に選択肢があっただろうに、と。

    1
    投稿日: 2025.06.15
  • kurizoh7のアイコン
    kurizoh7
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    柚月裕子の最新作である本作を読了しました。 話の構成としては、良い出来だと思いましたが、個人的に、フィクション作品の読書は、最後に気持ちの良いスカッとした終わり方の作品が前向きな気持ちになり好きなのですが、「フランダースの犬」のように、報われない人生という作品は、後味が悪く、読み終えた時に重い切ない心境になるので、その点で個人的評価が低くなっております。

    4
    投稿日: 2025.06.14
  • 小春のアイコン
    小春
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    期せずして殺人犯となり逃亡する若い男と、それを追う刑事、震災で行方不明になった男児を探す父親の3人の視点から進むサスペンス。 東日本大震災直後の出来事として描かれているため、当時の被災地や被災者の状況が生々しい背景として浮かび上がる。不幸な生い立ちの犯人には絶望しかなく、読みながらつらかった。 図書館で借りてきた当日に、この作品が直木賞にノミネートされたと知る。 震災で自身の家族も失ったという作者ならではの重みのある渾身の作、今回は吉報が聞けるのではないかしら。

    1
    投稿日: 2025.06.13
  • viviのアイコン
    vivi
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    東日本大震災直後に起きた殺人事件、逃避行と追跡を描くクライムサスペンス。 圧巻でした。 トラブルに巻き込まれ殺人犯となってしまった真柴亮と、彼を追う陣内刑事、そして行方不明の幼い息子を探す村木。3人の視点から描かれる物語。 プロローグで凶悪な犯人像をイメージさせられますが… 不遇な幼少時代を過ごし工場で働く孤独な亮(22歳)。あまりにも不運が重なる人生で読んでいて辛くなりました。 彼を追うのは自らの一人娘が被災しながらも職務を優先させる陣内刑事。 両親や妊娠中の妻を津波で失い、一縷の望みで息子の行方を探す村木。 あの震災が多くの人の運命を狂わせたことを改めて思い知らされました。 被災地の光景、警察署や避難所の混乱や人間関係など生々しく描かれています。 柚月さんご自身が震災によりご家族を亡くされたそうですが、震災を題材に取り組まれた作家魂に感服しました。 しかし何ともやるせないです。 つい犯人側に心が持っていかれてしまって逃げ延びてほしいような気持ちになってしまいました。 私の中ではイーストウッドさんの名作が思い浮かびました。 「俺たちだけじゃない。誰もなにもできない。自分で泣き止むしかないんだ」 「もう誰にも死んでほしくない」 印象に残る言葉です。

    61
    投稿日: 2025.06.13
  • ecoのアイコン
    eco
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    一気読み、最終章は泣けました、泣きました、再読は号泣… 「1番自分に大切なものはなにか」を亮君が北への最終地点で見つけたと思いました 表紙があの当時の風景を描いていて、私も日々の暮らしに感謝する気持ち忘れてました。あたりまえの日常を大事にしていかなくては… 陣内さんの次作も読みたいです

    4
    投稿日: 2025.06.09
  • ゆーき本のアイコン
    ゆーき本
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ いまだ雪がちらつく3月の東北。 大震災直後に殺人を犯してしまった青年-真柴亮。死刑を覚悟しながらも北へと逃げる。 亮を追う刑事-陣内。陣内は津波で家族が被災するも、亮の起こした事件を解決するため、家族を探しに行くことも出来ずにいる。 北へ逃げる亮の目的とは何なのか。 震災で大切なものをなくしてしまった人の心は、いつ癒される時がくるのか。 「いまを生きる」 震災を背景に 懸命に生きる人々を描いた クライムサスペンス。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 主人公である亮は殺人犯ではあるけれど、生まれながらにして不遇の人で、犯してしまった殺人も不運としか言いようがなく…。こんなに運に見放されることある?と亮と一緒にその人生を嘆きたくなります。子を持つ親としては「どうにか亮に希望の光を…!」という思いで読んでしまいます。 読んでる最中、ある映画と重なってしまい(これはネタバレになる可能性大) そしてプロローグと繋がりを見せた時には祈るような気持ちで焦りながらページをめくっていました。 運命というものはあるのかもしれません。 自分の人生、運がなかったとか、ツイているとか。亮も「いったいどこまで遡れば 自分の人生は変わっていたのか…」と考えます。 でも辿り着いたゴール地点で過去の道のりを振り返ってみれば、分岐点で向かう方向を決めてきたのは常に自分自身。 「自分で泣き止むしかない」という陣内の言葉が突き刺さります。 「俺はこの世に生まれてきてよかった人なのか?」 「俺の『望み』とはなんなのか?」 辿り着いた北の地で、亮は何を手に入れたのか。 「もう誰も死んで欲しくない」という陣内の想いを噛みしめながら、このラスト-読んで胸を締め付けられて欲しい!! 。・゚・(*ノД`*)・゚・。 ただ息をするだけの毎日も、何をしなくても普通に朝がくることさえも辛い人はいると思う。 「いまを-生きるだけです。」 命があるかぎり いまをただ精一杯生きる。 簡単なようで本当は難しいんだな、と思った。 毎日同じことの繰り返しで 超絶平凡としか思えない日々、生きてることさえ当たり前に感じている、そんな自分は幸せ者なのかもしれません。 余談ですが、先月 石巻の震災遺構である大川小学校を訪れました。小学校の周りの建物は津波で何もなくなり 鳥のさえずりしか聞こえない静かな場所に立ち、子を亡くした親御さんの気持ちを考えたら涙が出ました。当事者でない私でさえ苦しくなったのに、 アキさんのレビューで柚月さん自身 東日本大震災でご両親を亡くし 数箇所の遺体安置所を回ったと知り、この作品を書くのは大変な労力を要しただろうと…。それほどまでに 震災直後の被災地のシーンは冷たさや匂いまで伝わってくるような、胸に迫るものがありました。

    47
    投稿日: 2025.06.05
  • ぴちくらのアイコン
    ぴちくら
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    震災で普通の生活が壊れて、人の心まで荒んでいく様子がよくわかる。犯人にも気の毒に思ってしまい、最後に救いがあってくれと願いながら読んだ。

    3
    投稿日: 2025.06.03
  • 浩太のアイコン
    浩太
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    一番最初に、衝撃的なラストシーンらしきものが出てくるので、読んでいて辛く苦しいストーリーだった。 親の離婚、母親の死亡と育てられた祖父からの父に対する呪詛を聞きながらの成長。祖父の死亡により施設に預けられた真柴亮。ここまでで充分不幸のオンパレードなのに、就職してからも不幸は続く。意図していないのに次々と人が死んで行く。巻き込まれ事故のように相手が死んでしまう。 並行して東北の大震災が起きて、登場人物達の周辺でも家族が亡くなって行く。不明となった家族を探したいのに、仕事を優先せざるを得ない状況が悲しい。 冒頭のシーンに向かって逃亡者は逃げに逃げる。救いは途中で出逢った言葉を発しない子供。この子供によって気が変わって自首出来たら、と強く思ってしまう。

    73
    投稿日: 2025.06.03
  • autumn522akiのアイコン
    autumn522aki
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    超★5 東日本大震災を舞台にした犯罪小説&ロードノベル、家族を引裂く現実に涙 #逃亡者は北へ向かう ■あらすじ 児童保護施設で育った真柴亮、彼は福島県の工場で働いていた。先輩に無理矢理誘われたクラブで、トラブルに巻き込まれ警察沙汰になってしまう。真柴の取り調べをする刑事、陣内は彼が育ってきた環境を聞き、人生の不平等さを憂いでいた。 一日の釣果に満足しながら帰宅した漁師の村木圭介は、五歳の息子直人のお出かけを見送っている。時は2011年(平成23年)3月11日、かつて体験したことのない未曽有の災害をこの街を襲う。 ■きっと読みたくなるレビュー 超★5 東日本大震災の被災地を舞台にした犯罪小説&ロードノベル。柚月裕子先生ご自身もこの災害でご家族を亡くされています。先生の想いや作家魂を感じることができる作品ですね。 最初に言いたいのは、よくぞ東日本大震災を背景にした小説を書いたということ。現場や地元の人たちの辛い現実、頑張ってる姿を描きたいという愛情を強く感じます。 しかし被災地は復興しつつありますが、未だ傷が癒されず暮らしているのです。災害時の描写や、亡くなった人や家族の描写についても、緻密に書かれています。 いくらエンタメ小説と言えども、生半可な想いでは書けないテーマだと思います。特にラストシーンの場所や展開なんかは、かなりチャレンジングです。 実際、東日本大震災を舞台にした小説って、ほとんど存在しないですよね、貴重な作品だと思います。柚月先生の尽力に痛み入ります。 さて本作、真柴亮が警察に捕まってしまうところから始まります。その後震災のため処分保留で釈放となった真柴はさらなる事件に巻き込まれてゆく。 そしてある理由から北へ北へと移動していくことになるのですが、途中である人物との出会いがあり、気づきと成長のきっかけを掴むことになる。 ストーリー自体は比較的オーソドックス、文章も会話も親しみやすく読みやすい。エンタメ小説として完成してます。個人的にはこの舞台、キャラクター、そして先生の筆力であれば、上下分冊の大長編でもぜんぜんOKだと思いました。全ページ一気に読み切らせることができるほど力強いです。 特に中盤以降の展開は、マジで目が離せなくなるのよ。胸がきゅんきゅんしちゃって、完全に推しモード。真柴は犯罪者なんだけど、ついつい応援しちゃうんだよね。そして終盤からラストにかけて、真柴が変化していくところが大好き。 さて本作のテーマは「家族」。いつも柚月先生は家族など人の繋がりを描くのがお上手でして、本作も読者を惹きつけて止まない。 刑事の陣内、漁師の圭介、そして真柴亮、他にも多くの被災者たちが描かれる。このひとりひとりが、それぞれに大切な家族がいるんです… 未曽有の災害がどれだけ多くの絆を引き裂いたかと思うと、もう悔しくてなりません。 東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族と被災された皆さまにお悔やみとお見舞いを申し上げます。 ■ぜっさん推しポイント 私が10~20代の頃によく思ったこと。 自分はなんて運が悪いんだ、タイミングはいつも最悪、仕事や会社、人間関係にも恵まれていない。 確かに周囲の人たちと比べると、辛い環境にもあったし、巡りあわせも悪いこともあった。しかし今になればわかるんですが、それはすべて自分自身の責任なんですよ。 幸せは待っていては絶対に掴めない。ましては不平不満や愚痴は、言えば言うほど幸せが遠のいていくものです。もし自分の未来に希望を持てないのであれば、ぜひこの本を開いてみてほしいと思いました。

    128
    投稿日: 2025.06.02
  • マルガリータのアイコン
    マルガリータ
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    同時発生の《犯罪》と《震災》。共にどっちつかずで荒削りな印象。プロローグで真柴亮の未来が明かされ、その先を読み続けるのが辛かった。欲を言えば、登場人物の台詞が東北弁でなかったのが残念。

    2
    投稿日: 2025.05.31
  • guriのアイコン
    guri
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    このレビューはネタバレを含みます。

     最初から最後まで、苦しい気持ちで満たされてしまい、何度か本を閉じた。 一気に読みたいのに、読めない辛さを体験できたのは、心情描写の細やかさからだと思う。  ネタバレになるが、全く話すことがなかった直人が、ラストに「おーさん」と発する。 父である圭祐は、〝おとうさん″と呼んでいるとわかり、ふたりで生きていこうと強く思った、と書かれている。  しかし、私は逃避行を共にした「亮さん」と聞こえてしまった。実際に、直人は亮と言う名前を知らないだろうから、「亮さん」と呼ぶことはないのかもしれない。 けれど、まわりが敵になっても味方でいると約束した彼を、直人は忘れることなく生きていくというメッセージ、と私は受け取った。

    2
    投稿日: 2025.05.28
  • sasakura5のアイコン
    sasakura5
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    柚月裕子さんの新刊「逃亡者は北へ向かう」読了した。東日本大震災の東北の何処かを舞台にした小説だったが、原発の事には触れないで、当時の混乱を思い出させてくれた。作者が岩手県産まれだったのは、読み終わってから知った。作者がどうしてこの小説を書いたのか、本当の事はわからないけど、子供の時にいかに愛されて成長したかが、その後の人生にいかに影響を与えるかと、言っている様に思いました。

    11
    投稿日: 2025.05.27
  • yoshi1004のアイコン
    yoshi1004
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    震災後の様子が凄くリアルでだったので、関係ある方への注意書きがあったのかな、とか心配してしまった。追う警察官、追われる犯人も震災の現実に突き当たる様子が重かった。直人くんの存在が唐突で違和感あったが、真柴亮と言う人物の哀しさを深める為には大切だったのだろう。

    19
    投稿日: 2025.05.27
  • こまいのアイコン
    こまい
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    真柴は、東北の震災後に一般男性と警察官を殺害 余命僅かの父に会うために逃亡する その道中、震災で母と別れた少年の直人ど出会い、連れて行く 一方、真柴を追う刑事の陣内は震災で娘を亡くす 柚月さんの作品は骨太で勢いがあり 心を強く揺さぶられる 直人の父、村木のラストの方の言葉が 胸にずっしり響いた

    12
    投稿日: 2025.05.23
  • tundokusukiのアイコン
    tundokusuki
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    かなり重たい雰囲気の話で正直読んでいて気が滅入ることもしばしば。 ただただ運の悪い犯人は生まれ変わったら、両親からたっぷり愛情を受け、育って欲しいと願う。 震災はいつ起こるか分からないから、会いたい人には会い、伝えたい言葉は伝えるように。それが大切なのかもしれない。

    21
    投稿日: 2025.05.22
  • YUKINOのアイコン
    YUKINO
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    不幸になる運命が決まっていた場合、生きる理由は何か。東日本大震災でたくさんの人が亡くなった。家族が亡くなった人、家族が助かった人。けど実は助かった家族も辛い。 主人公は元々家族がいない。なので失うものや亡くなって悲しくなる事もない。 私はこの本を読んで、著者が一体何を伝えたいかったかよくわからなかった。けど読了後は久々に家族に連絡してみようかな、という気持ちになりました。

    1
    投稿日: 2025.05.21
  • fishbowlのアイコン
    fishbowl
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    悲しいお話です。東日本大震災という、未曾有の悲しい出来事を舞台に、悲しい男性の叫び声が聞こえるような物語でした。彼を追う刑事も悲しい。その同僚たちも悲しい。ただ、家族を思う気持ちは、言葉にはできないもので、その家族を失うことがいかに悲しいことなのか。今の生活に感謝しないといけません。

    1
    投稿日: 2025.05.15
  • shifu0523のアイコン
    shifu0523
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ラストまで予想通りの展開で、鬱々とした気分で読了。 亮に対して直人が見せる異常な執着はなんなのか。亮の人間味を演出、ということなら安易だが、著者のことだからそれだけではないと思いたい。私には伝わらなかっただけだろう。

    9
    投稿日: 2025.05.14
  • カレンのアイコン
    カレン
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    柚月さんはあまり読んだことがない、新聞の書評を読んで読んでみようかと。 ひとりの若者が予期せぬ出来事、偶然が重なり二人も人を殺してしまい、これもどういう運命か逃亡することになてしまう。 若者の生い立ち、環境、そこに東日本大震災が相まって話が膨らんでいく。 う~ん、全体的に何が言いたいのか、どう落ち着きたいのか・・・ 消化不良です。

    5
    投稿日: 2025.05.13
  • ketketのアイコン
    ketket
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    懸命に良くあろうと思っても何もかもがうまくいかず、殺人犯となってしまう悲しい物語でした。ただただ悲しい。気の毒。でも、今後ニュースで似たような殺人犯の話を聞いても、作中で思った寄り添いたいという気持ちは現れないだろうな、さっさとつかまれと切って捨てるんだろうな、と自身の不整合性を不思議に思ったり。

    2
    投稿日: 2025.05.12
  • かうあいのアイコン
    かうあい
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    1つの選択が人生を変えることもある・・・ そして、忘れてはならないのは、常にあなたを思ってくれている人がいることを・・・ 小説の内容が心にグッときます。 プロローグは後に物語に繋がる大事な部分で、全てが集約された時のなんとも言えない感じがあります。それにしてもあまりにも悲しく辛い小説です。 1つの選択がいい方向にも悪い方向も転がる恐れがある。 そして、忘れてはいけないあなたを思ってくれている存在がいることを。 柚月裕子さんの作品は、何かしら心の奥を揺さぶる作品が多く価値観を変える本が多い気がします。 本自体は分厚いですが、読む価値はあリます。

    44
    投稿日: 2025.05.12
  • へろのアイコン
    へろ
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    真柴亮が起こした犯罪については、読者には不可抗力的な要素を読み知らされているが、物語の中の真柴亮の立場はいたって凶悪犯であり殺人者であった。 真柴に感情移入している故に、彼が追い込まれていく姿は切ないものがあった。 東日本大地震という未曾有の惨事を舞台にしているだけに、命の重さや軽さに思いを巡らせて読んでいた。 仕方のない結末なのだろうが、幾重にも悲しい終わりであった。

    1
    投稿日: 2025.05.10
  • ichiroh0157のアイコン
    ichiroh0157
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    ちょっとした行き違いから殺人犯に。それも2人も殺し犯人は北に向かうことになる。謎解きと最後の結末が哀れ!しかし犯人がこの後生きて人生を 送ったらと考えるとこれでいいのかも。

    1
    投稿日: 2025.05.07
  • よっぴのアイコン
    よっぴ
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    柚月裕子さんの最新作 雑誌で紹介されており、岩手県の被災地域出身の作者が10年を越えてやっと震災に向き合えるようになりトライしたと記載されていたので楽しみにしていました。 ストーリーの背景となる被災状況も丁寧に描かれていて、 読みながら当時の状況を感じることができました。 話はなかなか苦しい場面も多く、 主人公となる犯人の行動の稚拙さに忸怩たる気持ちになりながらもこの結末は作者にとって優しさなのかなとも感じました。

    2
    投稿日: 2025.05.05
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    落下
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    読み終わった時は素直に「訳分からん!犯人がここまで酷い目に遭う必要性ってあるの?」ってなってたんだけど、落ち着いて考えると、犯人のようなどうしようもなく不幸な人生を送ってきた人間も、刑事のような普通の人生を送ってきた人間も等しく飲み込んでぐちゃぐちゃにしたのが震災だったのだなと思う。それでも犯人には幸せになってもらいたかったけど、でも最後の最後に不幸続きの人生の中で最後に男の子に出会えてふれあえたのが、彼にとってすこしでも幸せな時間であったら嬉しい。

    1
    投稿日: 2025.05.01
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    consa
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    プロローグで結末が八割がたわかっていたけど、途中からは何とかそうならない様にと祈りながら読み進めた。震災と重なったことで運命が狂ったのか。なんとも複雑な読後感。

    6
    投稿日: 2025.04.30
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    和歌山の父ちゃん
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    ただ平凡に行きたいだけなのに、うまく行かず罪を犯し、逃亡する青年。 強い責任感で、私情を捨て執念の捜査を行う刑事。 それぞれの心理描写も精緻で、青年にも刑事にも感情移入してしまう。 東日本大震災の混乱時の話であり、震災の悲惨さ、怖さも感じた。 重苦しくて、辛い話だったが、読み応えのある小説でした。

    34
    投稿日: 2025.04.25
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    uchineko
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    3月の東北。震災直後に殺人を犯してしまった真柴亮は、一通の手紙を手に北へ向かう途中、家族とはぐれた子供と出会う。一方、刑事の陣内康介は、津波で娘を失いながらも真柴を追い…。 大震災直後の混乱を背景に、偶然殺人犯になった者、追う刑事、行方不明の子を探す父親の姿が三者の視点で描かれる。暗く重いストーリーで読んでいて苦しくなる。「いまを生きるだけです」最終盤のこの一言が心に残った。 (B)

    2
    投稿日: 2025.04.24
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    びびこ
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    自分の思いに反して進んでしまう人生。また、自然災害の恐ろしい状況がリアルに書かれていて目が話せなくなりました。 さすがの柚月さんのミステリーでした。

    4
    投稿日: 2025.04.23
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    g2alt
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    このレビューはネタバレを含みます。

    酒癖の悪い職場の男と飲みに行き半グレとの喧嘩に巻き込まれて逮捕。真柴亮22才。母は早死に。祖父母に育てられたが、お前の父親は人殺し。娘を騙して逃げたと教えられる。施設で育った 東北震災発生。警察は手が足りず喧嘩で拘置所にいる程度の真柴は釈放。アパートに帰ると喧嘩の相手が待ち伏せ。怪我した半グレ仲間が病院で震災にあい死んだ。お前のせいだ。ナイフをもって襲いかかってきた。もつれていたら相手の喉にナイフが刺さり死んだ。 実の父親から、入院している自分に会いに来て欲しいという手紙を受け取っていた。死体を放置して岩手県宮前病院へ向かう。 死体が発見され真柴は容疑者。逃走の途中に母の実家を経由。田舎の誰もいない所で職質。既に手配済み。警官から逃げようとする。発砲されそうになり飛びかかる。拳銃が発射され警官に当たる 拳銃を奪って逃げる 現場は通りがかりの老婆に見られる、 真柴は連続殺人事件の容疑者となり手配 途中に震災の津波で流されて生き残った子供を助けて一緒に逃げる。父親が探している。 担当刑事は幼い娘を探さないで仕事をしていることを妻から罵られる。娘の遺体発見。 真柴の父親を捜査上調べる。轢き逃げ殺人だが 臨月の妻が緊急入院、母子共に危い 酒を飲んでいたがタクシーがないので酔っ払い運転。徘徊認知症の老婆が飛び出してひいてしまう 110番して病院へ。母子とも助かった。自首するが父親と夫が人殺しと言われてしまう。離婚していなくなった。 真柴は父親に会いに行く。警察は近くで待ち伏せ 幼児を連れて真柴は避難所で立てこもる 父親の病院は津波で流されて生存不明。看護師が父親から手紙を預かっていた。会いに来た人に渡して欲しい。 刑事は上司に言われ手紙をあける 謝罪と幸せになって下さい 刑事が手紙を真柴に渡す。読んでいると殺してしまった人達を思いだす。幼児には父親のもとに帰るように説得。人質の赤ん坊が泣いたので、振り向いた時に拳銃が上にあがる。 SATに頭を撃ち抜かれ即死。拳銃には実弾ははいってなかった。 真柴の父親の遺体は三日後に発見

    0
    投稿日: 2025.04.19
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    あさきょ
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    東北地方に住む不幸な生い立ちの青年、真柴亮は会社の先輩に誘われた飲み屋で、客同士のケンカに巻き込まれ警察に捕まってしまう。その数日後、東日本大震災が発生し、亮は釈放。飲みに誘われる数日前に受け取った手紙を頼りに差出人に会いに行こうと決心した亮は、待ち伏せされたケンカ相手に襲われそうになり、誤って殺してしまう。そこから、真柴亮の逃亡生活が始まるー。 逃亡する話や震災の話をここのところ読んでいるせいか、読む前は似たような本を借りちゃったなと思ったけど、読み進めるうちに真柴亮に同情すら感じてあっという間に読み終えた。 人は生まれながらに平等というけれど、全然平等ではないし、真面目に生きていればいいことがあるというけれど、そんなこともないのかと思ってしまうほど、真柴親子の人生が切なすぎた。 真柴の父親、亮を追いかける陣内刑事、震災で行方不明になった息子を探す村木、みんな子を愛する気持ちは変わらない。

    46
    投稿日: 2025.04.19
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    naoblog1227
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    震災の中起きる事件、逃亡する犯人と追う刑事そして関わる者達のそれぞれの感情や想いなどバックグラウンドもしっかり表現されていてそれぞれの視点からも物語りが進んで最後に繋がる感じが良かった。

    1
    投稿日: 2025.04.15
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    おとん
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    東日本大震災の被災地、舞台にした犯罪小説なんて、柚月さんよく取り組んだなあ。その勇気に感服。それにしても、やりきれなさと切なさ、犯罪者である主人公に共感すら覚えてしまった。日常の些細な決断が重大な結果に…。「どうしてこんなことになってしまったのか。誰のせいでもない。その時々で道を選んだのは自分。なるべくしてなった結果」だとしても…。勾留中の被疑者の一時的な釈放、実際あったんだろうか。「家族が無事だった者も自分だけが難を逃れた後ろめたさ、罪悪感覚えた」という話は耳にしたが「のうのうと過ごしていい」一億総懺悔じゃないんだから…

    2
    投稿日: 2025.04.14
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    nanari
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    様々な不条理を乗り越えて生きていく為に必要なのは、他者から想われる事であるというのは実際そうだとは思うし、柚月さん自身があの大震災での喪失を通して確信した部分なのだろうけれど、小説のアンサーとして差し出されるとかなり抽象的ではあって、当事者/非当事者で刺さる深さに大きな差があるように感じる。被災地の描写以外の物語がコントロールされ過ぎてるのも私は気になる。

    1
    投稿日: 2025.04.12
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    full3
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    つまらないことに巻き込まれて人を殺し逃げることになった男。 大して悪い事してないのに逃げないといけない可哀想さと、すごく面白いわけじゃないけど、つまらなくもなく、ある程度予想できるストーリー。

    2
    投稿日: 2025.04.06
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    湖永
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    あの日、青年は誘いを断り飲みに行かなければ良かったのだろうか。 喧嘩に巻き込まれ、気がつけば警察にいて… そしてあの震災が起き、比較的軽い容疑者たちは、処分保留で釈放になる。 彼はそのあと自分の意に反してふたつの殺人を犯して、北へと逃亡することになる。 その道連れとなったのは、家族と離れたのであろう幼い子どもだった。 そして、彼の取り調べをした刑事もまた、幼い娘を震災で失いながら逃亡者を追う。 北を目指した青年の気持ちをわかろうとする刑事や罪を犯して逃げることになった自分の運命を恨むのか諦めるのか、計り知れない人の気持ちをとても考えさせられた。 ずっと青年から離れずにいた幼い子どもだけは、青年はけっして悪人ではないと感じていたのかもしれない。それだけは救いだと感じた。 何がきっかけで運命は大きく変わるのかわからないが、たとえ過酷な運命だとしてもそれに抗いながら人は生きていくのだろう。

    83
    投稿日: 2025.04.06
  • yoichiokayamaのアイコン
    yoichiokayama
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    震災の混乱のなか起きた二つの殺人事件。 逃亡する容疑者と、追う刑事。 人生を変えるために北をめざした青年は、何を求めていたのか。 未曾有の災害の中、狂いはじめた歯車に翻弄されていく青年の行き着く先は? 結末が切ない小説でした。

    1
    投稿日: 2025.04.05
  • suzukaのアイコン
    suzuka
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2025/02/21リクエスト 2 読み終えて、救いようのない人生を送った真柴亮のことが気の毒でたまらない。負の連鎖、どれも本人のせいではない外的要因で、ここまで過酷な目に遭うなら何を信じて生きていけばいいか分からなくなると思う。そんな時、実父からの手紙を受け取ったら、北へ北へ向かうしかなかっただろう。逃亡中、被災した直人を連れていく、どう考えてもリスクしか無いのに、この選択をした真柴の気持ちが報われなかったことも悲しい。もし逃げ切れたら直人を育てる、それと共に自分も幼少期から育ち直せる、きっといい大人として責任ある行動を取る、そんな人生を送れたのでは、とやりきれない気持ち。直人に亮を忘れないでいてほしい、切に願う。

    2
    投稿日: 2025.03.31
  • gabrielpetajirioのアイコン
    gabrielpetajirio
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    生まれながらにして運に見放された男、流れを変えるチャンスが巡ってきてもそれを掴めずに、ちょっとしたボタンのかけ違いから人生が悪い方向へと転がっていく男、真柴亮。 震災で幼い娘を津波にさらわれ絶望の淵に立つ男、二人を殺して逃亡する真柴を追いながら、彼の心情を深く理解する刑事・陣内。 震災で妻を失ない、行方不明になった幼い息子を探す漁師・村木。 三人の目線で描かれる逃走劇は切迫感と焦燥感と哀切に溢れる。 自分はどこで間違ったんだろうと自問する真柴が切ない。プロローグで彼の行く末がわかっていながらも、どうか生き直してほしいと願わずにおれないこの感じは「盤上の向日葵」を読んだ時の思いに似ている。 刑事でありながら深く真柴の心情に寄り添い、真柴を助けたいと願う陣内の思いも切ない。 震災で多くの人が亡くなった姿を目の当たりにしたからこそ溢れ出る「もう誰も死んでほしくない」という切実な思いに胸が詰まる。 真柴が父からの手紙で、自分が人として愛しまれたと感じて初めて、今まで出会った人も誰かに愛しまれた人だと思いを致すことができたシーンは泣けた。 せめて最期の最期で父からの愛を知ることができて良かった。

    8
    投稿日: 2025.03.30
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    あんどうとり
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初に後半のシーンを少し見せられ、もうバッドエンドがほぼ確定してるので読むのが辛かったです。 できれば亮が死なない着地点になればと思っていましたがやっぱり死んじゃいましたね。 彼が直人との幸せな生活を想像したところでフラグは立ってましたか。 展開や人物描写をドラマチックにせず、ウェットにならないよう描いているのが良かったです。 大震災最中の逃亡劇という舞台がいいですね。 震災で無慈悲に家族を奪われた追う側の陣内と生まれた時からずっと不幸な亮。 2人のやり取り、同じ台詞を言うなどリンクさせるのも良かったです。 まったくスッキリせず、無情な感じは震災が背景にあると考えればなっとくでした。

    64
    投稿日: 2025.03.30
  • sayuriのアイコン
    sayuri
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    哀しくて悔しくて堪らない。 一通の手紙を握りしめ震災直後の東北へ向かう22歳の真柴亮。 貰い事故のような形で犯罪者となり、その後も不運などと軽い言葉で片付けられない壮絶な負の連鎖。 何故、善良な彼がそんな理不尽な目に遭わなくてはいけないのか。 何か一つでも違えば彼の人生は全く別なものになっただろう。 「起きた出来事そのものは短絡的に見えても、物事には本人にしかわからない事情が絡んでいるものだ」 文中のこの言葉が心に刺さる。 どうか彼を救って欲しいと祈る様に読み進めた。 エピローグで溢れた涙が止まらない。 余りにも不条理だ。

    9
    投稿日: 2025.03.30
  • robin1101のアイコン
    robin1101
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    Amazonの紹介より 人生を変えるために青年は北を目指した 震災の混乱のなか、ふたつの殺人事件が起きた。 逃亡する容疑者と追う刑事。ふたりはどこへ辿り着くのか――。 『孤狼の血』『盤上の向日葵』『教誨』『風に立つ』の著者が東北を舞台に描く震災クライムサスペンス! 「震災が起きなければ...」「事故が起きなかったら...」など、色んな出来事を目撃するたびに様々な「たられば」を想像し、心が痛むばかりでした。 理不尽な状況で、誤って罪を犯してしまった人の逃走劇が描かれていますが、特にどんでん返しがあるわけではなく、心理描写を中心に人間の哀しみや悲しみの状況の中で垣間見る温もりが印象的でした。 何かあるんじゃないか?とちょっとどんでん返しを期待していたのですが、ストレートに終わるので、ちょっと物足りなさはありつつ、震災で遭われた人達の置かれた状況に終始心苦しかったです。 冒頭では、すでに犯人がある場所で人質を盾に立てこもりをしています。なぜこのような事が起きたのか?過去を振り返る形で物語は展開していきます。 青年の過去やそれによって影響される周りからのイジメなど、その環境に置かれた状況に言葉を失ってしまいました。 そして、何とも不幸が重なった故の悲劇の連鎖に、なんでこんなことが起きてしまったんだろうとあまりにも可哀そすぎるなと思ってしまいました。 さらに震災が起きていなければ、普通に捕まっていたかもしれない逃走劇。罪を重ねていくにつれて、犯人のおかれた状況がとても見ていられないなと思ってしまいました。 そんな犯罪者とは知らずに優しく接する震災に遭われた人達の温かみがとても印象でした。 知人が行方不明の状態、家が壊滅的な状況でも、避難所では優しく接していることになんだか切なくも映って見えました。ただ、震災した後の生活の描写では、色んな苦労が垣間見えます。喪った人や懸命に探す人、「仕事」を優先する人など色んな人達を目撃するのですが、どの立場を見ても、切なかったです。 特に警察の刑事のパートでは、家族や周囲の人達が行方不明や失くした人がいても、捜査のために優先しなければいけない状況に、実際の大震災でもそういうことがあったかと思うと、心が痛くなってきました。 どちらを優先するのか?悲しい出来事によって、引き裂かれた家族の描写に読んでいて辛かったですが、家族の愛情の深さを感じました。 冒頭にあった立てこもり事件の続きはどうなるのか? 個人的には、あまり納得のいかない展開ではあるものの、仕方ないのかなとも思う自分もいました。 賛否両論はあると思いますが、罪によって傷つけられた人たちは多くいます。 一つでも立ち止まっていたら・・と思うと、やるせない気持ちでいっぱいです。個人的には違う結末にしてほしかったなと思いましたが、一人の犯罪者を軸に、それに巻き込まれる人達の怒りや切なさ、心の葛藤など様々な事情を抱えた人達の心理描写が垣間見れて、じんわりと心に刻まれました。

    3
    投稿日: 2025.03.28
  • sugahataのアイコン
    sugahata
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    不遇な幼少時代を過ごしながら懸命に生きようとする青年亮。東日本大震災直後、不運が重なり殺人を犯してしまった彼は生き別れた父に会いに北へ向かう…。自らの家族も被災した一人の刑事が彼を追う。被災地で繰り広げられる逃亡劇の果てに悲しい結末が。震災の混乱に翻弄される人々を描ききった作者さんはさすが。

    0
    投稿日: 2025.03.25
  • ハルめめのアイコン
    ハルめめ
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    東北に起きた大震災の混乱の中、殺人事件が起きる。犯人の亮は家族と逸れた5歳の少年直人と共に北へ向かう。投げやりの人生の中で直人との交流が亮に温かさをくれるけれどそれは切なさでもある。逃げ延びた先での生活を思い描く亮が辛い。家族が欲しかったんだよね。辛くて泣けました。

    0
    投稿日: 2025.03.23
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    江上
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    311大震災の中での殺人犯の逃亡劇。冒頭から先の展開が決まっていたので先の希望がまるで感じられない。 救いのない話は読んでいて辛い。

    14
    投稿日: 2025.03.23
  • ほんだなのアイコン
    ほんだな
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    読み始めたら先が気になって1日で読んでしまった。亮には幸せになってほしいと願いながらハラハラしながら読んだ。少ししか出てこない人物でも人柄や背景がよくわかり、いち場面いち場面がとても心に残る。ところどころうるうるしてしまうので、外で読むのはおすすめしない。買ってよかった。

    0
    投稿日: 2025.03.22
  • wakeのアイコン
    wake
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    釜石出身の著者が(多分)はじめて311を舞台設定にして描いた哀しいクライムストーリ。ストーリテリングの上手さは言うまでもなく、人物描写・主題・文章の上手さが際立つ傑作。終始救われない運命の青年を描くことで、それでも今を生きていく大切さと再生の焔を見事に表現している。

    4
    投稿日: 2025.03.20
  • マルプーのアイコン
    マルプー
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    東日本大震災直後に絡まれた半グレを殺してしまった真柴亮。逃亡中にも警官と揉み合い殺してしまう。福島から岩手へ、亮の北への逃亡は会ったことのない父親に会うため。震災ではぐれた少年と共に行動するが、小学校の避難所に立てこもることになり最期を遂げる。亮の人生はなんだったろうとつくづく思う。その生い立ちも恵まれず、何もかも亮にとって悪い方に転がって事件を起こしてしまった。凶悪犯となるのだろうが、同情とやるせなさを感じて読了した。亮よ、安らかにと思いたい。柚月さん、しんみりとしっかり読ませてもらった。

    0
    投稿日: 2025.03.18
  • さくらのアイコン
    さくら
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    このレビューはネタバレを含みます。

    悲しすぎる。 極悪人とは思えない加害者。 運命のいたずらでどんどん悪い方向に進んでいってしまうのが読んでいてなんとも切なかった。 東日本大震災の時の事件ということで、そういった意味でも読んでいて辛いものがある。 真柴は確かに殺人犯だけど、父親に会えますようにと読みながら逃亡を応援してしまった。

    9
    投稿日: 2025.03.17
  • NO Book & Coffee  NO LIFEのアイコン
    NO Book & Coffee NO LIFE
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     あぁ、なんと切ないラストなんでしょう‥。郷里が津波に襲われ、父と義母を失った柚月さんにとって、震災からの14年は本作を書き切るためにどうしても必要な時間だったんでしょうね。  エッセイに綴った「震災の日で止まったままの時とそこから流れている時」「震災後の日常を送る自分とあの日から動けずにいる自分」に重ねてしまいます。当事者である経験の重さは絶対なのでしょう。  柚月作品の根底にある、世の中の理不尽や不条理に向き合い続ける姿勢は、ここからきているのかもしれません。  物語の主人公は、恵まれない境遇で世間を恨み、人生も諦めて町工場で働いている青年・真柴。震災発生と同時期に、同僚の男が起こした喧嘩がきっかけで2人を殺め、逃亡者します。  作中、震災絡みの生々しい描写とともに、生き残った登場人物たちの深い苦悩が描かれます。  結末に納得するか否か‥悩みました。柚月さんはフィクションの中で厳しい現実を突き付けた気がしました。主人公は真に救われたのか? 無理やり納得しようとしても、不憫さが拭いきれません。  どんなに苦しくとも、何かに救われる生きる意味を見出したかったのでしょうね。このことを、読み手一人一人に問う物語なのだと思いました。

    81
    投稿日: 2025.03.16
  • アンのアイコン
    アン
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    不慮の事故で殺人を犯してしまう青年。 東日本大震災で多くの犠牲者をだした中に、青年が北を目指し逃亡する。生きる目的とは? 「家族」をテーマに描いた、柚月裕子さんの最新作。380ページのボリュームは適度で、時間を気にせず一気に読み続けられます。ラストは涙無しでは読んでいられないほど感動します。 最近の話題作の中でも、群を抜いて感動する内容です。死ぬまでに是非読むべき一冊!!

    6
    投稿日: 2025.03.12
  • hiroki-musashinoのアイコン
    hiroki-musashino
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    東日本大震災直後に殺人を犯した青年が、逃避行の途中で家族とはぐれた少年と出会う。震災の描写と残された家族の悲しみが読んでいてつらい。プロットにひねりはないが、後半の切迫した展開に惹きつけられ一気に読んだ。

    3
    投稿日: 2025.03.10
  • まことのアイコン
    まこと
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    このレビューはネタバレを含みます。

    勘のいい方だとわかってしまうと思うので、ネタバレで書きます。 これは哀しすぎる話でした。 作者の柚月裕子さんがプロットを間違って書くわけはないのだから、これは哀しさを狙って書かれたのかなと思いましたが、どうも腑に落ちませんでした。 東日本大震災で震災そのもので(建物の倒壊、津波にのまれる等)命を落とされた方は大勢いらっしゃると思いますが、震災があったが為に不条理な目に遭って、震災そのものでなく、この作品の主人公の青年のように二次被害的につらい目に遭われた方も多く「まだ震災は終わっていないともよく言われていますが。 でもこの作品の警察から逃げている主人公の青年の罪は過失致死とか正当防衛(警察用語よくわからないですが)に当たるのではないかと思われるのに容疑者扱いされて指名手配されるのは最初から可哀そうだと思いました。止まらない負の連鎖ではないかと思いました。 そしてまさかの結末。 「嘘でしょう」と思いました。 二度も直木賞候補になられている柚月さんがお涙頂戴の為に書くとは思えませんが、私は最後は哀しいというより、怒りさえ覚えました。 何度もレビューにも書いていますが、柚月裕子さんは同じ小説講座の同期生で友だちづきあいはしていませんでしたが(有名になると友だちが増えるらしいですが)多少は御本人のことも知っています。 柚月さんは東日本大震災でご両親を亡くされています。 そのご経験を書かれたくなるのは作家として必至だったのかもしれません。 でも、こんな不条理な作品を書かれるとは…。 柚月さんにも亡くされたご両親とか被災者の方々に、何かそういう不条理に思うことがおありだったのかなあと考えてしまいました。 でも、作家とは真実ばかりでなく嘘をつく人でもあるわけですからわかりません。 また、柚月さんは作品を書かれるときはその土地を必ず訪ねるそうです。 柚月さんはきっとご両親をのみこんだ津波のあった場所も、もしかしたら何度も訪ねているのかもしれないと思いました。 「被災地の光景が教科書で見た広島に原爆が投下されたあとの惨状に似ていたのだと気がついた」という描写がありました。 夕べ、この作品を読了した時は星4つと思っていましたが、今レビューを書いているうちに柚月さんの本音がみえた気がしたので、星5にしました。 もうすぐ今年も3月11日ですね。 柚月さんのご両親と震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。 あの日は小雪がちらつく寒い日でした。

    127
    投稿日: 2025.03.08
  • dridawのアイコン
    dridaw
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    「教誨」を読んだ時にも思ったけど救いがなさすぎる。 でもこのテーマについて書かずにはいられなかったのだということはなんとなくわかる。

    15
    投稿日: 2025.03.08
  • イソバイドのアイコン
    イソバイド
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    あの未曾有の大災害直後に、友達が災害死したのは お前のせいだと主人公を探して見つける被害者 おまけに手にはナイフ 私は東北のような酷い震災には遭わなかったが 生まれて初めての大きな揺れを経験した 直後のニュースで見た津波の映像は恐怖で体が震えた 明日が来るのか、家族は無事か そんな極限のなかの物語であるが、やはり?の連続 帯に書いてある 「人生を変えるために青年は北を目指した」 意味が分からない

    1
    投稿日: 2025.03.03
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    みーちゃん。
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    このレビューはネタバレを含みます。

    [登場人物] さつき東警察署 陣内康介(刑事第一課) 藤島(同僚) 目黒(課長) 佐々木(警邏隊) 理代子(陣内の妻),麻利(娘,未就園児) 真柴亮(22,永田製作所勤務) 甲野明(30,先輩工員) 新井(警視庁SAT) 高尾正道(警察庁長官) 郷田剛(岩手県警本部捜査一課) 田端(スナック経営者) 村木圭祐(漁師) 勇三,朝子(父母) 朋子,直人(妻,息子)

    1
    投稿日: 2025.03.03