Reader Store
ブラジルが世界を動かす
ブラジルが世界を動かす
宮本英威/平凡社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

3件)
4.5
1
1
0
0
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ブラジルの多面的現状:イメージと異なる現実 ブラジルは一般的に暑い国というイメージが先行しますが、実際には地域によって気候が大きく異なり、政治、経済、社会、文化など多岐にわたる側面を持っています。本書は、その多様な現状を、表面的なイメージとのギャップを示しながら解説し、南米の経済大国であるブラジルの実像に迫ります。 揺れる政治と社会の多様性 ブラジル政治は議会の役割が大きく、大統領の弾劾や議会襲撃事件など、政治的な分断が深刻です。一方、社会は多人種・多文化が融合しており、人種構成は地域によって特色があります。宗教においてはカトリックが多数派ですが、プロテスタントも増加傾向にあります。貧困や治安といった課題も抱える一方で、多様性を尊重する社会を目指す動きも見られます。 スポーツ大国の情熱と苦悩 サッカーはブラジル国民にとって特別な存在であり、貧困から這い上がったスター選手も多く存在します。柔道においても、多様なバックグラウンドを持つ選手が国際的な舞台で活躍しています。スポーツはブラジル社会の希望の光である一方、国内リーグの監督解任など、厳しい現実も存在します。 農業大国からクリーンエネルギーへの挑戦 ブラジルは世界的な農業大国であり、大豆やトウモロコシなどの生産量が豊富です。しかし、肥料の輸入依存度が高いという課題も抱えています。一方、クリーンエネルギー分野ではグリーン水素生産に力を入れており、再生可能エネルギーの豊富な基盤を活かした産業育成が期待されています。 積極的な外交と複雑な国際関係 ルラ政権は積極的な外交を展開し、国際社会での新秩序構築や新興国との連携を重視しています。米国と中国の間で独自の立場を保ちながら、国連安保理改革にも意欲を示しています。ウクライナ情勢においてはロシアの侵攻を非難する一方で、経済制裁には参加しないという独自の外交を展開しています。 日本との繋がりと相互の認識 ブラジルには多くの日系人が居住し、リベルダーデ地区は日本文化が根付いています。日本企業の進出も多く見られますが、家電分野などでは韓国や中国企業に押されています。ブラジル駐在経験者が日本本社の経営トップに就任する例もあり、経済関係も深いです。文化面では日本のアニメ・漫画が浸透しています。 国民性と今後の展望 ブラジル人の国民性は一般的に「おおらかで懐が深い」と評されます。時間にはルーズな面もありますが、困難な時には助け合う温かさがあります。本書は、ブラジルの多様な現状と課題を示しつつ、今後の経済成長や国際社会における役割に期待を込めています。

    0
    投稿日: 2025.05.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日経記者によるブラジル取材本。 ブラジルによる政治的対立、ルラ大統領とバルバリョ一族の関係から生まれたCOP30がベレンに選ばれた裏話、日本よりも進むICT社会など自分にとってこれまで全くの道の国だったブラジルについてよく分かった。 図書館で借りたが、購入予定。

    0
    投稿日: 2025.01.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    大国ブラジルを紹介する一冊。国土や人口の大きさに加え、テキトーでおおらかな感じにも懐の深さを感じる。 ■一般事項 ・世界で5番目の広い面積850万m2。南米の約半分、日本の22倍の面積 ・人口は2億人超で世界第7位 ・270万人の日系人が暮らしている ・24年のG20議長国、25年のBRICS議長国 ・23年より労働左派のルラ政権。支持基盤は低所得者層と労組 ・世界最大のカトリック教国だが、最近はプロテスタントが2割超まで増加 ■主要企業 ・鉄鉱石大手のヴァーレや、国営石油会社ペトロブラスには、ルラ政権の人事介入あり ・航空機メーカーのエンブラエルは世界第三位。アジア市場の販売規模が北米を上回る ・フィンテックのヌーバンクは顧客が1億人超 ■その他 ・電力の8割は再エネ。アマゾンの豊富な水資源とバイオ燃料のエタノールをフル活用 ・世界有数の農業国だが肥料はロシアに依存 ・外交はやや中国寄り。日本の地位は低下 ・サンパウロは標高800メートル。意外と涼しい ・多人種、多文化。混血が4割超

    1
    投稿日: 2024.12.23